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健からの手紙『真夜中の失態』
しおりを挟むいや、こんなことになって申し訳ない。
お前には散々相棒とか言ってたくせにこんな風にしちまって本当に悪いと思ってる。
でも、これはお前のためでもあるから、ふんばれよ。ゆう。
俺らが出会ったのは、まだゆうが鈴音と二人だった頃か。
俺が、幼稚園で一番でけぇ顔して鈴音をイジメてたんだよな。
なんだてめぇ、関西弁なんか喋って気持ちわりぃって、そう言ってな。
そしたらお前がつっかかって来て、殴り合いのケンカになった。
あんときのお前の言葉は今でも忘れねぇよ。
「お前は本当にそんなことがしたいのか! お前がキレてぇ相手は別にいるんじゃないのか! 八つ当たりなら、俺が全部引き受けてやる! だから、鈴音や他の奴に手を出すな! 弱ぇえお前の拳は俺一人倒せやしねぇ!」
あんときは、頭にきてすぐに殴り掛かっちまったけど、段々殴り合うのも馬鹿らしくなってきて、次第に対決って形になっていたんだよな。
どっちが先に給食を食べきれるか。どっちが先に新聞紙で剣を作れるか。どっちが先に公園のすべり台を逆から登り切れるか。どっちが先に砂の城を立てれるか。
そして…どっちが速く走れるか。
先に俺がダメになっちまったけどな…。結局俺は、ゆうの言う通り弱いままだ。
俺はゆうを倒して、自分が弱くないことを証明しようと必死だったんだよ。
父ちゃんみたいなカッコいい奴になれるか心配だったんだろうな。父ちゃんは、町を毎日守ってすげーカッコいい警察官。それに比べて俺は…ってな。
今でもそう思うよ。父ちゃんに比べて、幼稚園児であんな大層なことを言ってのけたお前と比べて、俺はまだまだだ。
もう一つ、お前に本当に話さなくちゃいけねぇ事がある。足の事だ。
傑と出会ったあの日、実はへましちまって、車にひかれてたんだ。
あの後、大人が来て俺が呼んだんだって勘違いしたお前たちは、すぐに傑を警察に連れて行って翌日まで俺と会うことはなかった。だから、気付かなかったんだと思う。
すまんな隠してて、心配かけたくなかった。わりぃ。
医者いわく、膝にひびが入ってて過度な運動は控えた方がいいって言われた。
それでも俺は、お前と走りたくて、走り続けた。
でも、限界はすぐにやって来ちまった。
しかも、最悪のタイミングで。
これで許されるとは思ってない。
お前に全部の責任押し付けちまった罪は重い。
ただ、あんときお前が一切俺を責めないでいてくれたのはすげぇ嬉しかった。
だから余計に、怖くて、お前がこの話聞いた途端、俺を責めるんじゃないかって怖くて話せなかった。俺はちゃんと話さないといけねぇのに、お礼を言わねぇといけなかったのに、逃げることしか出来ずにいた。
こういう機会でもないと、多分一生話せなかったと思うぜ、ごめんな。
こんな形で言うことになって。
最後にゆう、ありがとよ。
今までありがとう。
俺は、いつも寛大で俺らを引っ張ってくれるゆうが大好きだったぜ。
じゃあ、またな。 また―――勝負しよう。
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