現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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アリスファミリー始動

目覚めると見た目と名前が変わっていて、嫁と娘とメイドさんとetc……がいるなんてどう考えてもおかしい

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午後10時頃【赤土の大地にて】


「異世界ランキングのせいでファミリーの結成はすぐに知れ渡る。それも、魔界ランキング上位10人のうち4人がいて白龍までいるなんてことになれば、うちの力を恐れたファミリーが襲って来るのは間違いないわ!明日から私達は全員お尋ね者よ!」


クラリスは、顔を真っ赤にして話した。

「そ、そのファミリーって私も入ってるんですか!?」
「当たり前よ!」「ええええ!私無理です!」

フレイヤは、赤い瞳に涙をいっぱいため、慌てふためく。

「お母さん……悲しい?」

白龍は、フレイヤの頭を撫でる。

「うう……ありがとうハクちゃん」

「ん?ハクちゃんっていうのその子」

ジェードはフレイヤが白龍の名前を呟いたことに驚いた。

「あれ、なんでだろう。何となくそんな気がしたんです……」

「ハク……名前呼んでもらえて嬉しい」

両目を閉じて笑う、ハク。まるで花が咲いたような笑顔に、そこにいた全ての者が釘付けになる。

「「「か、かわいいいい!」」」

ハクのことをフレイヤは撫で返し、ジェードは遠くから抱きしめたい感情をこらえ、クラリスは背を向けることでハクの魔力から逃れた。

「そ、それよりも問題は他国から狙われるという事だな」

クリムは頬を赤らめながら話す。

「そ、そうね。今すぐにでもこの国を出るべきだわ」

クラリスはハクを見ないように話した。

「じゃあ、旅に出ましょう?私少し気になる場所があるのよ」

ジェードは気軽なトーンでファミリーに相談する。

「気になる場所?」


渓谷の滝バリースフル


「バリースフル!?1日で誰もいなくなった魔界領のこと!?」

バリースフル、元々は妖精たちの住んでいた妖精の城がある渓谷と滝、川が特徴的な場所だ。

バリースフルでは、3ヶ月前不可解な事件が起きた。そこに住む全ての生物が神隠しにあったのだ。

バリースフルには近付くものはおらず、魔界政府も手を付けられていない。

「ファミリーを結成してしまった以上、政府や異世界の人々にとってある程度メリットのある動きをした方がいいのは事実か」

クリムは腕を組んで唸った。

「まぁ、私達ならその程度の問題なんとかなるでしょ!さあ、そうと決まればさっさとライリとコイツ起こしていこー!」

クラリスが意気揚々と、2人を起こそうとするとジェードの魔神の手がそれを引き止める。

「ちょっとジェードどういうつもり!?」

「フレイヤちゃん、クリムちゃん、ライリちゃんを連れてクリムゾンさんの所に行きなさい。」

ジェードは珍しく真剣なトーンで話した。緑の瞳は真っ直ぐ2人の赤い瞳に突き刺さる。

「……わかった」「そうします……」

フレイヤはハクに「お父さんのこと守ってて」と伝えると、ライリの元へ駆け寄った。

「来い!イエロ!」

クリムは7色7つの炎の中から黄色の炎を切ると、イエロが姿を現す。

「なんだか、とんでもないことになってるみたいね、クリムちゃん」

「そうなんだ、お父様のところへ頼む」

「わかったわ」

イエロは、フレイヤ、ライリ、クリムを背中に乗せ城の方へ向かった。

「……お母さん」

ハクは両手を伸ばし、天を仰いだ。

「ハクちゃん、お父さんのこと守らないと」

「はっ!……お父さん」

ジェードにそう言われると、ハクは再びアリスの頬をつついて遊び始める。

「キャンディ、どこまでが計算だったのかしら?」

「あいつの事だから、クリムをアリスにつけて嫌がらせするつもりだったんでしょ。それがまさかこんな事になるなんて流石に思ってないわよ」


                 ***


「まさかこんな事になるなんて!!!思わないよね!そうだよねぇ!」


キャンディ・キャラメロンは、幸福なお菓子の国の玉座で異世界ファミリーリストを見て驚愕した。

「あの、小国にジェードとクラリスがいて、まさかあのドSメイドのライリがマシュマロに感謝した上、白龍の翡翠の結晶をピンポイントで破壊するなんて誰が思うわけ!?無理だよねぇ!!?」

キャンディ・キャラメロンは、天才だ。クリムとの会話の最中、頭の中で様々な計算が行われていた。

白龍が翼竜の大軍を連れて襲ってくるなどあの面倒臭がりな白龍が自らの意思でするはずがない。

恐らく、各地で確認されている翡翠の結晶が関わっているだろうと推測した。

翡翠の結晶は植え付けた相手の精神を操ることの出来る怪しい石だ。

「勝機があるとしたら、あれを破壊するだけ。それを当てたっていうんだから驚きよね。恐らくフレイヤの仕業ね……あー!もぉおおお!結局、クリムに塩送ってんじゃない!スペード今晩おやつ抜き!」


スペードトランプは、腕を振り抗議の意を示すがプリン荒モードで押さえつけられた。


                   ***

「いつかこの日が来るとは思っていた」
「本当ですか!?お父様」「嘘だ」
「「「……」」」

クリムとフレイヤ、グリンの炎で体力を回復したライリはアロハシャツクリムゾンを睨みつける。

「だが、言いたいことはわかる。しかもそれが正解だろう!だがだがだが、だが断る!」

「クリムゾン様うざいです」

目を覚ましたライリは様々な怒りをクリムゾンにぶつけ拳で殴りつけた。

「うぐっ!」

「そりゃ、こんな美しい娘さんとこんな可愛い娘さんを旅に出させるのは不安でしょう。でも、お嬢様達の気持ちも考えてみてください」

ライリは、怒りマークを浮かべクリムゾンに説教する。

それを言われてクリムゾンは俯いた。

クリムが悔しくないはずがない。
二年前念願の王女になりグランドレッドを支え改革する覚悟を決めたにも関わらずこの地を離れなくてはならない事。

フレイヤが怖くないはずがない。
14年しか生きていないにも関わらずいきなり、親元をはなれ異世界中から狙われる存在になってしまった事。

クリムゾンは、娘達にかけてやる言葉がなかった。

その気持ちを彼は──
王室の外に出て、国民達にぶつけた。


「全国民に告ぐ!私は悲しい!!」


夜に響く国王のたくましい声。

国民達は、町の復興を手伝っていた影人形たちがいっせいに叫びだしたことに驚く。しかし、話の内容は何となく理解出来た。

何が起きたかは、クラリスが悪魔の囁きで伝えていたのだ。

「「お父様!?」」

「これから私達がやらねばならんことは山ほどある!翼竜達にやられた町の復興!他国への支援の要請!」

「それを我らがやり遂げばならんのだ!娘達が帰ってくる前に!!!!」

「娘達は、旅に出る!私達は優秀な王女を失う!だがそれは悲しい別れではない!精一杯のエールを彼女達に送って欲しい!はっきり言おう!私は応援していない!だがら、君達にお願いしたい!彼女達に想いを伝えてくれ!!!!」

国民達は思いの丈を四方からグランドレッド城に向けて叫んだ!

「クリム様ー!いかないでー!」

「私達は、誰を見て生きていけばいいのですか!?」

「馬鹿野郎!男なら快く送り出せ!クリム嬢、国は俺たちが守る!」

「ンゴゴゴゴ、ンーゴゴー!!!!(フレイヤちゃん結婚してくれー!)」

クリムは、涙が溢れた。フレイヤは、声を上げて泣き出した。ライリは、背を向け目を抑える。

クリムはクリムゾンの隣に駆け寄った。

「正直私は行きたくない!!あなた達とこの国を作っていきたい!!しかし、それは無理だ!あなた達を、龍が機械が獣が、あらゆる欲望を持って襲いかかる!みんなを護るのは不可能だ!!だから私がそいつ等を全て倒し、頂点に立って必ずこの地に戻る!!この国の領土を広げ、よりよい暮らしをみなに届ける!!それまで、グランドレッドをあなた達に預けます!!」

クリムは剣を突き上げ、国民達はお辞儀で応える。

クリムゾンはアロハシャツを脱ぎ、これを持っていけとライリに手渡すとライリは黙って投げ捨てた。

                ***

「あーあ、言っちゃったねぇ」

クラリスはクラリアを起こし、双子の姿ピンクのツインテールとピンクのボーイッシュなショートヘアに戻っていた。

「はぁ、この人間にしてやられたわけだ。レベルも下がってるし、起きたら踏んだり蹴ったり」

「悪いことばかりじゃないわよ。あなた達にも私にも居場所が出来たじゃない」

ジェードは2人ともに言う。

「それがいい事かわからないのよ……」「僕達にそんな場所なかったから……」

姉妹は、夜空を見上げ物思いにふける。


(俺、どのタイミングで起きればいいんだ???)


アリスは、目を覚ましていた。覚ましていたが……何も理解出来ずひたすら頬をつつかれ続けていた。

「お父さん……起きてる?」

「あら、そうだったの。私が優しく介抱してあげる♡」

「えっ!だ、誰!?めっちゃ美人!!」

「うふふ♡ジェードよ、人間に会うのは久しぶりね」

アリスは童貞な反応をし、顔を赤らめる。

「あの……この子は?」

アリスは、体を起こしてハクを指差した。未だに頬をつついてくる。

「それは、白龍ね。あなたを消し炭にした」

「えっ、あの白龍!!?」

アリスは後退する。

「お父さん……?」

「お父さん!?!?まだ恋もした事ないぞ!!」

いや、1度だけある!同じクラスの花火ちゃん……。元気で可愛くて俺にも凄い優しくて……でも海鳴と霧崎っていう、凄いイケメンな幼馴染みがいて、すっごい遠い存在だったなぁ。

「その子はきっと、あなたを護ってくれる最強のファミリーよ」

「ん?ファミリー?家族ってことか」

「家族……」

ハクは左手を広げ、アリスに紋章を見せる。

「あれ!?それ俺のやつと一緒じゃん!」

「私もあるわよ、ここに」

そう言うと水着を少しずらし、胸元を見せる大きさは違うが確かに紋章がある。

「ど、どういう意味があるんだこれ……?」

「簡単に言えば、私たちはあなたに使える部下ね」

「だから、あんたにはしっかりしてもらわないと困る!」「この契約は破れず、しかも君が死ぬと僕らも死ぬ」

髪の毛ピンク色!!ツインテールとショートヘアの双子か!?めっちゃ可愛いぞ!ここは天国か!!?

クラリスとクラリアはそれぞれ、右肩左肩に刻まれた紋章を見せる。
その紋章を見て、アリスは2人の言葉の意味をようやく理解した。

「えっ、俺が死ぬと君らも死ぬのか」

「……そうね、だから私達は防衛本能であなたを護るため体が勝手に動くのよ」

予想以上に重い展開だ……。レベルマイナスの俺が1週間生きれる確率はほぼゼロだろう。1日で何度死にかけたことか。

「だから、あなた様にはしっかりしてもらわないと困ります」

ライリがラインブレードでフレイヤ、クリムとアリスを結び、城からワープし跳び蹴りをかました。

「ぐべっ!」

アリスは、吹き飛ばされる。

「いきなり何すんだ!お……まえ……?」

今蹴った相手は……メイドさん!?黒髪で細目でドSなメイドさん……!?これは、夢ではない!罰ではない!御褒美だぁああああ!

「ありがとう」

「お姉様……アリスさん、ライリさんに蹴られて泣きながら喜んでますよね?」「ああ、ああいうのを変態と言うらしい」「あれが、私の旦那様なんて嫌です!わぁああああん!!!」

「えっ!嫁!?君が!?」

黒のゴスロリっぽい衣装を着た、このフランス人形みたいな可愛い子が、俺の嫁!?異世界すげー!何が起きてんの!?

「い、いや!それは流石に悪い!俺みたいなのが君の旦那なんて」

「でしょうね」

ライリがアリスの頭をしばくと、アリスは目をキラキラとさせ振り返る。

「やっぱり私いやです!!」「気持ちはわかるが……」

クリムが気まずそうに、向ける目線の先には目をうるうるとさせる、ハクがいた。

「お父さん……お母さん……けんか?」


「「「!!!!?」」」


フレイヤは罪悪感から、アリスにかけより、抱きついた。

「えええ!」

「ハクちゃん、違うよ!すごく仲いいもの!」

(アリスさん、ちゃんと抱き返してください!)

小声でフレイヤはアリスに話しかける。

慌てて触れないようにアリスはフレイヤを抱き返した。

「お、おう!俺たち、ほ、ほら仲良しだ!」

えええええええ!生きててよかったぁああああ!

「うん……!」

ハクは安心したように、満面の笑みを浮かべる。


「「「かわいいいいい!!!!!」」」


クリムとクラリス姉妹はハクの元へ駆け寄った。

(その、悪いな)
(いいんです、ハクちゃんのあの笑顔見れたので)

フレイヤは、必死に笑顔を浮かべるがその目にはうっすら涙が光っている。

ああ、ある意味地獄だな……。

アリスがいろんな意味で泣いていると、フレイヤは私もハクちゃん見てきますねとハクの方にかけていった。

「そこの、変態ロリコン様」「はい!なんでしょう!!」

アリスはライリの声を聞き分け、高速で振り向く。

「出来ればそこは反発して欲しいのですが……一応自己紹介を、私ライリと申します。あそこの赤髪の美しいお嬢様がクリム様、先ほどあなたにいやいや抱きついた麗しいお嬢様がフレイヤ様です。」「刺々しい所がまた素晴らしい!」

「……続けます。緑色の髪のお方がジェード様、双子のツインテールのお嬢様がクラリス様ショートヘアのお方がクラリア様です。そして、あなたの娘である白龍のハク様です」

「ありがとう、メイドさん!」「自己紹介しましたよね?ライリとお呼び下さい」「じゃあ、ライリさん!」「よろしい」

キラキラと目を輝かせるアリスと、引き気味に話すライリ。そこにジェードがやってくる。

「で、今後の目的なのだけど。バリースフルに行こうと思ってるの」

「バリースフルですか……。また厄介な場所に」

「バリースフル??」

「簡単に言えば無人の城ですね。」

「そう、目的はわかるわよね?ライリ」

「なるほど、隠れ家にするのですね」

「おお!隠れ家それっぽい!!」

「そのとおりよ。これだけの戦力があれば何がいても何とでもなると思うのだけど……」

「何か気になる点があるのですね」
「アリスちゃんを護れるかね」
「やっぱり俺!?」

そりゃ、邪魔だよなぁ……それこそどっかに隠れてた方が……

「隠すのも無理ですしね。一定以上距離が離れると私達の魔力が下がりますし」

「ええええ!凄いお荷物だな俺!!」

「まぁ、それくらいのハンデがないとね♡ここにいるのは魔界ランキングベスト3とベスト10だもの」

なんだか俺はとんでもない人たちを部下にしてしまったようです。
アリスは、ただ呆然と不安感に襲われた。


もう、後戻りできない何かに踏み込んでしまった感覚があったのだ。

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