現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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雲のアトリエ

8歳で飛行艇を作れるなんて、どう考えてもおかしい

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───翌日───
午前9時

妖精の森に朝日が差し込む。
シャボングサがシャボン玉を吐き出し、幻想的な雰囲気を作っていた。

「でっけー!鯨みてぇー!」
「本物の飛行艇を見るのは初めてですね」

森の木々を薙ぎ倒し、異質な雰囲気を醸し出す金属の鯨型の船。
飛行艇【クラウドホエール】
飛行艇とは名ばかりで、その見た目は水上を走る船のような見た目だ。空を飛ぶための羽などはない。

「鯨みたいというか鯨だよ。こいつは親父のやつなんだけど、パクった」

「マジか!?そんなことして大丈夫なのか!?」

「いいんだよ、シノンを探すためだ。クラウドも満足さ」

そう言って、シノは鯨の船の細部をレンチでいじり始めた。
茶色い作業服からは様々な部品が出てくる。

「本当に整備士なのだな」

クリムは感心したように、近づく。

「整備士っていっても見習いだけどな」

「本物の整備士を見るのは初めてだわぁ♡」
「へぇー、そこいじるとどうなるの?」「クラリス、どうせ聞いてもわからない」
「凄い手際です……!」
「腕は確かみたいですね、よくわかりませんが」
「………なに……してるの?」

「だから見習いだって!! いいから、中入ってて!」

シノは手のひらから赤、青、黄、緑の4つの球を出し、赤の球に触れる。

鯨の横腹に扉ができ、そこに向かって階段が現れた。

「おおおお……!」

アリスは目を輝かせ階段を登って扉を押す。
開けるとレッドカーペットの敷き詰められた洋風なホテルのような雰囲気と沢山の部屋があった。
ファミリー達も続々と階段を登る。

「えーと、一応中の説明しとく」

廊下の天井に等間隔に取り付けられたスピーカーから音が流れた。

「クラウドホエールは、デッキを合わせて4階建て。1階は倉庫室、食料とか燃料とかが置いてある。キッチンもある。2階が一番広い。客間でダンスパーティーとかするところ。ご飯とかここで食べてた。3階は今あんたらがいる部屋が沢山あるロの字型の階。2階の客間が筒抜けでそれを囲うようになってる。で、4階がデッキ。飛ぶと膜が張って風とかで吹き飛ばされない」

「すげぇ……!天国じゃねぇか!!超高級ホテルみたいだ!」

「家政婦冥利につきます……!」

アリスとライリは目を輝かせた。ライリは部屋を開けはなち、長く使われていなかったであろう。部屋を1つづつ駆け足で確認していく。

「アリスファミリーの皆様集合してください!!」

ライリはラインブレードを使って強制的に客間に人を集めた。

「うわっ!すげぇなワープ」
「と、突然なに!?」「ライリさんなんかいきいきしてる?」
「ライリちゃんがやる気に満ちてるの初めてみたわ」
「わ、私もです」
「ライリがこの目をする時はやばい!」
「……??」

「ひょんなことから、私達はこの飛行艇で天界に向かいます!まさか、飛行艇がお城並みに綺麗だとは思いませんでしたが、長くお世話になることとなるでしょう!なので!」

「「「「「「「なので…?」」」」」」」

「大掃除をします!」


                    ****


「超綺麗じゃん……」

シノが3時間ほどで整備をおえると、客間にファミリー達が倒れていた。
ライリだけが生気を吸ったかのように、肌がツヤツヤとしている。

「シノ様、船内のお掃除終わらせました」

「いや、別に頼んでないけど」

「頼まれてしているようじゃメイド失格です」

シノは手のひらから赤の球を出し、ちょんっと触れる。
扉と階段は元々なかったかのように消えた。

「便利ですね。飛行艇」

「クラウドって読んでくれ。一応元豪華客船なんだよこれ」

「元?今でも立派な船じゃないですか」

「そう言ってくれると嬉しい。それより良かったのか?悪魔が天界に行くなんて、死にに行くようなもんだろ」

「いいんです。ここに居場所はないですし、ボスは何にも考えてないですし」

ピクピクと眉を動かし泡を吹いているアリスを指差す、ライリ。
シノはアリスをジト目で見下す。

「あいつ本当に屑っぽいよな。なんであんたらこいつについてくんだ?」

「いや、別について行ってるわけでは。むしろついて来させてるというか」

「なんだそりゃ、男らしくねぇ」

「もっと言ってやって下さい、日頃の鬱憤が晴れます」

ライリは嬉しそうに本音を漏らすのを見て、シノは体の底が冷えるのを感じた。

「そ、それじゃ作戦建てるか」

「そうですね。アリス様を起こしましょうか?」
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