料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子

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第3章 咲き誇る竜花と大龍の意志 料理屋「○」拡大成長編1

ミャオの華麗な休日〜ヤーナリズム男爵の誤算〜2

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「まっずーいにゃ!全部ぜーんぶマズいのにゃ・・・むしろ何でこんなにマズく作れるか不思議なくらいなのにゃ!」

・・・ミャオは荒れていた

「ミャオ嬢・・・さすがに言い過ぎではないか?シェフ達も泣いてるし・・・」
「うちの店に来た時も言ってたが、そんなにマズいかぁ?」

・・・二人は不思議でしかたない・・・
これが、この味が当たり前とこの国で育ってきた人間にとってはミャオの不満は到底、理解出来ない

「ハルの料理を見れば一目瞭然にゃ!・・・・・・仕方ないのにゃ!ミャオのご飯だったけど可哀想だから少しだけ見せてやるにゃ!目ん玉おっ広げるにゃ」

・・・ミャオは二日間かけて食べようと思ったハル特製のお弁当達をこっそりミャオ専用マジックバックから取り出し、ヤーナリズム、店長、シェフ達の前に広げてみせた

「これは・・・綺麗な盛り付けに彩り豊かで匂いも良い・・・凄く美味そうだな」
「今まで習った料理にこんな物は無かったぜ」
・・・シェフ達も一様に驚き、騒ついている

「これが・・・あの店のマスターの料理なのか?・・・どれ味見を・・・」
「あー旦那ずるいぜ!俺も少しだけ」
シェフ達「私達も少しだけ・・・」


「な・・・何やってるにゃ!食べさせるとは言ってないのにゃ!」

「美味い・・・う・・・美味すぎるぞぉお!!」
「なんてこった・・・こんな料理がこの世に在るなんて・・・これが料理というなら俺が出している物はゴミだ・・・」
シェフ達「私達がシェフなんて恥ずかしくなる・・・教えて欲しい・・・こんな料理を作る術を」

皆んなは手と口が止まらない・・・ミャオのお弁当はあっという間に無くなってしまった

「お前たちぃ・・・ミャオの弁当全部食べたにゃあ!許せんのにゃ!」

「ミャオ嬢・・・すまない!こんなに美味い料理を食べた事が無かったから手が止まらなくなってしまったのだよ」
「本当だぜミャオ嬢!あんたがうちの料理をマズいと言う理由がわかった・・・ミャオ嬢のマスターは凄い料理人だ!」
・・・シェフ達も深く頷く

「ハルが凄いって伝わったなら、良かったにゃ・・・でもミャオのお弁当の恨みはお買い物で返してもらうにゃ!それと夜ご飯と明日のご飯も奢り確定にゃ!」

「それは任せたまえ!しかしマスターレベルの料理を出す事は私達には無理だぞ?」

「・・・こうなったら仕方ないにゃ!誰か地下ダンジョン10階層までの護衛を雇ってくるにゃ・・・あとダンジョンに泊まる準備しておくのにゃ」

「何故ダンジョンなのかね?」
「そうだぜ?ダンジョンに美味い飯なんか無ぇだろ?」

「行けばわかるにゃ・・・とりあえず店長はしっかり準備と護衛を探して来るにゃ・・・ヤーナタイプ卵白は買い物に付き合うのにゃ」

「ヤーナリズム男爵なのだよー!ミャオ嬢、わかった手配は店長にまかせようぞ・・・」

「次はいつも着る服を鬼ほど買ってやるのにゃ!行くにゃ!」
「え~程ほどにしてくれたまえよ・・・」

・・・ミャオとヤーナリズムは服屋へ向かう
ミャオはお気に入りの動きやすい服で流行りのデザインが多いお店を3軒梯子して大量の服を買わせたのだった

「ミャオ嬢、流石に買い過ぎでは無いのかな?私には同じような服にしか見えないのだが・・・」

「そんな事はないにゃ!それぞれ良い所が有るのにゃ!ミャオの弁当にはそれ程の価値があったのにゃ!」

「流石に勘弁して下さいよぉミャオ嬢」

「む~仕方ないのにゃ、今日のところは勘弁してやるにゃ、マンナンライフ蒟蒻!荷物を家まで運ぶにゃ」
「ヤーナリズム男爵ですってば、どんどん離れてるのだよ」

・・・家に着き、買い物袋を置いたらミャオがヤーナリズムに手紙を書かせる

「帰って来た時にすれ違うと悪いにゃ・・・ハルに地下ダンジョンの10階層にいると手紙を書いておくにゃ」

「分かりましたよ・・・文章は私流で良いですね」

「任せるにゃ、書いたらお金持ってダンジョンに出発にゃ!」

・・・ヤーナリズムの屋敷に戻り、ダンジョンに入るメンバーは荷物を持ち、雇った護衛達と合流する

メンバーはミャオ、ヤーナリズム、カフェ店長、シェフ2人、護衛の冒険者4人だった
9人の大所帯のパーティにはなったが冒険者達の的確な罠対処と護衛力で無事にセーフポイントに辿り着いた

セーフポイントには他冒険者達のパーティが4組程先客しており、すでにお祭り騒ぎでエールを飲みながら楽しんでいた

「何なのだ?これは」
「ここダンジョンだよな?何で皆んなエール飲みながら飯食ってんだ?」

・・・ヤーナリズムとカフェ店長、シェフ2人は知らなかった様だ
護衛の4人が説明してくれる
「ここは今までは普通のセーフポイントだったんだがよ、最近冒険者ギルドが始めた有料の自動販売レストランが楽しめる超穴場なのさ」

「何だと・・・そんな商売があるのか?」
「どうやって買うんだ?」

「ここに説明書き有るだろ、このメニューの中に有る飯なら金を払えばすぐに熱々の料理と箸やフォーク、それに冷えたエールがカップに入って出てくる・・・あとは楽しむだけさ」

「最近メニューが増えて、牛丼ってのとカレーライスってのもあってバリエーション楽しめて良いよなあ・・・これからも増えていくらしいぜ!」

「ミャオ嬢これ・・・知ってたんですか?」
「ハルは冒険者もやってるから教えて貰ったのにゃ!」
「なるほど・・・!とりあえず試しに買って食って見ようぜ旦那」
「うむそうだな!」

・・・人数分のエールとから揚げ、ポテト、カレー、牛丼、サンドイッチ、おにぎりを買ったヤーナリズム
「凄い!本当に料理が熱々でエールは冷えている」
「じゃあ今日はヤーレンソーラン豚汁の奢りだそうにゃ!乾杯にゃー!」
「かんぱ~いってヤーナリズム男爵で有るぞ!いい加減覚えたまえ!わざとか?わざとなのか?」

「かんぱ~い楽しいニャー」

・・・皆んなも自然と笑顔になる
「まぁダンジョンじゃ肩書きなんか意味ねーから楽しむしかねぇぜ旦那・・・美味いぜこの飯も」
「納得はいかんがそういう事かもしれんな・・・たまにはしがらみを忘れて私も楽しむ事にしよう」

・・・ヤーナリズムも美味い飯と酒に舌鼓を打ち、ダンジョンという非日常を楽しむのであった


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