現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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アリスファミリー始動

魔界ランキング1位の技を盗める嘘つきなんてどう考えてもおかしい

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「復活するのは面倒だね」

「クラリアちゃん、私に考えがあります!」

フレイヤは、クラリアに耳打ちする。

「魔力消費量とんでもないことになるけどいいの?」

「はい!多分大丈夫です!最悪、アリスさんの血をわけてもらうので」

フランス人形のような彼女が笑った時にちらつく犬歯は、確かに吸血鬼の鋭さを持っている。

「なるほど、それなら安心かな。それじゃ、もう1度倒してくる。合図は音で伝えるから」

クラリアはフレイヤの頭をポンポンと、叩くと空へと飛んだ。

「私の方がお姉さんなんだけどなぁ……」

「アリスって言ってることだけはわかったぞ!なんて言ってたんだ!!?」

アリスは声を出しているつもりだが、クラリアに音を奪われたためしばらく音は聞こえない。

「アリスさんが静かだと戦況の把握がしやすくていいですね、ふふ」

フレイヤは何を言っても聞こえないことをいいことに好き勝手言っていた。


バジリスクの一部ですら見てはいけない状況で、アリスファミリーはアリスと、バジリスクと同格であるクラリアス以外目を開くことは出来ない。

ハクもそれは同様で、目をつぶりながらハンプティと応戦していた。

「あははは!暇つぶしに妖精の城落として正解だったわ!まさか白龍と戦えるなんて!」

紫色のライトエフェクトを手足に纏い、連撃を浴びせるハンプティ、ゴスロリファッションからは想像もできないほど、動きにキレがあり一切の無駄がない。

ハクは白のライトエフェクトを、手足と翼に纏わせ魔力の凝縮された紫色のライトエフェクトをはたきおとしていた。

「人間の欲望の力……見苦しい」

「あらあら、人間様にそんなこと言っていいのかしら。所詮あなたも欲望に産み出された一つでしかないのに」

「うるさい……!」

ハクはハンプティの右ストレートを手で掴むと、至近距離で【粉砕の迫撃】を浴びせた。

「はい、残念。私の嘘は私が嘘をつくまで治りませーん」
桜の花びらがハクの口から舞っていくだけで、ハンプティにそれは効果が無い。

「……!!」

「いいわねぇ、絶望した顔してるんでしょう??想像しただけで、気持ちいいわぁ」

「……むぅ!」

ハクは苦虫を噛んだ表情で、ハンプティを地面にたたきつけようと空中で背負い投げする。

ハンプティは笑ったまま落ちていく。ハクは追撃するため、羽をたたみ高速で追いかけ、白のライトエフェクトを拳に集め、ハンプティの腹めがけぶつけた。

ハンプティは煙を払うように拳を手の甲で払い、膝を曲げ蹴り上げる。ハクの腹にハンプティのヒールが食いこみ、ハクは打ち上げ花火のように逆方向に吹っ飛ばされる。

「ぐっ……!」

「ふふふ、白龍を倒したとなればボスも喜びになるでしょう!本当にいい買い物だったわぁ」

城の床に叩きつけられながら、大声で笑う狂った嘘つきの背中に黒い渦が突如現れ中から魔神の手が数多に出現する。

「効かないって言ってるじゃない」

パリンッ!

子気味の良い音と共に、手は粉となって消えていった。

「ええ、そうね確かに手は効かないみたい。でも、足ならどうかしら」

ジェードは妖艶な笑みを浮かべると、昨晩の魔力を一気に放出する。重力を感じさせない動きで地面から死神の鎌が現れ、ジェードは右手で握った。

「私の場合見た目に変化はないかもね。ただ、私の眷属はそうじゃないかもしれないわ」

ジェードの言葉に恐怖したハンプティは、地面を蹴って強制的に空へ浮かせ、紫色のライトエフェクトを全身の張り巡せる。
空中でバランスをとり、周囲の魔力の流れに集中する。背中に何か大きな気配を感じ、ハンプティは咄嗟に嘘をついた。

「!!【私は嘘をつく──背中に結界が張られていな……】」

しかし、遅かった。ハンプティの体の2倍はあるであろう、魔神の足がハンプティの背中をボールを蹴るかのように蹴りつけたのだ。

「……っ!!」

ハンプティは背中が砕ける感覚を覚え、急速な加速度を前に加えられる。
その先に待ち構えていた大きな黒穴からまた足が現れ、ハンプティが両腕を交差し防御体制をとったが両腕を折り体の芯を捉えたかかと落としは、ハンプティを壊れた人形のように地面に打ち付けた。

「……いったー」

首や手足はネジ曲がり、背骨は粉々に砕けちり、子どもが無邪気に弄ったかのような姿になっていた。

「流石に本体を出せはしないけど、現役さながらの実力ね。」

ジェードは、ノリノリでハンプティを正方形の箱で囲む。箱の中は暗闇。4つ足の裏が現れ上下左右交互に踏みつける。

「これぐらいしないと、死なないでしょう。あのお嬢様は」

ズシンッ!ズシンッ!

城全体を揺らす大きな振動がブラックボックスの中で起きている。ハクや、アリス、クリム、ライリはその光景に息を飲んだ。

「むごいな…」

「相手が相手なので仕方が無いとは思いますが……」

「それもそうだな、箱が開いたら一気に攻めるぞ」

クリムとライリは足の裏に魔力を注ぎスタートダッシュの準備を始め、ハクも双翼に白のライトエフェクトを集め、魔力を溜めている。

その箱が空いた瞬間、白の拳、クリムの炎、ライリの斬撃が1人の少女を襲う。

「ふふ、それじゃ開けるわよ!3.2.1
……!」

ジェードが鎌を振り下ろすと最後に箱が小さく圧縮され、そこから人の形をしたものが現れる。一気に3人は飛びかかった、その瞬間、紫色の光がハンプティを包んだ。

「パンパカパーン!死人は嘘をつきました~!」

見る影もない残酷なしたいのお腹が真っ二つにわれ、その中からイリュージョンに成功したマジシャンのように現れるハンプティ。

クリム達は驚きはしたが止まることはない、すかさず新たに現れたハンプティに切りかかる。

「はい、残念」

ハンプティをブラックボックスが囲んだ、そこから先程までの反対方向に魔神の足裏が飛び出す。

「そんな……!」

攻撃態勢で防御体制の取れなかった3人は、ダイレクトにダメージを受けて四方に飛び散った。

「いただいたわ、魔神の手足。こんな便利な能力最高じゃない♡あははは!」

ハンプティはジェードの口真似をし、大声で笑う。

「おかしくて仕方が無いわ!!自分の必殺技を盗まれた魔界ランキング1位はどんな顔をしているのかしら?想像しただけで、ゾクゾクするぅうう!」

ハンプティは全身を震わせ悶える。恍惚な笑みと芝居がかった口調はジェードの怒りを買うには、充分だった。

「切れたわ」

「で?私を殺す?無理でしょ?実力が違い過ぎるものね!ふふふ!あははは!」

「ええ、そうね。正直私にはもう無理でしょう。だからあなたを倒すのは、あなたが滅ぼしかけたグランドレッドの姫とメイド、そして私達のボスよ」

「ボス……?」

アリスは音が聞こえないため、状況把握出来ていないが、後ろに振り向いたジェードがウィンクした瞬間──
死を覚悟した。

ん?あれとやりあえってこと?

俺は嘘をつく、狂った嘘つきと戦って死ぬ。

ははは、嘘つきになりてぇなぁ。

……死にたくねぇなぁ。

アリスは、何故か満面の笑みを浮かべていた。
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