32 / 80
第3章 女たちの恋模様
32 完遂
しおりを挟む
結局その日、悦子は再び大輝の家で甘美なひとときを与えられた。
唇と舌とを間断なく吸い尽くされながら悦子の脳裏に浮かんだのは、「前回」の経験だった。ここで、この男に、イかされた自分。大輝の見目美しい容姿を前にして照れや緊張が完全に抜けているわけでもなかったが、再び彼のベッドに横たえられた今、酒の勢いにあの至高の快楽の記憶が加わっては、「この先」を欲する気持ちに勝るものはなかった。
長らく耳年増を極めた悦子は、これまで専らインターネットで性に関する情報を仕入れてきた。その中で、セックスでは達することができないがゆえに、彼氏がいてもなおオナニー三昧、という女性が相当数存在するという話を読んだことがある。それを考えると、わずか二度目の(実質初めてと言ってもよい)本番にして早くも絶頂へと導かれるなど、奇跡に等しかったのではないか。
自分の強欲さに嫌悪を覚える暇もなく、悦子は全身をくまなく揉みしだかれ、あっという間に骨までとろけ切っていた。ひたひたと淫らに濡れそぼった膣の中を、大輝の細長い指が行き来しては撫で回す。
今日の大輝は、悦子に話しかける代わりに、両の乳房に熱心にしゃぶりついた。汗ばんだ麓を舌でなぞり、なだらかな斜面に唇を這わせる。頂を含んで潤しては、ふっと息を吹きかけて悦子を悶えさせた。
優しい。嬉しい。気持ちいい。それなのに、とてつもなく歯痒くもあり、気を緩めれば絶叫してしまいそうになる。
「ん……大輝……」
己の声に露骨なおねだり感を聞き取り、悦子は軽蔑されることを恐れた。しかしそれはほんの一瞬のこと。目の前の男は淫靡な笑みを浮かべると、悦子の首筋をベロリと舐め上げた。
「っ……!」
その舌が悦子の唇をこじ開け、口の中を縦横に這い回る。その味を一秒たりとも逃したくなくて、悦子は必死に舌を絡め返し、力を込めて吸い付いた。次第に惚け始めた脳をそのまま手放してしまいそうになった時、ピリッという聞き覚えのある開封音が耳に入った。しかし、キスは止むどころかむしろ加速していた。口が解放されないまま、明らかに指とは質量の異なるものが下腹を埋め始める。
「んー……んっ」
そこからはさすがに先日のごとく悦子の反応を窺い出すのかと思いきや、大輝は何の遠慮もない様子で、そのままリズミカルに腰を振り始めた。悦子には「イきそう」という感覚がすでに訪れていた。
「んんー!」
喉から懸命に声を発してそれを訴えようとするが、大輝はおかまいなしに悦子の舌を絡め取り、一瞬体勢を立て直したかと思うと、ますますスピードを上げて悦子の中を擦る。
(ヤバイ……もう無理っ!)
心の中でそう叫びながら、何がどう無理なのかも悦子にはわかっていなかった。そのうち、酸素を欲したらしき大輝が、悦子の唇をようやく放した。押さえ込まれていたあられもない喘ぎを、悦子は漏れるに任せた。間もなくその声すらも掠れ、目尻から一つ、雫がこぼれ落ちた。
(助け……て……)
そう口に出したわけではなかったが、不意に外側に触れられるのを感じた。大輝がおそらくは指の腹で、悦子の陰核を押し潰している。動きのないその圧迫は悦子にとって未知のものだったが、中での勤勉なピストン運動との絶妙なコンビネーションで偉大な効果を発揮した。そこへさらに、左の乳首を甘噛みされる。その歯の隙間から漏れる大輝の荒い呼吸に煽られるようにして、悦子はここぞとばかりに神経を集中させた。
脳が真っ先にそれを捉え、あっと思った瞬間、中にいる大輝に膣奥の壁がしがみつく。盛りのついた猫のような叫びが悦子の喉から絞り出されると同時に、腹筋が激しくひくついた。
余韻なのか最中なのか定かでない心許なさの中で見上げると、大輝が苦しげにぎゅっと目をつぶるのが見えた。その手が己の根元をつまんだかと思うと、奥底からずるると一気に引き抜く。
「ぁあっっっ!」
強すぎる刺激に、悦子は堪える余裕もなく悲鳴を上げた。しかし中身を失ってもなお、悦子の腹の奥は別の生き物のようにビクビクと震え続ける。霧がかかったような意識の片隅で、悦子の目は、ゴムを押し破らんばかりに膨張した男根を映していた。それを持ち主自身の手が数度しごくと、ゴムの中が瞬時に白で満たされた。
「あっぶね」
と、額の汗を拭う大輝。その口元に、どこかあどけないような歯列が覗く。それに見とれながら、悦子は痺れた体をどうしようもなくただ横たえていた。
ぼんやりと「そういえば」と思う。この前はどうだったのだろう。悦子が頂点に至った後、大輝はすぐに悦子から出ていったような気がするが、その後に今日のようなプロセスを見届けた記憶はない。その前の、正真正銘の初回の時は、動くことすらさせてやれなかった。生まれて初めて本物の男の精を目にしたのは、たった今のことだ。男だって感じていなければイけないのは同じだろう。そう考えると、これまでに味わったことのない独特の感慨があった。
二人分の乱れた呼吸が、しだいに落ち着いていく。悦子はようやく寝返りが打てるまでに回復すると、無意識に枕を引き寄せ、そこに顔をうずめた。
「あ、ちなみに」
と、大輝の声。
「ん?」
「まだ終わりじゃないからね」
(……え?)
唇と舌とを間断なく吸い尽くされながら悦子の脳裏に浮かんだのは、「前回」の経験だった。ここで、この男に、イかされた自分。大輝の見目美しい容姿を前にして照れや緊張が完全に抜けているわけでもなかったが、再び彼のベッドに横たえられた今、酒の勢いにあの至高の快楽の記憶が加わっては、「この先」を欲する気持ちに勝るものはなかった。
長らく耳年増を極めた悦子は、これまで専らインターネットで性に関する情報を仕入れてきた。その中で、セックスでは達することができないがゆえに、彼氏がいてもなおオナニー三昧、という女性が相当数存在するという話を読んだことがある。それを考えると、わずか二度目の(実質初めてと言ってもよい)本番にして早くも絶頂へと導かれるなど、奇跡に等しかったのではないか。
自分の強欲さに嫌悪を覚える暇もなく、悦子は全身をくまなく揉みしだかれ、あっという間に骨までとろけ切っていた。ひたひたと淫らに濡れそぼった膣の中を、大輝の細長い指が行き来しては撫で回す。
今日の大輝は、悦子に話しかける代わりに、両の乳房に熱心にしゃぶりついた。汗ばんだ麓を舌でなぞり、なだらかな斜面に唇を這わせる。頂を含んで潤しては、ふっと息を吹きかけて悦子を悶えさせた。
優しい。嬉しい。気持ちいい。それなのに、とてつもなく歯痒くもあり、気を緩めれば絶叫してしまいそうになる。
「ん……大輝……」
己の声に露骨なおねだり感を聞き取り、悦子は軽蔑されることを恐れた。しかしそれはほんの一瞬のこと。目の前の男は淫靡な笑みを浮かべると、悦子の首筋をベロリと舐め上げた。
「っ……!」
その舌が悦子の唇をこじ開け、口の中を縦横に這い回る。その味を一秒たりとも逃したくなくて、悦子は必死に舌を絡め返し、力を込めて吸い付いた。次第に惚け始めた脳をそのまま手放してしまいそうになった時、ピリッという聞き覚えのある開封音が耳に入った。しかし、キスは止むどころかむしろ加速していた。口が解放されないまま、明らかに指とは質量の異なるものが下腹を埋め始める。
「んー……んっ」
そこからはさすがに先日のごとく悦子の反応を窺い出すのかと思いきや、大輝は何の遠慮もない様子で、そのままリズミカルに腰を振り始めた。悦子には「イきそう」という感覚がすでに訪れていた。
「んんー!」
喉から懸命に声を発してそれを訴えようとするが、大輝はおかまいなしに悦子の舌を絡め取り、一瞬体勢を立て直したかと思うと、ますますスピードを上げて悦子の中を擦る。
(ヤバイ……もう無理っ!)
心の中でそう叫びながら、何がどう無理なのかも悦子にはわかっていなかった。そのうち、酸素を欲したらしき大輝が、悦子の唇をようやく放した。押さえ込まれていたあられもない喘ぎを、悦子は漏れるに任せた。間もなくその声すらも掠れ、目尻から一つ、雫がこぼれ落ちた。
(助け……て……)
そう口に出したわけではなかったが、不意に外側に触れられるのを感じた。大輝がおそらくは指の腹で、悦子の陰核を押し潰している。動きのないその圧迫は悦子にとって未知のものだったが、中での勤勉なピストン運動との絶妙なコンビネーションで偉大な効果を発揮した。そこへさらに、左の乳首を甘噛みされる。その歯の隙間から漏れる大輝の荒い呼吸に煽られるようにして、悦子はここぞとばかりに神経を集中させた。
脳が真っ先にそれを捉え、あっと思った瞬間、中にいる大輝に膣奥の壁がしがみつく。盛りのついた猫のような叫びが悦子の喉から絞り出されると同時に、腹筋が激しくひくついた。
余韻なのか最中なのか定かでない心許なさの中で見上げると、大輝が苦しげにぎゅっと目をつぶるのが見えた。その手が己の根元をつまんだかと思うと、奥底からずるると一気に引き抜く。
「ぁあっっっ!」
強すぎる刺激に、悦子は堪える余裕もなく悲鳴を上げた。しかし中身を失ってもなお、悦子の腹の奥は別の生き物のようにビクビクと震え続ける。霧がかかったような意識の片隅で、悦子の目は、ゴムを押し破らんばかりに膨張した男根を映していた。それを持ち主自身の手が数度しごくと、ゴムの中が瞬時に白で満たされた。
「あっぶね」
と、額の汗を拭う大輝。その口元に、どこかあどけないような歯列が覗く。それに見とれながら、悦子は痺れた体をどうしようもなくただ横たえていた。
ぼんやりと「そういえば」と思う。この前はどうだったのだろう。悦子が頂点に至った後、大輝はすぐに悦子から出ていったような気がするが、その後に今日のようなプロセスを見届けた記憶はない。その前の、正真正銘の初回の時は、動くことすらさせてやれなかった。生まれて初めて本物の男の精を目にしたのは、たった今のことだ。男だって感じていなければイけないのは同じだろう。そう考えると、これまでに味わったことのない独特の感慨があった。
二人分の乱れた呼吸が、しだいに落ち着いていく。悦子はようやく寝返りが打てるまでに回復すると、無意識に枕を引き寄せ、そこに顔をうずめた。
「あ、ちなみに」
と、大輝の声。
「ん?」
「まだ終わりじゃないからね」
(……え?)
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる