神万の方術師 

一ノ瀬はらら

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呪いの公衆電話1

呪いの公衆電話3

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がらんがらんと鳴る鈴の音。
すいすいと透き通った池の中でコイやら金魚やらが泳ぐ。
入り口には、見たことのある大きな赤い鳥居がどすんっと立っている。


「夜読くんの家って神社なの?!」
(しかも昨日追いかけられた時に逃げこもうとしてたあの神社。)
成績優秀、顔だけで食べとていけるといわれているほどのイケメン男子、律月の家がどこか分からないと女子達が言っていたのをふと思い出す。
「そう。今はここの神社の 神主かんぬしである父と祖父と三人で一緒に暮らしているんだ。建は亡くなった母の兄の子どもだから、一応祖父とは血縁関係がある。」
「なんだか話がややこしいな。で、俺達は今日はそのじいちゃんに会いに来たんだ。」

神社の隣にたっている大きな和風のお家に入る。

「おじい様は、初めて見たらきっとビックリすると思う。」
「うん、初見はきっと衝撃的だね。」
(めっちゃ気になるんだけど)

「あとものすごく頑固。僕達が生まれる前からずっと。昔は違ったらしいんだけど、昔、双子のお兄さんが亡くなってから性格が変わったらしい。」

木でできた床を進んでいくと、大きな月と、二羽の鳥の日本画が描かれたふすまが現れた。
(建くんのおじいさんでもあるわけだから、その人も“祓師”なのかな……?)
「父さん、おじい様、入ります」
夜読くんは正座をして、両手で丁寧にふすまを開く。

「よく来たね」
ふすまの向こうにいたのは、物静かそうな、四十代くらいの男の人。律月によく似た、すっきりとしたきれいな顔立ちをしている。
この人が多分、律月のお父さんなのだろう。
後ろにいるのは一人は気難しそうなおじいさん。こちらに背を向けて座っている。
「なんじゃ。」
「建とその友達の佐瑠女さんが来ました。おじい様に要件があるようです。」
すると、おじいさんはくるりとこっちを見た。

ミヤビはその姿を見て一瞬固まってしまった。 
なぜならおじいさんの右目の色がなんと銀色だったのだから。
たしかに“初見は衝撃的”というのは本当だ。
おじいさんは、右手の薬指に指輪をしていた。

「じいちゃん。今日は頼みがあってきたんだ」 

「…天土祭に自分達を神職見習いとして連れて行ってほしい、そうじゃろう?違うか建?」

「…っ。正解だよ…」
建が悔しそうに唇をかむ。

(今、このおじいさん建くんの言おうとしてたことを当てた…?!)

おじいさんは少しだけふっと笑っだと思ったら、くわっと恐ろしい形相になった。

「大人をみくびるのも、 大概たいがいにせいッ!」

空気がビリビリと震えるようないきなりの一喝で思わず背中がピンッと伸びる。

「子どもは子どもらしく学校へ通い、友と遊ぶのじゃ!そもそもお前は、お前の……ゲホゲホゲホッ!」

「お義父さん、大丈夫ですか!」 
「じいちゃん?!」
ゲホゲホと激しく咳き込むおじいさんを律月の父が慌てて支える。

「建君、君は最近は神万町の“人ならざるもの”に関わっているそうじゃないか。今朝も君の連れている八陀と因幡が町を見回っているのを見かけたぞ。」

律月の父が少し冷えたような口調で言う。

「それは…」

「危ない仕事は大人に任せて君は君の生活を送るんだ。分かったかい?今日はもう遅い。家に帰りなさい。」
おじいさんをつれて律月の父は部屋を出て行ってしまった。
 
(あれだけ言われたんだ。さすがの建くんも落ち込んでるだろうな)
「あの、建くん……」

「クッソ~やっぱダメだったか~」
しかし建は全く落ち込んではおらず、ごろんっとタタミの上で大の字に横になった。

「いや、マジでちょっとくらい反省しろよな」
律月が呆れたように建を見下ろす。 
建のことだ。多分昔からいたずらでもして怒られてきたから慣れているのだろう。

「なんかじいちゃんに認めてもらえるようないい作戦ないかな…」
「たしかに“子どもだから”って相手にすらしてもらえなかったもんね…。」

あたりに重い沈黙が流れる。
すると、律月がしゃがみこんだ。
「はあ…。君達に一つだけいいこと教えてあげる。今父さん達は“ある幽霊”を必死に探しているんだ。」

「へぇ…?」
「こう考えてみたらどう?“子ども”の僕達がもしその幽霊を見つけて祓ったら、おじい様は認めてくれるんじゃないかな?」
律月は何か企んだように笑みを浮かべる。
「おお、たしかに!律月、お前もしかして天才?」
建がバッと飛び起きる。
(たしかにやってみる価値はあるかも…!)

「ん…?そういえばさっき“僕達”って……」

「そう。“ある幽霊”についての情報を教える代わりに、それ、面白そうだから僕にも参加させてよ。」

というわけで、律月が仲間に加わった。


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