69 / 99
第69話 アイドルとの対面
しおりを挟むサビの直前まではアイドルのかわいらしさを表現する歌詞、そしてサビに入った直後からは熱血ロボットアニメの歌詞に様変わりするという今までにない構図の歌。
とある動画ではサビの部分でコメントの嵐になったり、普段アニメを見ない人までアニメを見始め、軽く社会現象になったのだ。
証拠に、会場は満員。ネットを見ていても、彼女のファンが日増しに増えて言っているのがわかるくらいだ。
そして、時間となる。
いつもは球場として使っている芝生。白いステージがあり、スポットライトがステージの中央に当たった次の瞬間──。
大きな音とともに、ステージから火柱が当たる。
周囲の人たちはいよいよだと興奮したのだろう。HIASOBIのイメージカラーであるオレンジのサイリウムを回し始める。
火柱の隙間から、ジャンプするかのようにステージの真ん中から飛び上がってきた人物。
黒髪のロングヘアにすらりとしたスレンダーな体系の女の人。
やっぱり美人だね~~HIASOBIさん。
火柱が消えて、軽くトークタイムに入る。トークも、丁寧で観客たちを魅了。丁寧なあいさつに、面白いトーク。
そして、歌に入っていった。まずは──アイドルとしての自分を歌った歌詞。
それから、サビに入っていく。入った瞬間、再びステージから大きく火柱が上がった。
豪快な音とともに、花吹雪が会場に舞い上がる。
周囲は大盛り上がり。ヒートアップし、大歓声がこだまする。アイドルとしての歌詞から、熱血ロボットを歌った歌詞へ。いかにも熱血アニメの歌詞と、気合の入った歌い方へと変わる。
かわいさを意識して、アイドルっぽかった声から強く悪と戦う声へ。その変化のすごさ、同じ人の声とは思えないほどすごい。
「おおっ! すごいのじゃ」
「すごい盛り上がってるやんけ!」
「これがHIASOBIのすごい所なんです」
歌うときも配信の時も、いつもこうして炎の演出を使い、周囲を驚かせている。
今までに見たことがない歌詞に、リズム。それでいて一つ一つの技術力も高い。
気が付けば、この場にいる全員がその歌声に夢中になっていた。特に、熱血ロボットの部分は──毎回全員で大合唱になったほど。
こういうカリスマ性。私も身に着けたい──私だって頑張っているけど、彼女のように、もっと人を引き付ける素質をもった人だっている。
そして、歌が終わりトークの時間となる。
そして、それから数曲のアニメ曲を歌い終えた後、歌が終わりトークの時間となる。
作曲の裏話や、日常会話などを悠長に話す。やっぱり、人を楽しませるスキルもあるんだな──。
そして、そんな話がしばらく続いた後。
そろそろごろ会いかな。私が手を上げると──。
「あっ璃緒さん。会えてよかったです」
HIASOBIさんが私に気が付いたのか、こっちを向いて言葉を返してくる。
「こちらこそ、HIASOBIさんとこうして、話せて光栄です」
そして、ネフィリムさんとろこさんの腕を引っ張る。
「行きましょ、あのステージへ」
「まじかい??」
「おおっ! 楽しみなのじゃ」
驚いているろこさん。ええい、半ば強引に連れ出しちゃお!!
ネフィリムさんは好奇心旺盛に、ろこさんは驚きながらも私の後をついていく。
そして、私たちが歩いていくと周囲の人がひそひそとしゃべりだした。
「あのピンクの髪の子、璃緒ちゃんじゃね?」
「あ~~本当だ。配信者で有名な璃緒ちゃんだ。やっぱり美人でかわいいな」
「璃緒とHIASOBI? すげぇコラボじゃん」
何か、目立っちゃった。まあどのみちバレるよね。実は、打ち合わせで一緒に話すことになっていたのは黙っておこう。
とはいえこの大観衆の中、ちょっと恥ずかしいかな。
「璃緒さん久しぶりです」
「こちらこそ。せっかくですし、ちょっとお話ししましょうか」
HIASOBIさんからマイクを受け取り、周囲に視線を向けながら話す。話しとはいっても、満員のドームでの話。ちょっと緊張しちゃう。
まずは丁寧にあいさつすると、色々と会話を楽しむ。日常の事とか、初めて会って──まだ駆け出し同士だったころの会話とか。
恥ずかしいこととかもあったけど、2人で楽しそうに語り合う。観客たちも、初耳だったのか興味津々に聞いてくれる。
私は、これくらいでいいか。あとはYとか、ファン向けのニカ生で話してもいいし。
本題はろこさん。大勢の前にいるからか、ガチガチに固まっている。
「あ、あ、あ……HIASOBIさん──」
「ろこさん──でしたね」
「私のこと、し、知ってるんですかかかかか?」
完全に雰囲気にのまれてるかな? 多分、何言ってもダメだと思うから後で私達だけの時間を作るからそこで話そうか。
「知ってますよ。応援してます」
「あ──ありがとうございました!!」
今度は、ネフィリムさんかな。目を輝かせて、興味津々といった感じだ。
「はい」と言って、マイクを渡した。確か、マイクは知ってるって事前の相談で言ってたわよね。
マイクを持って、ネフィリムさんとHIASOBIさんが向かい合う。ネフィリムさんは、大勢の前でも特に緊張とかせずのほほんとしている。
「あっ、ネフィリムさんですか? 本物だ。会えてうれしいです」
8
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる