料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子

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第3章 咲き誇る竜花と大龍の意志 料理屋「○」拡大成長編1

狼と虎と時々親父〜運輸と海運は国の動脈〜4

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外をぶらつく不敵な影が、料理屋「◯」の看板を見て訝しげにみている
「本日貸切の為、またのご来店お待ちしてます・・・だと?」

「男爵であるこの私を無碍にしたこの店を貸切にするとはどんな輩だあ?」

ヤーナリズム男爵だった
ヤーナリズムは中の様子をこっそりと覗き見して中のメンバーを見て驚く

「なんだこのメンバーは侯爵様と各ギルドのマスターと例の魔法騎士団の2人に有名な冒険者?・・・待てよあの侯爵様と一緒にいる方は王様?!」
「絶対に何か有る・・・これはここのマスターの弱みを見つけて奴に付け入るチャンスでは無いか?いや・・・絶対そうだ!私が決めたのだから絶対付け込んでやる!」

ヒヒヒ・・・と声を潜めて中の様子を伺うヤーナリズムであった



中ではリュカさんと俺の説明が始まっていた

「そもそもマスターが規格外の力を持っておったのは何故かは知らぬが・・・マスターに10階層のセーフポイントの結界石を変えてもらう依頼を儂がしたのじゃ・・・ついでに備蓄品を補充して貰うマスターには簡単な依頼じゃった」

「俺はその備蓄品が冒険者を救うというギルドの姿勢に共感して料理屋として手伝ってあげたいと思い、ダンジョンのセーフポイントでご飯を食べれたら助かるのではないかと考えたんです」

「そこからはマスターのスキルについての説明になるのじゃが・・・マスター遮音の魔法なんぞ作れんかのう?」
「うーん多分出来ますね!えぇと音の振動を打ち消すイメージで対象空間に見えない防音膜を貼れば・・・よっと・・・ティグリスさん何か話してみて下さい」

「・・・・・・・・・・・・」

皆がティグリスさんに注目し、言葉を聞こうとするか、口だけ動いて音は聞こえない
最後は大きな声で騒ぐような素振りも音は届かなかった

俺が魔法を解くと、
「こんな感じでどうでした?」

「凄ぇな・・・かなり大きな声で叫んでみたんだが、全く聞こえなかったのか?」

全員が頷き、リュカが続けた
「マスター今の魔法を広範囲で店の外に音が漏れんようにしておいておくれ」

俺は了承して防音魔法を展開する

「無詠唱で・・・防音魔法?!聞いた事がありませんよ?どうやったらそんな事ができるんですか?」
魔法騎士団の副団長でもあるジークから驚きの声が漏れる

「まぁ原理はマスターしか解らんが要は空間を操る魔法が使えるという事じゃ」

皆が一様に驚く

「目の前で見ても信じられん」
「空間を操る・・・そんなの賢者いや大賢者様?」
「まさかそれって」

「まさかのそれじゃ・・・マスターはマジックバックを自作出来るし空間を繋げて物を送ったりおそらく空間転移も可能じゃ、しかもその能力の付与も出来るらしいのう・・・帰還石作れるとか言うておったしの・・・」

「何で大賢者レベルの人が料理屋やってんの?」
バッツが呆れながら疑問を投げかける

「料理が好きで食べる人が喜ぶ姿を見るのが好きなんです」

「無欲じゃろぅフフフ・・・そこを儂は気に入っとるんじゃが・・・」

「周りは放っておかないでしょうね・・・特に商人や金に執着する貴族や悪い連中は特に」
シルバーは深刻な顔でいう
「商業ギルドでも、そんな能力者は喉から手が出る程欲しい人材です」

「海運ギルドもそうだぜ!マスターがいたら仕事が一人で完結しちまう」

「いやいや騎士団や軍なんか最も必要でしょう・・・送兵と帰還を一瞬で出来る騎士団や軍なんて世界最強です」

「だから内緒にしておったのじゃ・・・幸いにもここにおる関係者は、マスターをそのように扱う人間ではないと信じるからこそ打ち明けたのじゃ」

「ありがとうございます・・・俺もあまり派手に生きたいとは思ってませんし、料理屋のマスターがちょうど良いと考えています」

「うーむマスターの心はしかと理解した・・・さてそうなると周りをどうするか・・・かの」

「とりあえず秘密にして頂いて、たまに皆さんがご飯食べに来てくれれば今はそれで良いかなと」

ティグリスさんが待てをかける
「それじゃ済まない問題があってよ!冒険者達が滅茶苦茶ダンジョンに来てるから海運ギルドも商業ギルドもてんてこ舞いなんだぜ・・・」

シルバーさんが提案して来る
「おそらく単純に集中し過ぎているのが問題かもしれません・・・今は地下ダンジョンにしかこのサービスをしてませんよね?これが分散されれば今の状況は解消出来るかもしれませんね」

「マスター、他のダンジョンでも同じ事が可能なのかね?」
オルステイン侯爵が聞いてきた

「可能ですが、一度でいいから現地に赴く必要があります・・・一人だとなかなか大変なので、情報共有やなんならパーティで行けばもっと効率よく回れるかもしれません」

「ふむ・・・まずはアナスタシアだけでも分散できるように山岳ダンジョンと森奥のダンジョンにも同じサービスを展開してもらえるだろうか?」

侯爵家からの正式なギルド依頼としてお願いされてしまった

「分かりました!では山岳ダンジョンにいく際は『銀狼の牙』からジンさん達、森奥のダンジョンには『聖竜の花』からリナさん、魔法騎士団からジークさんとバッツさんを臨時パーティで誘っても大丈夫ですかね?」

「うちらは大歓迎だぜ!ガハハハッ」
「私は大丈夫です」
「俺たちもオッケーだぜ!」

「ギルドは最大限にサポートしよう・・・なんなら儂も一緒に行ってもええくらいじゃがの」
「おい・・・そりゃずりぃぞ・・・それなら俺も行くぞ?シルバーも行くだろう?」
「当然ですわ!運動不足で暴れたい気分でしたし・・・ダンジョンで美味しいご飯食べたい・・・というか呑みたい」

「戦力過多でオーバーキルじゃぞ」
王様が大笑いする

「さて、細かい日程は後日調整という事でまずはあらためて乾杯して今日は皆んなで楽しみましょう!」
「わーい!パーティなのにゃ♡」

ジャンにベティとモーラも呼んできてもらい、料理屋「◯」と各ギルドとアナスタシア、ブルームドランの今後の繁栄を祈って宴会を開く事にした





その頃、外でこっそり様子を伺っていたヤーナリズム

「くそ!途中から全く聞こえなかった・・・仕方ない・・・こうなったら・・・フフフ」

悪い顔のヤーナリズムは中で楽しむミャオを狙い澄まし何かを企むかのように呟きながら闇に帰って行くのであった

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