24 / 55
初めての外の世界
しおりを挟む
カインの提案で初めて外に出ることになり、用意されたドレスに着替えた。
いつも、クリーム色のほわほわした緩い部屋着が多いのだが、今日はちゃんと貴族の娘らしい服装に身を包むと背筋が伸びる思いだ。
「ビアンカ様、素敵ですね! 春の妖精が舞い降りたようです!」
「……そ、そうかしら? そんなに褒められる照れるわ」
「さっそく、カイン様をお呼びしますね! 私もついて行きますので……」
「えぇ、よろしく!」
外で待っていてくれたカインを呼びに行くニーア。
余程、気に入ったのか、外でカインに話をしているのが聞こえてきた。
「ど……どうかしら?」
部屋に入ってきたカインにも一応聞いておく。が、耳に入っていないようだ。惚けたようにぽーっと私を見ているだけで、何も言わない。
何も言ってくれないカインに私は似合っていなのかと不安になった。
それを見て、ニーアがカインを小突く。
「あっ、あの、とてもよくお似合いです!」
頬をほんの少しだけ赤らめ優しく微笑むカイン。
初めて会ったときに比べ、柔らかく笑うカインを見て嬉しくなった。やはり、利き手が戻ってきて、近衛に戻れたことは、彼にとって大きいのだろう。
「ありがとう! では、冒険へいざゆかん!」
「ははぁっ……どこへなりと!」
私の茶番にも付き合ってくれ、カインが先行し、後ろにニーアが控えてくれた。
初めて、外に出る……少し、緊張の面持ちで、開かれたドアの一歩外を出た瞬間、太陽に照らされ眩しくて思わず手をかざす。
「うわぁ! 外だ!」
「ビアンカ様、あの……」
「言葉遣いね! 鳥籠の中にいると、つい、親しい人しか入れないから、緩くなっちゃうのよね……令嬢らしい言葉遣いになるよう、努力いたしますわ!」
ニッコリ、ニーアに向かって微笑むと、先行するカインに「お手を」と言われ、差し出された手の上にそっと乗せた。
歩けない程ではないのだが、かなり奥まった場所に鳥籠があったらしく、道がデコボコしている。
「セプト殿下もミントもこの道を毎日通っていらっしゃるの?」
「えぇ、そうですよ。男性の靴であれば、少々道の悪さは大丈夫ですけど、ビアンカ様はハイヒールをお履きになってらっしゃるので、念のため」
「これくらいなら、大丈夫ですけど……」
「そうは参りません。セプト様の婚約者なのですから」
「ふぅ……そうなのですよね。諦めてはいるのですけど……やはり、セプト殿下と婚姻することになるのですね」
「失礼ですが、お嫌なのですか?」
「そう聞こえたかしら?」とカインに聞き返すと、黙ってしまう。ということは、そう聞こえたのだろう。
「嫌ではないですわ! 初めて会ったときは、なんて失礼なんだろう! と思いましたし、眠っている間にイロイロあったみたいですから、怒っていたのです。毎日顔を合わせて話をすれば、多少、考えが甘かったり傲慢なところもありますけど、嫌悪はしませんよ!」
「そうですか。それなら……」
「好きかって聞かれたら、きっぱりそうじゃないって言う自信はありますけどね! 内緒ですよ?」
「ビアンカ様っ!」
ニーアが窘めるが、本当のことだ。貴族の政略結婚のうち、どれほどの人が思いあえるのだろう? といつも思ってはいた。その中で、私の両親は、数少ない幸せな夫婦であったように思える。
「カインのことを話しているときは、殿下のことをさすがに見直しましたわ! あなたのことを大事に想っていることが分かったから。ちょっとだけ、どんな友人なのか気にはなっていましたの。今、こうしていると、セプト殿下がカインのことを助けたいと願うのは当然ですね! 私でも、セプト殿下の立場なら、できうることをして、あなたの体だけでなく、心も救いたいと思いますもの!」
セプトにお願いをされたときのことを思いだした。たまたま作った薬で、今、手を取ってくれているカインの利き手が戻ったのだ。ずっと、心に蟠りがあったのは、何もカインだけではないだろう。
「ビアンカ様、本当にありがとうございます!」
「私は、何も。セプト殿下が望まれ、その結果、私の調合した下手な傷薬の治験をしてくれたカインのおかげですから、お礼を言われるようなことは、何もしてませんわ! この時代に来たのもたまたまですからね!」
「そういえば、あの、ビアンカ様は聖女様でしたね!」
「そんな風に言わないでちょうだい。私は、聖女ではないのですもの。ただ、ほんの少しだけ、魔法が使えるというだけでしよ? 私の時代なら、私の魔力なんて、底辺でしかないのだもの!」
「どんな大魔法を使えたとしても、いいとは限りません。ビアンカ様のような人を大切にしてくださる方がいいに決まっています」
カインにそう言われると、そんな気がする。なんだかくすぐったいような気がして嬉しい。
ニーアもなんだが、後ろで微笑んでいる……そんな温かさを感じていた。
「さぁ、つきましたよ! 城の中で1番の庭園です。大きな庭は他にもありますが、こじんまりしている中でも、手入れの行き届いたとても綺麗な場所です。セプト様も執務が終わり次第、ここで落ち合うことになっていますから、ゆっくり、庭園を回りましょう!」
その庭園には、四季折々の花々が手入れをされ咲いていた。
素晴らしく整ったその庭園の真ん中に東屋がある。庭園の周りを少し背や高い木々があり、東屋に向かって花々も背が低くなるようで、より一層、東屋が映えた。
「ステキな場所ですね! 日当たりもちょうどいいし、景色もとてもいいですわ! 花々の優しい香りも気分を良くしてくれますし。カイン、連れてきてくれてありがとうございます!」
「いえ、そんなことしかできませんから。それより東屋に向かいましょうか?」
カインに連れられ、東屋に入った。石のソファがあり、そこに腰掛ける。
カインとニーアは壁にと意識をしてくれているようだが、私は人がいてくれるほうが嬉しい。
「ニーア、ドレスの話してもいいかしら?」
「えぇ、もちろんです!」
「これは……」
「殿下からの贈り物です。サイズは、私の方でお知らせさせていただきました」
「そうなのね? だから、ピッタリだったのね!」
「ビアンカ様のことは、何から何まで把握しておくよう侍女長様から申し付けられていますので」
着心地のいいドレスに私は満足だ。のんびりしていれば、爽やかな風が吹いていく。
風に遊ばれている髪を押さえていると、後ろにカインが立ってくれ、強い風が当たらないようにしてくれた。
「ありがとうございます、カイン」
「いえ、大したことでは……」
「それにしても、とても気持ちのいいところですね! 連れてきてもらって、気持ちも晴れるようですわ! こうしてして、外に出ていると、ずっと部屋にこもっていたんだなって……」
「どれくらいこもられていたんですか?」
「どれくらいかしら?」
私は、空を見上げる。セプトが言うには、空から降ってきたらしい私。
そして、それ以来、あの鳥籠の中で寝かされていたという。
「わかりませんわ。目が覚めてからなら数ヶ月ですけど、もっと前から、あの鳥籠にいたらしいの。眠っていたのですから、特に気にする必要もないですわ!」
ニコッと笑いかけた。するとカインもニーアも笑顔で返してくれる。こんな穏やかな日々が、とても愛おしい。呑気にぐぅーっと伸びをしていると、カインの顔が急に険しくなるのであった。
いつも、クリーム色のほわほわした緩い部屋着が多いのだが、今日はちゃんと貴族の娘らしい服装に身を包むと背筋が伸びる思いだ。
「ビアンカ様、素敵ですね! 春の妖精が舞い降りたようです!」
「……そ、そうかしら? そんなに褒められる照れるわ」
「さっそく、カイン様をお呼びしますね! 私もついて行きますので……」
「えぇ、よろしく!」
外で待っていてくれたカインを呼びに行くニーア。
余程、気に入ったのか、外でカインに話をしているのが聞こえてきた。
「ど……どうかしら?」
部屋に入ってきたカインにも一応聞いておく。が、耳に入っていないようだ。惚けたようにぽーっと私を見ているだけで、何も言わない。
何も言ってくれないカインに私は似合っていなのかと不安になった。
それを見て、ニーアがカインを小突く。
「あっ、あの、とてもよくお似合いです!」
頬をほんの少しだけ赤らめ優しく微笑むカイン。
初めて会ったときに比べ、柔らかく笑うカインを見て嬉しくなった。やはり、利き手が戻ってきて、近衛に戻れたことは、彼にとって大きいのだろう。
「ありがとう! では、冒険へいざゆかん!」
「ははぁっ……どこへなりと!」
私の茶番にも付き合ってくれ、カインが先行し、後ろにニーアが控えてくれた。
初めて、外に出る……少し、緊張の面持ちで、開かれたドアの一歩外を出た瞬間、太陽に照らされ眩しくて思わず手をかざす。
「うわぁ! 外だ!」
「ビアンカ様、あの……」
「言葉遣いね! 鳥籠の中にいると、つい、親しい人しか入れないから、緩くなっちゃうのよね……令嬢らしい言葉遣いになるよう、努力いたしますわ!」
ニッコリ、ニーアに向かって微笑むと、先行するカインに「お手を」と言われ、差し出された手の上にそっと乗せた。
歩けない程ではないのだが、かなり奥まった場所に鳥籠があったらしく、道がデコボコしている。
「セプト殿下もミントもこの道を毎日通っていらっしゃるの?」
「えぇ、そうですよ。男性の靴であれば、少々道の悪さは大丈夫ですけど、ビアンカ様はハイヒールをお履きになってらっしゃるので、念のため」
「これくらいなら、大丈夫ですけど……」
「そうは参りません。セプト様の婚約者なのですから」
「ふぅ……そうなのですよね。諦めてはいるのですけど……やはり、セプト殿下と婚姻することになるのですね」
「失礼ですが、お嫌なのですか?」
「そう聞こえたかしら?」とカインに聞き返すと、黙ってしまう。ということは、そう聞こえたのだろう。
「嫌ではないですわ! 初めて会ったときは、なんて失礼なんだろう! と思いましたし、眠っている間にイロイロあったみたいですから、怒っていたのです。毎日顔を合わせて話をすれば、多少、考えが甘かったり傲慢なところもありますけど、嫌悪はしませんよ!」
「そうですか。それなら……」
「好きかって聞かれたら、きっぱりそうじゃないって言う自信はありますけどね! 内緒ですよ?」
「ビアンカ様っ!」
ニーアが窘めるが、本当のことだ。貴族の政略結婚のうち、どれほどの人が思いあえるのだろう? といつも思ってはいた。その中で、私の両親は、数少ない幸せな夫婦であったように思える。
「カインのことを話しているときは、殿下のことをさすがに見直しましたわ! あなたのことを大事に想っていることが分かったから。ちょっとだけ、どんな友人なのか気にはなっていましたの。今、こうしていると、セプト殿下がカインのことを助けたいと願うのは当然ですね! 私でも、セプト殿下の立場なら、できうることをして、あなたの体だけでなく、心も救いたいと思いますもの!」
セプトにお願いをされたときのことを思いだした。たまたま作った薬で、今、手を取ってくれているカインの利き手が戻ったのだ。ずっと、心に蟠りがあったのは、何もカインだけではないだろう。
「ビアンカ様、本当にありがとうございます!」
「私は、何も。セプト殿下が望まれ、その結果、私の調合した下手な傷薬の治験をしてくれたカインのおかげですから、お礼を言われるようなことは、何もしてませんわ! この時代に来たのもたまたまですからね!」
「そういえば、あの、ビアンカ様は聖女様でしたね!」
「そんな風に言わないでちょうだい。私は、聖女ではないのですもの。ただ、ほんの少しだけ、魔法が使えるというだけでしよ? 私の時代なら、私の魔力なんて、底辺でしかないのだもの!」
「どんな大魔法を使えたとしても、いいとは限りません。ビアンカ様のような人を大切にしてくださる方がいいに決まっています」
カインにそう言われると、そんな気がする。なんだかくすぐったいような気がして嬉しい。
ニーアもなんだが、後ろで微笑んでいる……そんな温かさを感じていた。
「さぁ、つきましたよ! 城の中で1番の庭園です。大きな庭は他にもありますが、こじんまりしている中でも、手入れの行き届いたとても綺麗な場所です。セプト様も執務が終わり次第、ここで落ち合うことになっていますから、ゆっくり、庭園を回りましょう!」
その庭園には、四季折々の花々が手入れをされ咲いていた。
素晴らしく整ったその庭園の真ん中に東屋がある。庭園の周りを少し背や高い木々があり、東屋に向かって花々も背が低くなるようで、より一層、東屋が映えた。
「ステキな場所ですね! 日当たりもちょうどいいし、景色もとてもいいですわ! 花々の優しい香りも気分を良くしてくれますし。カイン、連れてきてくれてありがとうございます!」
「いえ、そんなことしかできませんから。それより東屋に向かいましょうか?」
カインに連れられ、東屋に入った。石のソファがあり、そこに腰掛ける。
カインとニーアは壁にと意識をしてくれているようだが、私は人がいてくれるほうが嬉しい。
「ニーア、ドレスの話してもいいかしら?」
「えぇ、もちろんです!」
「これは……」
「殿下からの贈り物です。サイズは、私の方でお知らせさせていただきました」
「そうなのね? だから、ピッタリだったのね!」
「ビアンカ様のことは、何から何まで把握しておくよう侍女長様から申し付けられていますので」
着心地のいいドレスに私は満足だ。のんびりしていれば、爽やかな風が吹いていく。
風に遊ばれている髪を押さえていると、後ろにカインが立ってくれ、強い風が当たらないようにしてくれた。
「ありがとうございます、カイン」
「いえ、大したことでは……」
「それにしても、とても気持ちのいいところですね! 連れてきてもらって、気持ちも晴れるようですわ! こうしてして、外に出ていると、ずっと部屋にこもっていたんだなって……」
「どれくらいこもられていたんですか?」
「どれくらいかしら?」
私は、空を見上げる。セプトが言うには、空から降ってきたらしい私。
そして、それ以来、あの鳥籠の中で寝かされていたという。
「わかりませんわ。目が覚めてからなら数ヶ月ですけど、もっと前から、あの鳥籠にいたらしいの。眠っていたのですから、特に気にする必要もないですわ!」
ニコッと笑いかけた。するとカインもニーアも笑顔で返してくれる。こんな穏やかな日々が、とても愛おしい。呑気にぐぅーっと伸びをしていると、カインの顔が急に険しくなるのであった。
1
あなたにおすすめの小説
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる