ドスグロ団地

charmee

文字の大きさ
11 / 22
インタビュー一周目

104号男性Eへのインタビューを終えて

しおりを挟む
204号室I氏の死が殺人か自死かは分からない。

ただこの団地は普通ではないかもしれない。

E氏へのインタビューを終え、ニイサカの気持ちに若干の変化があった。

変化というより違和感…。ようやく感じ取れたと言っても良い。この若干の違和感は記者にとっては希望でもある。

どのくらい若干かと言うと、行きつけのスナックの焼酎割が『普通』から『濃い目』になったときの焼酎の増量分くらいわずか。

若しくは1日に伸びる爪の長さ程度か。気付かない奴には気付かない。

その根拠は204号室のドアを開けた時のニオイだ。

これまで幾度も嗅いだことのあるあの独特の香り。

初めてはオランダだったか、2回目は歌舞伎町、3回目は田舎の暴力団事務所、いずれも取材に行った時に嗅いだあのニオイ。

他にもDVを取材に行った時のアパートやホームレスから漂っていた事もあった…

間違いない。アレは大麻の香りだ。

E氏は確実に大麻を使用、若しくは所持している。

それがI氏の死と関係があるかはわからない。
I氏は暴力団構成員だった。

E氏は覚醒剤にも手を出しているかもしれない。若しくは売人でそれをI氏に見つかりトラブルに発展…

決して考えすぎではないだろう。

そしてもう一つの違和感、202号室のサラリーマンG氏だ。

103号のD氏も証言していた。事件が起こりサイレンが鳴った時、彼は1階の廊下にいたのだ。

D氏から聞いた時は、事件とは無関係だからと見過ごしていた。

しかし、D氏もE氏も「サイレンが鳴って扉を開けたら、2階に上がる階段へと向かうG氏の背中が見えた。」…と話している。

104号室の奥は行き止り。備品が置かれ意味をなしていない開かずの非常口しかない。

と言う事は…G氏は101号か102号からでてきたとは考えられないだろうか。いや、むしろそう考えるとG氏の動線はスムーズだ。

更にE氏は言った。「サイレンが鳴って、みんな出てきていた」と。

G氏が1階廊下にいた事を、D氏とE氏は印象的な出来事だと思い、記者のインタビューで教えてくれた。

何故、「見ていたはず」なのに101号と102号の住人は教えてくれなかったのか?

それは、どちらかの部屋からG氏が慌てて出ていったからではないだろうか?

…自分でも、少し妄想が過ぎるな…と思いながら、ニイサカは自分の爪が朝より伸びている事に気付いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...