現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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アリスファミリー始動

主人公の活躍が珍劇扱いなんてどう考えてもおかしい

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「……いや、本気になったのって、凄いいかがわしい理由じゃないですか?何格好つけてるんですか」

「いや、違う。俺は今最強にムカついてるんだ」

「私はあなたに呆れています!」

「とにかく、俺が奴を倒す!!ファミリーをこんなにされて、黙ってられるか!!」

「ほんとにあなた別人みたいですね!!!?」

フレイヤが激しいツッコミをする中、ハクが動いた。

バジリスクの目の前に瞬間移動に近い速度で移動し、右拳で上から殴りつける。

しかし、アリスは見た。
ハクが殴りつけた拳はバジリスクの体には当たらずその横数10センチをとらえている。
「人型の龍か、確かに位は一番高い……が、所詮まだ若造ということか。毒がまわり始めてるな」

「……偽物の毒……効いてない」

ハクは強がっていたが、体は震え、汗が出ていた。

「狐火を使っちゃ行けないのか?」

小声でフレイヤに話しかけるアリス。

「それは確かにありですが、視界がどんどん狭まります。使えて2回ですね」

「わかった、1回とりあえず使おう」

宙に浮く狐火は8つそのうちの一つに手を伸ばすと狐火はアリスの手元に収まった。

「見せるぜ俺の投球テク!」

「狙えば確実にそこに行くようになってるんですよそれ」

狐火はハクの背中に届き、一瞬でハクの毒気が消える。

「ありがとう……お父さん……もう、ミスしない」

ハクは両目を閉じ、距離を取る。

瞳でバジリスクを捉えなければ、毒が回ることは無い。

「両目閉じて戦えんのか!?」

「魔力を感じて、動くつもりなんだと思います!守りは任せてハクちゃん!」

「ふむ。あの炎で回復したのか、それは厄介」

バジリスクは、ハクが回復したのを見て、目くじらを立てた。

それならば緑の炎を喰らおうとバジリスクは飛び立つ。

「行かせない!」

フレイヤはすかさず、バジリスクの進行方向に巨大な青の結界を張り巡らせ、阻害する。

「あの娘か!何度かこちらを見ているはずだが……なぜ、毒が効かぬ」

「よそ見……禁物……!」
「ぬ……!」

ハクの拳が今度こそ、バジリスクの背中を捉え、バジリスクは闇の足場に叩きつけられる。

鶏もどきは瞬時に受け身をとり、ハクの追撃を逃れると、瞬間移動した。

「お主はなんなのだ。」

声はフレイヤの数cm前から聞こえた。

ハクの一撃をもろに受けたにも関わらず無傷のバジリスク。
打撃を受ける瞬間、分厚い魔力の障壁を張り攻撃を凌いでいた。

そのあまりの強さと動きの早さに、フレイヤは思わず後退する。

「ひっ……!」「大丈夫だ俺がいる!!」

「なぜ、こちらを見ているのに毒が回らぬ」

バジリスクはアリスを挟んでフレイヤを見つめている。
まるで、アリスがいないかのように。

「いや、それを言うなら俺だろ。俺なんてずーっとお前のこと見てるぜ」

「……ひょっとして?」

フレイヤは、一つの仮説を立て、アリスに張った青の結界をしならせ、バジリスクに直撃させた。

バジリスクは無防備な状態で結界のダメージを受け、大きく後ずさる。

「なっ!……なんの気配もなかったぞ!」

「やっぱり!アリスさん少し耳を貸して下さい!」

「どうした?」

アリスはフレイヤの前にしゃがみ、フレイヤの仮説を聞く。

「えっ!流石にそれはないだろ!」「いいからやってください!」

「【粉砕の迫撃】」
ハクは、バジリスクが後退し、動きが止まるのを察知し、その瞬間、口からグランドレッドを窮地に追いやった白い閃光を吐き出した。

「なるほどそれは私にも有効か」

バジリスクは、ヘビの尻尾を粉砕の迫撃へ向けると、ヘビは大きく口を開きその閃光を飲み込んだ。

「どれ、そのまま返してやろう」

バジリスクは、そのままヘビに吐き出させようとしたが、その瞬間ヘビの頭は180度回転する。

「喰らうのはてめぇだ」
「なぜこっちを向く!?」

とっさにバジリスクはヘビの首を蹴りあげ空へと打って回避した。

「おお、やるじゃねぇか!……だけどな!」

アリスは容赦なく、バジリスクの冠の毛をがしっと掴み引っこ抜いた。

「ぁあああ!私の毛が!」

バジリスクは、冠の毛が抜かれ瞳から大量の涙が溢れ出す。

「誰だ!こんな事をするのは!!」

「俺だよ!マジで見えてねぇんだなてめえ!」

アリスは怒りのあまり、バジリスクを本気で蹴ったが、そこは流石攻撃力マイナス。アリスの足の方が砕けた。

「ぐはぁああああ!」

「何やってんですか!」

フレイヤは慌てて残り7つの狐火の一つをアリスに向けて投げる。

「はぁはぁはぁ、もう許せん!!私の冠を奪いおって!全員もろともあの世に送ってくれる!!」

鳥は片足立ちになり、両翼を広げヘビの尾を天に向ける。膨大な魔力が内側から放出され、それは全てバジリスクの頭へと濃縮されていく。

「凄い魔力……!」「近付けない……!」

ハクとフレイヤは、魔力量が跳ね上がるのを感知し近付けない。今近付いたら間違いなく殺される。

「この状態の私に近付いたものは魔力を貪られ、ミイラのように朽ち果てる。これを解く方法は簡単だが絶対に不可能だ!何故なら私を転ばせないといけないのだからな!フハハハハ!」

バジリスクは勝利を確信し高笑いをした。

伝説の悪魔ともあり、その能力は絶大。彼が100メートル以内に認識したものから魔力を問答無用で吸収し尽くすという容赦がない能力だった。

「なんだ、それだけでいいのか、ほい」

しかし、アリスには魔力量におののく神経も知識もない。

簡単にバジリスクの足を掴み、転ばせる。

「わ、わわわわれが地に転んだ……?何も無いところで……何にも触られず!?耐えられぬ!!見るなぁぁああああああ!!!!!!」

バジリスクは泣きながら、自らを闇に飲み込ませ、闇の一部となって消えていく。

「なんだ、あいつ。めっちゃ弱いじゃん」

「とんだ珍劇でしたね」

フレイヤは呆れつつも、安心したようでぺたんと両膝をついた。

「お父さん……やっぱり……すごい」

ハクは両翼で飛びながらアリスにフライングだっこをし、アリスは物凄い勢いで飛んでいく。

「うわぁああああ!」

すると、壁のような物にあたったが、パリンッと子気味のいい音と共に闇が割れ、本来の城の大広間へと景色が戻っていった。

「なんだ!?」「うわぁ……手品?」「戻ってこれて何よりです」

安心したフレイヤは、すぐにクリムやライリの元へ向かい狐火を与えていく。

グリンやジェード、クラリス、クラリアも目を覚まし始め、アリスファミリーはバジリスクとの戦いを無事勝利した。

                    ***

「バジリスクへましたわね。はぁ、面倒だわ……次は翼竜パーティにしようか……それとも……いっそのこと私が出てしまおうかしら……」
王室にいた、たった1人の城主は小さな声で嘘をついた。

【私は嘘をつく。彼らの前に私は行かない】

絶望の黒いドレスを着た国王は、紫色の闇に吸い込まれ、嘘のような早さで王室から消えていく……

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