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日々を作る
2 おはよう
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アクラムの声は優しく、心臓の音や頭の中は落ち着くことができる。それなのにやっぱり恐怖という言葉は消えずにどこかにあった。
「アクラム」
そう言って、アウスは今一度、アクラムの腕を小さな手でぎゅっと抱きしめた。
アクラムはその様子を見て、より一層、身体を寄せてくれる。すると、次第に心地の良いぬくもりが伝わってきて、アウスの心の中までも温かくなっていった。
アクラムは出会ってから、何度もそうやって、落ち着かせてくれている。それなのに、アウスの心が根本的に落ち着くことはなかった。
前みたいに、ずっと安心して、心が穏やかになることがなかった。それは、アウス自身も気づくことができていない心の傷を意味していた。
「……やっぱり怖いか?」
「そ、そんなことない」
不安を隠すように、ぎゅっと強く腕を抱きしめ、すぐに言い返した。
すぐに何か言わないと、何もかも見透かされてしまうのではないかと思ったから。
「そうか。怖くないか。そうだな。俺も昔は怖くなかった。でも、今は1人になることは怖いと思っている。アウスはどう思う?」
アクラムはゆっくりと言葉を、紡いだ。
「アクラム」
そう言って、アウスは今一度、アクラムの腕を小さな手でぎゅっと抱きしめた。
アクラムはその様子を見て、より一層、身体を寄せてくれる。すると、次第に心地の良いぬくもりが伝わってきて、アウスの心の中までも温かくなっていった。
アクラムは出会ってから、何度もそうやって、落ち着かせてくれている。それなのに、アウスの心が根本的に落ち着くことはなかった。
前みたいに、ずっと安心して、心が穏やかになることがなかった。それは、アウス自身も気づくことができていない心の傷を意味していた。
「……やっぱり怖いか?」
「そ、そんなことない」
不安を隠すように、ぎゅっと強く腕を抱きしめ、すぐに言い返した。
すぐに何か言わないと、何もかも見透かされてしまうのではないかと思ったから。
「そうか。怖くないか。そうだな。俺も昔は怖くなかった。でも、今は1人になることは怖いと思っている。アウスはどう思う?」
アクラムはゆっくりと言葉を、紡いだ。
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