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雲のアトリエ
ハクが超絶無防備美人に進化するなんてどう考えてもおかしい
しおりを挟む「難しくてわっかんねぇよ!」
アリスは頭をぐちゃぐちゃにして、真っ赤な絨毯に目線を落とす。
きらびやかな内装にあれほど興奮していた姿は見る影もない。
「とりあえず、ここはお前のいた世界の延長線上にあるという事だ。ここにあるものは残って、ここに無いものは消えた」
つまり、クラスメイトは消えて、メイドは残ったということか?
うーん……。
「とにかく4つの種族があって、それぞれがいがみ合っているって認識でいいのよ!国によっては共存を実現している国もあるけど、そんなのは所詮世迷い言!上部だけよ」「僕らはそんな国たくさん見てきてる」
四大勢力がいがみ合い、均衡を保っている。きっと、そんなイメージなんだろう。
アリスはクラリスとクラリアの言葉で一旦納得した。
「これから行く天界には何がいるんだ?」
「天使ですね」
「と言っても、本物の天使ではないわ。雲のアトリエと呼ばれるとおり雲の上で怪しい何かを作っている自らを天使と呼ぶ謎の集団なの」
ライリもジェードもうんざりとした様子で答えていた。天界に行き、天使と会うのがよほど億劫らしい。
「自称天使か……」
アリスはその言葉を聞き、金髪の細マッチョのおっさんが笑顔でグリコポーズをとっている絵が浮かんだ。
「なんか気色悪い集団だな」
「それにまだ問題があってですね……」
『おーい!もうすぐ天界につくぞ!準備しろ!』
シノの声が響くと、アリスとハク以外のファミリーが走って各々の部屋に駆け込んだ。
「えっ、どうしたんだみんな……」
「突然慌ててた様子だった……」
「そうだよな、天界につくとなにかまずい事でも……ん?」
アリスは、聞き覚えのない声に疑問を持ち振り返る。
白髪全裸の無防備美少女が推定20くらいに育っていた。
「えっ……」
「ん?何かおかしい……?」
「いや、綺麗だなって……」
「ありがとう、お父さん」
キラキラとした笑顔の破壊力は凄まじく増しており、アリスは顔面を強く殴られたかのように大きく後退する。
(なんだこの胸の高鳴りは!?)
「も、もう1回言ってくれ」
「ん……?何をお父さん?」
「ぐはっ!も、もう1回!」
「お父さん……?」
「ぐはっ!」
「お父さん!」
「ぐはっ!」
「何これ楽しい……!」
ハクは手を叩いて喜ぶ。幼い頃より外交的になっていた。
子供の成長に涙するアリスは改めてハクの姿を見る。
身長は155cmくらいだろうか、フレイヤよりもだいぶ大きい。全裸かと思ったらよく見ると手足に白い逆鱗があり、しっかり全年齢対象でいける姿だ。
「なんというか……大きくなったなハク」
「んん?これが本当の姿だよ……?」
「えっ、そうなのか!?なんで今までみせてくれなかったんだ!?」
「ええ……!?そんな事言われても……魔国領は魔力が強すぎてあの姿じゃないと立つこともできない……」
「ん?てことは天界は、聖属性で溢れてるってことか?」
「そう、だから多分……みんな今頃小さくなってる」
「なるほど、そういう事か……!よし1人1人迎えに行こう」
アリスは下卑た笑みを浮かべ階段を上り、フレイヤの部屋の前に立つ。
「お父さん……ちょっと気持ち悪いよ」
「お前だってお母さんがどうなってるか気になるだろ?」
「そうだけど……うーん」
ハクは純粋無垢な顔を難しそうにしかめさせる。
アリスは容赦なく扉を開ける……。
「うわっ!突然どうしたんですか……アリスさん!?」
カーテンの中に隠れ顔だけ覗かせる、フレイヤ。
涙に揺れる赤い瞳は、恐怖の色に染まっていた。
その顔は推定8歳くらいのイメージ、ハクと同い年くらいだろう。
「やっぱりフレイヤが小さくなってる!?当たりだなハク!」
「な、なんというか……持ってはいけない下心を持ってしまう……!」
「「可愛すぎる!!」」
「えっ、ハクちゃん!?ハクちゃんなの!?凄いお姉さんになって……!」
フレイヤはハクに気付くとカーテンを跳ね除け、ハクの胸に飛び込む。
「ハクちゃん大きくなったね!柔らかくて気持ちいい……!」
「お母さん……か、かわいい!」
お互い頭からハートマークを浮かべ抱きつき合う2人、普段なら絶対見れない姿に、アリスはどばどばと涙を流す。
「うう……感動のシーンだ!フレイヤ可愛くなったなぁ」
「せ、セクハラですよ!?私だって好きでこんな格好してるわけじゃないんです!!こうしないと襲われた時、最大限の力を発揮出来ないんです」
「うんうん、わかるよわかる」
「絶対わかってないですよね!?」
よりフランス人形のような容姿になったフレイヤを見て、アリスは涙を流しながら、幸福の極みのような表情をしている。
「大丈夫……!私がみんなを守るよ……!」
「ハクちゃん、頼もしすぎる!」
「私の妹に何をしている!?」
「いてっ!」
騎士風な白の鎧に身を包んだ、赤眼赤髪の凛々しい姿だったクリムは今では14歳中学の生徒会長のような雰囲気で現れた。
服のサイズも合わせて縮んでいるようでぶかぶかではない。
「それくらい普段から小さければ可愛いのに」
「なっ!失礼な!!!」
普段自分と同じ目線にいるあのクリムが、自分の肩ほどの高さで怒っている姿は正直愛らしい。
「お前が何を考えているかは想像できる。が!私の力は変わってないことを忘れるな!!契約が解ければお前なんか……!!」
「そうか、見た目可愛くても力はそのままなんだな」
「可愛いって言うな!」
耳の先まで真っ赤にし、地団駄を踏むクリム。
「それ以上お二方を辱めるのは許しませんよ、アリス様」
「あれ!?ライリ!?全然変わってねぇ!!」
両手足を見えない縄で縛り付ける、ライリ。その姿は少しも変わってないように見える。
「まぁ、私はそのままで天界に行けなくもないのですが、ちょっとだけ変わりましたよ。尻尾が生えました」
「尻尾……?」
覗き込むように、首だけを起こすアリス。メイド服の影から三角形の尻尾がゆらゆらと揺れている。
「レディのしっぽを見るなんていい度胸ですね、折って差し上げましょうか?」
「何を!?」
「若返ったわ!最っ高の気分!!」
くるくると回りながら部屋に入ってきたのはジェード・グリン。クリムと同い年か年上くらい雰囲気だが相変わらず黒の水着と長い緑色の髪、ふくよかな胸は健在で女子高生のグラビアアイドルのような妖艶な雰囲気とフレッシュさを兼ね備えていた。
「え、エロすぎる!!」
「褒め言葉よ!アリスちゃん!!」
「ぶはぁああ!」
ジェードのウィンクに、アリスは鼻血を出して、気絶する。
「私たちの出番わ!?」「ないみたい」「なんなのよ!?」
クラリアとクラリスは小学生低学年くらいの容姿で、ピンク色の髪ツインテール、ショートヘア、そしていつものワンピースを着ていた。
幼い2人のほっぺはどことなく赤く、この中で1番年下のすがたになっていた。
「可愛い……!」
ハクは見るやいなや、クラリス姉妹に飛びつく。
「こ、これ誰よ!?」「うーん、すべすべ」
「ハクだよ……!」
「うそ!?あの白龍の!?」「驚き」
「うーん!いやし……!」
はぁ……大丈夫なのかこれ?
シノが見た光景は、泣いているフランス人形のような女の子を慰めるメイド、不機嫌そうに椅子に座る生徒会長風の騎士、鏡を見てうっとりとしている綺麗な女の子、ぶんぶんと振り回され目を回してる双子と嬉しそうにくるくると回る20歳すぎの白髪のお姉さん。そして、鼻血を出して幸せそうに気絶している、ファミリーのボス。
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