現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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アリスファミリー始動

【渓谷の滝】1晩で全ての住人が消えた城に自ら踏み込むなんてどう考えてもおかしい

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午前12時【赤土の大地】にて


「バリースフルを攻める点に関しては異論はない。なるべく早くここを出るべきだしな。しかし、ライリも私も魔力が尽きている。移動方法は……」

「クリム……どこか行きたい?」

ハクがクリムの袖を掴み、話しかける。

「先程も話したが……バリースフルに行きたいな」

「うん……じゃあ、みんなで行こ」

ハクは、空気を軽く吸い込むと、自らの姿を白龍の姿に変えた。

「うおおおお!やっぱあの白龍だったのか!?」

「目立ちすぎるわ!!」「いや、でもいい。」

「そうね、どの道これだけの魔力量が集まってればすぐにバレるわ」

「ライリ結んでくれ!」「はい!クリム様!」

クリムはファミリー全員を結ぶと、ハクの背中の上にワープさせる。
ハクはそれを確認すると、一気に飛び立った。

ジェードは慌てて、全員を魔神の手で足を白龍の上に固定した。アリスは念のためこけさせ、うつ伏せで何重にも巻き付けられている。

「ぎゃああああ!こええええ!けど、気持ちいいい!」

アリスの目に入ってきたのは、広い森だ。

木々が生い茂る場所を飛行する、白龍。

「火山の周りにこんなに木が生えてるなんて変な感じするな」

「それだけ長い時間、噴火してなかったということよ。」

「君は確か……クラリスちゃん?」

「そうよ。正直あんたまだ現状理解してなさそうだしちょっと下覗いて見なさいよ」

「えっ?」

アリスは言われるがまま白龍の背から頭一つ乗り出し下を見た。すると、その横を火の玉が通過する。

「えっ!?」

慌てて頭を引っ込め、よく見ると色々な方向から火の玉や、矢、岩石などが白龍めがけて投げつけられていた。

「ふふふ!魔界はやっぱりこうでなくちゃ!」

ジェードは、ハクを守るように巨大な魔神の手を出した。あらゆる攻撃を吸収していく、ブラックホールのようだ。

「だから言ったでしょ!私達はお尋ね者なの!寝る場所もないのよ!」

「じゃあなんでハクで移動を」

「逆にハクだからこれで済んだのよ!徒歩だったらこの量の色々に囲まれることになったの!そっちの方が面倒だわ!」

「た、たしかに!」

すると、ハクの数メートル先に鳥と獣を足したようなグリフォンと呼ばれる魔族の群れが現れる。

「クラリア行くわよ!」「任せて」

白の夢ヴァイスメア黒の夢シュバルツメアを手に握り立つ2人。

クラリスがグリフォンの群れ全員を目で認識すると、クラリアが双剣で虚空を切る。すると、グリフォン達は翼が切られ森に落下していく。

「クラリアちゃん、強すぎ!!」

「僕だけじゃ無理、僕は球を発射するだけ」

「どこに当てるかを決めるのが私ってわけ!」

「だから、怖い時目をつぶられると何も出来ないってわけ」「一言多い、クラリア」

見たところを切れる能力ってことか!?チートすぎるだろ!!

「次は空からか!」

白龍の上空に巨大な影がかかる。巨大生物、空鯨。体長10メートルのそれは、何者かによって呼び寄せられたようで唐突に現れ、押しつぶそうと急速に落下してくる。

「フレイヤ!!」「任せてくださいお姉様!」

フレイヤはクリムに言われ、青色の結界を上空に貼り、鯨の落下を阻止する。

その間もハクは飛び続け、青空が見えるようになると、結界を解く。鯨は急速に落下し、森に巨大な穴を開ける。

「はぁはぁはぁ……」「ありがとうフレイヤ」
「まだ来るわよ!あの鯨!」

鯨はすぐにまた飛び上がり、白龍ごと喰らおうと大きな口を開ける。

「わざわざ、己から脆い部分をあけるとはな」

クリムは手の平に炎を出すと、そこからデモンメアを引き抜き赤色の炎を纏う。

「お前が食うのは、私の炎だ!ゆけ!」

魔界最大火力の炎は鯨の口の中へと、吸い込まれ体内で爆発する。

鯨は白目をむき、霧散していく。

「バリースフルが近いわ。そろそろ姿をくらますわよ。」

ジェードは、白龍を包み込むように魔神の手を広げると、四方八方に黒い塊を吐き出した。
それらは、ハクの形、色を模して様々な方向へ飛んでいく。

「姿隠しつつ、ダミーで陽動……完璧ですねジェード様」

「ふふふ、一応これでもランキング1位だもの。」

「2位が不器用で悪かったわね!どうせ私は肉弾戦しかできませんよーだ!」

「拗ねたの?クラリスちゃん。可愛い♡」

「可愛いは嬉しくない!ちゃんと私を褒めなさい」
「とはいえクラリスちゃん肉弾戦しか出来ないし……攻撃力ではクリムちゃんに負けてるのよね」
「あんたの無慈悲な所嫌いだわ!!」

クラリスが今にも泣き出しそうになりながらジェードに抗議していると、突然景色が開けた。

崖に木々が生え川に沿うように永遠と続いている。川は、はるか向こうに見える大きな滝から流れて来ているようで、滝の上には白い城が建っていた。

「ここは……!」

アリスは身を乗り出し、城を見つめた。
城には灯がともっていて、誰かが住んでいるのは間違いない。

アリスにはあの城に見覚えがあった。
そう、最初に転送され、黒猫達に出会った場所はここだったのだ。

「あそこが妖精の城だったのか……」

生物の気配のない静かな渓谷に、アリスは不吉さを感じた。

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