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4章

13話 やっと仕事に戻れた…

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仕事に戻れて,やっといつも通りの生活がやってきた気がする。
(ふう…良かった)
起きた時は,いつ戻れるか不安でたまらなかった。むしろ,戻れるとすら思ってなかった。
「坊ちゃん,朝ですよ」
ここ1ヶ月とちょっとで,変わったことが一つある。それは,坊ちゃんがしっかり僕が伺う前より起きて着替えていること。
眠っていた僕にとっては,ほんの数日くらいのことだから,余計に驚いてしまう。
「おはよう,レオ,今日から仕事するんだ…」
坊ちゃんの声色がほんの少し不安そうだった。
「そうですが,やはり嫌ですか?」
「違う,嫌じゃない。すごく嬉しいのに,なんか,嫌なこと考えちゃうんだ…」
「嫌なこと?」
「そう,嫌なこと」
「それはなんですか?」
僕にも何かできるかもしれないそう思って聞く。
「それは…っ…なんでいえばいいかわからない…ごめん。でも,本当にレオが戻ってきて嬉しいからね」
「わかりました。何かございましたら,坊ちゃんも遠慮せずにお話しください」
「うん。分かった」
「では,行きましょうか」
僕たちは手を繋ぎ,ダイニングへ向かった。
坊ちゃんが,どうしてもそうしたいと言ったから。
「坊ちゃん,本日は…」
坊ちゃんが食事を終え,僕はそう言った。
「いいよ。もう言わなくても,僕もう分かっているから」
「そうですか…」
やはり,1ヶ月で一層のこと大人になったなと思う。それと同時に,僕は本当にいる意味あるのかな?なんて嫌な考えが浮かんでしまう。
でも,坊ちゃんが僕を離さない限りはちゃんと僕は坊ちゃんが学校に入るまで,一緒にいようと思う。
そんなことを考えていると坊ちゃんは僕の裾を引っ張り,僕は坊ちゃんと目線を合わせるためにしゃがんだ。
「レオ,そんな顔しないで,レオがいない間,自分で確認してただけだから。あと,レオに少しは成長したって褒めてもらいたいって思ったんだ…」
顔を小さな両手で挟まれて言われる。
「そうだったんですね。えらいです。私は本当に嬉しいですよ。ただ,ちょっと驚いてしまいました。だから,坊ちゃんも謝らないでくだい」
「謝るよ。レオが悲しそうな顔したから。レオのこと,悲しませたくなんてないもん」
「…ですから…」
「わかってる。でも,僕にはそんな風に見えたんだ」
真剣な表情でそんなこと言ってくるから,僕がどうすればいいかわからなくなってしまう。こんなこと初めてだった。坊ちゃんとの会話がこんなに詰まってしまうのは。
「……あの…」
何か話さないとと思い,口を動かす。それでも,それ以上は,言葉が出なかった。
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