断頭台に恋した高飛車悪役令嬢様は面倒な王子様なんかポイして来世で首切り役人をめざします。〜ドロドロ宮廷の事情なんか私には関係ありませんので〜

一ノ瀬はらら

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ミア・チューリヒ

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「うわぁ」

思わず感嘆してしまう。
荷台の上に乗りながら見える景色。
うっそうとした森を抜けたところにある、歴史を感じる古びた孤城。
周りは大きな美しい湖に囲まれていて、時々白い大きな鳥が水辺にとまる。

私、ミア・チューリヒ、今日が初出勤です!

「お前さん、どこまでだい?」
先頭で、馬の手綱を引く、頑固そうなおじいさんが私に話しかけた。

「あ、えっと、あの大きなお城の近くまででお願いします。」

するとおじいさんはもの珍しそうに私のことをみる。

「悪いことは言わん。やめておけ」

「どうしてですか?」

「あそこには“魔女”が住んでる」

ゴクリと息を飲む。

「魔女………」

「そうだ。魔女は美しく、なんでも人間の首が好きだそうだ。」

何それ、怖!
今すぐ引き返したいところだけど、私にはもうこれしかないのだ。
病気がちの母、遊び盛りの弟と妹が六人、一家の大黒柱であるはずの父は、ギャンブルと女遊びで一家の有金を使い切ってしまい、闇金に手を出し、我が家は借金まみれだ。
これはもう身を売るしかないのではないか……。そう思っていた矢先、風の噂で届いた就職話に食らいつき、手紙を送ってみたところ、案外早く、場所と日時の書かれて返事が送られてきたので、今こうして向かっている最中である。
もしそういう買春宿とかだったらどうしよう、などと思っていたので、“魔女”という単語を聞いて不安が高まるミアであった。


「ご心配いただきありがとうございます。でも私は平気です!」

ふんっと体に力を込める。

最後まで、心配そうな表情を見せていたおじいさんと別れてからしばらく歩く。

城の門前に立つと、改めて城の荘厳さに驚くばかり。

「よくぞお越し下さいました。ミア様」

いきなり話しかけられたものだから思わずビクッとしてしまう。

「あ…はじめまして。ミア・チューリヒでございます。今日からお世話になりますっ」

緊張で相手の顔もろくに見ずに言ったため、恐る恐る目の前の人物に目を向ける。
メイド服を着た女性。一般的には美形に分類される顔だと思う。
この人は魔女ではなく、人間じゃないのかな。
しかし私を見るその表情は決して歓迎しているとはいえない。

「ついてきて下さい。」

冷たい声で言われ、言われるがまま荷物を持ってついていく。

城の中は、大きなシャンデリアが吊り下がっていて、とても豪華!
ーーーー何部屋あるんだろう? 
弟と妹達がはしゃいで喜びそうだ。

「あなたの部屋です。起床は朝の五時です。」

それきりバタンと扉が閉じられる。
どっと疲れが襲ってきて、ベッドに倒れる。
そのふかふかとした寝心地良さの加減に一瞬で夢の世界に引きずり込まれた。
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