恋の駆け出し記念日 ~23歳の地味処女にやたら優しいイケメンは、誰よりも真面目なワケありプレイボーイでした~

生津直

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第3章 女たちの恋模様

33 コアラ

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 悦子がその意味をはかりかねている間に、大輝はキッチンに行ってペットボトルを一本持ってきた。ぐいっとそれを飲み、悦子にも差し出す。中身は麦茶。悦子も喉はカラカラだ。二口三口飲むと、いくらか正常な感覚が戻ってきた。

 大輝は、布団に横座りした悦子を両脚で囲み、肩を抱き寄せて口づけた。その状況に、初めての日のコアラ抱っこを思い出す。あんな風にまた、密着できたらいいのに。そんなふしだらなことを考え、自分で恥ずかしくなってすぐに打ち消した。

「何?」

「え? あ、ううん。何も」

「何よ。またしたくなってきた?」

「いや、そういうわけじゃ……」

「もうしたくない?」

「え? ん……んー」

 寝てしまうのはもったいない気もするが、すでに結構な体力と精神力を使った気がしている。うつむいた悦子に、大輝の声が囁く。

「一人でする時だってさ、一回で終わりじゃないっしょ?」

「えっ?」

「いつもさ、何回ぐらいしてんの?」

 してませんそんなこと、と言いたいところだが、見え透いた嘘にしかなりそうにない。

「ノ、ノーコメント、って、ありですか?」

 ふふっ、と大輝が笑みをこぼす。

「しょうがないな。まあ君だから許すか」

 その指が悦子の髪をいた。大輝にはドキドキもさせられるけれど、不思議な安心感も覚える。先ほど誘いをかけてきたタカユキについていかなくてよかった、と悦子は改めて安堵した。

 ふと気付くと、大輝がわずかに首を傾げてこちらを見つめていた。

「……何?」

「うん。君の頭は常に何かを考えてるからね。油断ならないなと思って」

「いえ、別に大したことは……」

「ぎゅってしてほしい?」

 空気を読まれてしまった。反射的にこぼれた照れ笑いを、悦子は肯定の意味で少し広げた。

「じゃあ、ここ座って」

 両脚を伸ばした大輝は、太腿の上にまたがるよう悦子に手で示す。全裸のまま自ら大輝の目の前で脚を開くことには多少の抵抗を感じたが、いざ腰を下ろしてしまうとすぐにその身を掻き抱かれた。大輝の温かい背中に手を回す。しばらくそうしているうちに片手でぷにっとお尻をつかまれ、それを愛情表現と受け取った悦子の脳は幸福感に満たされた。

 ふと腹に硬いものを感じて下を見ると、いつの間にか男の象徴が頭をもたげている。

「そこ、下の引き出しからさ、ゴム一個取ってもらっていい?」

「あ、うん……」

 まだ終わりじゃないと宣言されたことは、悦子も忘れていない。ベッド下の引き出しを開けると、浴用タオルやティッシュの他に、それらしき箱がずらり。さすがというか何というか。

「一番こっち側のやつがいいな」

との指示に従い、一つをつまみ出した。大輝に渡そうとするも、すぐに次の司令が下った。

「着けてくれる?」

「あ、えっと……」

「そこ、端っこから開けて」

 袋はピリッと簡単に開いた。

「うん、そしたらここ持って……そう。こいつの先っちょに……こっちの手でこうして。そう。そんで、くるくるくるーっと」

 言われるまま懸命に手を動かし、悦子は大輝にゴムを被せる。

「よし、できた。上手だね」

 ご褒美とばかりに、優しいキスが与えられる。夢中で大輝の舌を追っていると、悦子の不格好な乳房が大きな手に覆われた。間もなく、先端に強い刺激。

「んっ……」

 乳首を人差し指と中指の間に挟まれたまま、手のひらに全体をワシワシと揉まれていた。たちまち意識がふわふわし始める。自分が再び高まりつつあることが、悦子には信じ難かった。

(まだ三十分も経ってないのに……)

「ほんと、いいおっぱいだな。いっぱい感じてくれて。……こっちはどうかな?」

 そう囁いた大輝の他方の手が、悦子の股の間に滑り込む。その指先が火照ったつぼみを捉えると、浅いところでゆるゆると旋回させた。

「あ……」

 そういえば外側は先ほどの時点でほとんど刺激されていないから、新鮮な感度が保たれているのだろうと気付く。

 大輝の指が割れ目を縦になぞると、そこがたっぷりと濡れていることが悦子にも伝わった。その汁気を最大限に生かし、複数の指が滑らかに入口を這い回る。

「はぁっ……ん……」

 早くも次のピークの兆しが見えてきていた。胸への愛撫と中心へのそれとが意識の中で一つにつながった時、悦子は本能的に恥骨を前方へと押し出していた。

 しかし、あと少しというところで、大輝に手を離されてしまう。不服の声をギリギリのところで飲み込み、代わりに悦子は目の前の美しい胸に顔を埋めた。

「中入っていい? ほら、せっかく着けてもらったし」

 悦子がコクンとうなずくと、それに応えるようにゴム付きのペニスがピコッと動いた。

 大輝は悦子の手を自分の両肩に置かせ、悦子の腰を支えて合体を助ける。二人そろって眉間に恍惚のしわを刻みながらの共同作業により、大輝は悦子の奥深くに埋まった。
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