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誰かと思えば
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厳しい顔つきになったカインに私は視線を向ける。穏やかな笑みをたたえていたはずが、明らかに雰囲気が変わった。
「カイン、どうかして?」
「いえ、誰かここへ近づいてきているようですので、念のために」
「セプト殿下じゃないのです?後からくるのでしょう?」
「セプト様にしては、早すぎます」
「そうなんだ?」
カインは何か知っているのか、セプトの到着までには、まだ、時間があるようだ。
剣に手をかけているカインの手にそっと手を乗せる。驚いたのか、こちらを見下ろした。
私は、横に首を振り、大丈夫と口パクで言った。
「ビアンカ様、何かお顔を隠すものを」
ニーアが言ってくれるが、私には何もなかった。手元には何もないが、周りには花があった。
カインに指示をして、大きな赤バラを一本切ってもらう。
確かに、セプトの足音ではない。女性のハイヒールの音が聞こえてくる。
「カインは、耳がいいのね!ヒールの音が聞こえるだなんて!」
「ビアンカ様、今はそのような……」
「大丈夫。私に危害を加えようなんて、思ってないわ!ただ、散歩か……足取りからして、人探しをしているようね!」
当たりかしら?とカインを見上げると、そのようですと返ってくる。
こちらから見えたとき、とても豪奢なドレスが見えた。王族か高位の令嬢か……そのどちらの顔も知らない私である。
「カイン、王族の方だったら立ち上がるから、教えてくれるかしら?」
「わかりました。令嬢であれば……」
「立つ必要もないかしら?ニッコリ笑っておくわ!」
そう言って、角から出てくるその人を待ち構えた。
「ワイルズ公爵家の令嬢です。いかがなさいますか?」
「そう、では、鳥籠の聖女とでも言って崇めて置いてください。立場は私の方が下ですけど……」
ボソボソと話をし、赤薔薇で顔を隠した。
すると、令嬢はわざわざ、こちらに近寄ってくる。
「カイン様、こちらにいらしたのですか?」
「はい、殿下との約束がありましたので」
「まぁ、殿下がこちらに?私もお会いしたいわ!いつだったかのお茶会以来、会わせていただけないの!」
私はその声の主に聞き耳を立てた。なんだか、聞いたことのあるような声である。
「殿下は、いつ頃いらっしゃいますか?」
「もう、そろそろお越しだとおもいますが、アリーシャ嬢は、何をしにこちらに?」
「王女様に、殿下との仲を取り持っていただこうと……公爵令嬢たる私が慕っているのをお知らせしたくて参りましたの!
私は、小さい頃から殿下のことを思って、厳しい淑女レッスンにも耐えてきたのは、ひとえに彼の方と共に…………そちらの方はどなた?」
急に声がかかった。今までいることにすら気づいてないと言わんばかりではあったのだが、アリーシャは私を見下したように、クスッと笑う。
「こちらの方は?」
「アリーシャ嬢のような高位の令嬢もご存じないですか?こちらは、鳥籠の聖女様です」
「鳥籠の?たしか……」
考える振りをして、可愛い演出している。
自分が、どうすれば、1番可愛い見え方をするのか、誰からも愛されるように完璧に演じている彼女は、私の知っている人物であった。
チラッとカインの腕を見て、思い当たったわ!と言わんばかりに目を見開き驚いた。
そして、柔らかく、私に微笑む。
「まぁ、あなたがカイン様の腕を生やした方ですの!カイン様の腕の件で、セプト殿下も心を痛めていらしたの。よく、やってくれたわ!私からもお礼を」
そう言われても、私は、声を出さずにニーアをそっと呼び寄せた。
赤薔薇で顔を隠し、そっとニーアに囁く。
「ニーア、私は、長い眠りから起きたばかりで、喋れないと言ってちょうだい」
「かしこまりました。そのように」
私たちがコソコソと話しているのが気に入らないのだろう。
だんだん、化けの皮が剥がれてきている。そう言うところ、爪が甘かったなと思い出した。
「アリーシャ様。主の変わりにお答えすることをお許しください」
「えぇ、よろしくてよ!」
ありがとうございますと頭を下げるニーアの所作は見違えるほど、美しくなったなと見惚れていた。そして、何より、うまく対応してくれる。
「主は長い眠りから覚めたばかり。なので、声がでません」
「でも、あなたたち、今、目の前で話をしていたわ!」
「主からは、一言も。私が言った言葉に頷きで答えていただいただけですので」
「そ……そう。声が出ないのは、心配ね!ご自慢のお薬で治ることを願うわ!私たち、セプト殿下の妃になるのですもの。もちろん、私が、正妃ですけども、悪く思わないでくださいね?」
ふふっと花が綻んだかのような微笑みに、頷いてあげる。それだけで、アリーシャは満足するだろう。
「セプト殿下がくるまで、私もここで待たせていただくわ!ご一緒できる方がいらっしゃるのですもの!」
気持ちのいい中で、アリーシャという遺物にとても嫌悪を感じる。
明らかに、私の知るあのアリーシャだとわかっているのだ。
事情がある人と一緒にいるのは、疲れる。なので、疲れたという表情をして、カインの服の裾を引っ張った。
「どうか、されま……これは、いけません!顔色が良くありませんね!今すぐ、お部屋に戻りませんと!ニーア、すまないが、殿下には、部屋に戻ったと伝えてくれ。私は、今すぐ、聖女様をお部屋にお連れする!」
そう言った瞬間、カインが私を抱き上げた。
驚いてしまい、掴まるところ!を探して、カインの首に慌てて腕を回す。
まぁ!と、驚くアリーシャを横目に、頭を下げて、カインはその場を退出してくれた。ニーアも後ろを続いて歩いていく。
庭園を出る瞬間、セプトが侍従を連れてきた。お茶やお菓子まで用意されている。
聞こえないことをいいことに、私は小声で、ごめん、部屋に帰るわとセプトに告げ、カインに運ばれていく。
セプトも私の後を追うようにして、ついてきた。
「ニーア、一体どうなっている?」
「それが……」
「アリーシャ嬢が、庭園に現れたんだ。それで、何か感じるものがあるのが、ビアンカ様は黙られてしまった」
困ったように私を見下ろすカイン。
少し奥まったところに着いた頃、私はカインに下ろしてもらって歩き始める。
一輪の赤バラを持って、顔を隠しながら……
「アイーシャ嬢って、俺、婚約を断ったはずなんだけど?」
「……断った?」
「あぁ、カインは知らないのか。俺の婚約者候補だったんだ。第三王子の俺と婚約をする直前に、ビアンカが現れたこと。ちょうど、アイーシャとお茶をしてるところに降ってきたんだ」
「なんか、雑な感じね。確か、公爵令嬢と婚約がまとまりそうだったのにっ!って当時、詰られた気がするわ」
「ビアンカ様、それは本当ですか?本当なら……失礼ですけど、殿下は最低です!」
ニーアに最低呼ばわりされてしまったセプトはそうだなと反論せず、受け入れてしまった。
どんな心境の変化なのかは知らないが、私は、さっきあったことを話すかどうするか悩んだ。
「とりあえず、部屋に入りましょうか?」
「お茶だけ置いておいてくれ。もう、帰ってもいい。帰りはカインに送ってもらうから」
そういうと、後ろに控えていた従者たちが帰っていく。
私は、彼らを見送ったあと、ポツリと呟く。
何がどうなっているの?と。
「カイン、どうかして?」
「いえ、誰かここへ近づいてきているようですので、念のために」
「セプト殿下じゃないのです?後からくるのでしょう?」
「セプト様にしては、早すぎます」
「そうなんだ?」
カインは何か知っているのか、セプトの到着までには、まだ、時間があるようだ。
剣に手をかけているカインの手にそっと手を乗せる。驚いたのか、こちらを見下ろした。
私は、横に首を振り、大丈夫と口パクで言った。
「ビアンカ様、何かお顔を隠すものを」
ニーアが言ってくれるが、私には何もなかった。手元には何もないが、周りには花があった。
カインに指示をして、大きな赤バラを一本切ってもらう。
確かに、セプトの足音ではない。女性のハイヒールの音が聞こえてくる。
「カインは、耳がいいのね!ヒールの音が聞こえるだなんて!」
「ビアンカ様、今はそのような……」
「大丈夫。私に危害を加えようなんて、思ってないわ!ただ、散歩か……足取りからして、人探しをしているようね!」
当たりかしら?とカインを見上げると、そのようですと返ってくる。
こちらから見えたとき、とても豪奢なドレスが見えた。王族か高位の令嬢か……そのどちらの顔も知らない私である。
「カイン、王族の方だったら立ち上がるから、教えてくれるかしら?」
「わかりました。令嬢であれば……」
「立つ必要もないかしら?ニッコリ笑っておくわ!」
そう言って、角から出てくるその人を待ち構えた。
「ワイルズ公爵家の令嬢です。いかがなさいますか?」
「そう、では、鳥籠の聖女とでも言って崇めて置いてください。立場は私の方が下ですけど……」
ボソボソと話をし、赤薔薇で顔を隠した。
すると、令嬢はわざわざ、こちらに近寄ってくる。
「カイン様、こちらにいらしたのですか?」
「はい、殿下との約束がありましたので」
「まぁ、殿下がこちらに?私もお会いしたいわ!いつだったかのお茶会以来、会わせていただけないの!」
私はその声の主に聞き耳を立てた。なんだか、聞いたことのあるような声である。
「殿下は、いつ頃いらっしゃいますか?」
「もう、そろそろお越しだとおもいますが、アリーシャ嬢は、何をしにこちらに?」
「王女様に、殿下との仲を取り持っていただこうと……公爵令嬢たる私が慕っているのをお知らせしたくて参りましたの!
私は、小さい頃から殿下のことを思って、厳しい淑女レッスンにも耐えてきたのは、ひとえに彼の方と共に…………そちらの方はどなた?」
急に声がかかった。今までいることにすら気づいてないと言わんばかりではあったのだが、アリーシャは私を見下したように、クスッと笑う。
「こちらの方は?」
「アリーシャ嬢のような高位の令嬢もご存じないですか?こちらは、鳥籠の聖女様です」
「鳥籠の?たしか……」
考える振りをして、可愛い演出している。
自分が、どうすれば、1番可愛い見え方をするのか、誰からも愛されるように完璧に演じている彼女は、私の知っている人物であった。
チラッとカインの腕を見て、思い当たったわ!と言わんばかりに目を見開き驚いた。
そして、柔らかく、私に微笑む。
「まぁ、あなたがカイン様の腕を生やした方ですの!カイン様の腕の件で、セプト殿下も心を痛めていらしたの。よく、やってくれたわ!私からもお礼を」
そう言われても、私は、声を出さずにニーアをそっと呼び寄せた。
赤薔薇で顔を隠し、そっとニーアに囁く。
「ニーア、私は、長い眠りから起きたばかりで、喋れないと言ってちょうだい」
「かしこまりました。そのように」
私たちがコソコソと話しているのが気に入らないのだろう。
だんだん、化けの皮が剥がれてきている。そう言うところ、爪が甘かったなと思い出した。
「アリーシャ様。主の変わりにお答えすることをお許しください」
「えぇ、よろしくてよ!」
ありがとうございますと頭を下げるニーアの所作は見違えるほど、美しくなったなと見惚れていた。そして、何より、うまく対応してくれる。
「主は長い眠りから覚めたばかり。なので、声がでません」
「でも、あなたたち、今、目の前で話をしていたわ!」
「主からは、一言も。私が言った言葉に頷きで答えていただいただけですので」
「そ……そう。声が出ないのは、心配ね!ご自慢のお薬で治ることを願うわ!私たち、セプト殿下の妃になるのですもの。もちろん、私が、正妃ですけども、悪く思わないでくださいね?」
ふふっと花が綻んだかのような微笑みに、頷いてあげる。それだけで、アリーシャは満足するだろう。
「セプト殿下がくるまで、私もここで待たせていただくわ!ご一緒できる方がいらっしゃるのですもの!」
気持ちのいい中で、アリーシャという遺物にとても嫌悪を感じる。
明らかに、私の知るあのアリーシャだとわかっているのだ。
事情がある人と一緒にいるのは、疲れる。なので、疲れたという表情をして、カインの服の裾を引っ張った。
「どうか、されま……これは、いけません!顔色が良くありませんね!今すぐ、お部屋に戻りませんと!ニーア、すまないが、殿下には、部屋に戻ったと伝えてくれ。私は、今すぐ、聖女様をお部屋にお連れする!」
そう言った瞬間、カインが私を抱き上げた。
驚いてしまい、掴まるところ!を探して、カインの首に慌てて腕を回す。
まぁ!と、驚くアリーシャを横目に、頭を下げて、カインはその場を退出してくれた。ニーアも後ろを続いて歩いていく。
庭園を出る瞬間、セプトが侍従を連れてきた。お茶やお菓子まで用意されている。
聞こえないことをいいことに、私は小声で、ごめん、部屋に帰るわとセプトに告げ、カインに運ばれていく。
セプトも私の後を追うようにして、ついてきた。
「ニーア、一体どうなっている?」
「それが……」
「アリーシャ嬢が、庭園に現れたんだ。それで、何か感じるものがあるのが、ビアンカ様は黙られてしまった」
困ったように私を見下ろすカイン。
少し奥まったところに着いた頃、私はカインに下ろしてもらって歩き始める。
一輪の赤バラを持って、顔を隠しながら……
「アイーシャ嬢って、俺、婚約を断ったはずなんだけど?」
「……断った?」
「あぁ、カインは知らないのか。俺の婚約者候補だったんだ。第三王子の俺と婚約をする直前に、ビアンカが現れたこと。ちょうど、アイーシャとお茶をしてるところに降ってきたんだ」
「なんか、雑な感じね。確か、公爵令嬢と婚約がまとまりそうだったのにっ!って当時、詰られた気がするわ」
「ビアンカ様、それは本当ですか?本当なら……失礼ですけど、殿下は最低です!」
ニーアに最低呼ばわりされてしまったセプトはそうだなと反論せず、受け入れてしまった。
どんな心境の変化なのかは知らないが、私は、さっきあったことを話すかどうするか悩んだ。
「とりあえず、部屋に入りましょうか?」
「お茶だけ置いておいてくれ。もう、帰ってもいい。帰りはカインに送ってもらうから」
そういうと、後ろに控えていた従者たちが帰っていく。
私は、彼らを見送ったあと、ポツリと呟く。
何がどうなっているの?と。
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