19 / 38
雲のアトリエ
ハクが超絶無防備美人に進化するなんてどう考えてもおかしい
しおりを挟む「難しくてわっかんねぇよ!」
アリスは頭をぐちゃぐちゃにして、真っ赤な絨毯に目線を落とす。
きらびやかな内装にあれほど興奮していた姿は見る影もない。
「とりあえず、ここはお前のいた世界の延長線上にあるという事だ。ここにあるものは残って、ここに無いものは消えた」
つまり、クラスメイトは消えて、メイドは残ったということか?
うーん……。
「とにかく4つの種族があって、それぞれがいがみ合っているって認識でいいのよ!国によっては共存を実現している国もあるけど、そんなのは所詮世迷い言!上部だけよ」「僕らはそんな国たくさん見てきてる」
四大勢力がいがみ合い、均衡を保っている。きっと、そんなイメージなんだろう。
アリスはクラリスとクラリアの言葉で一旦納得した。
「これから行く天界には何がいるんだ?」
「天使ですね」
「と言っても、本物の天使ではないわ。雲のアトリエと呼ばれるとおり雲の上で怪しい何かを作っている自らを天使と呼ぶ謎の集団なの」
ライリもジェードもうんざりとした様子で答えていた。天界に行き、天使と会うのがよほど億劫らしい。
「自称天使か……」
アリスはその言葉を聞き、金髪の細マッチョのおっさんが笑顔でグリコポーズをとっている絵が浮かんだ。
「なんか気色悪い集団だな」
「それにまだ問題があってですね……」
『おーい!もうすぐ天界につくぞ!準備しろ!』
シノの声が響くと、アリスとハク以外のファミリーが走って各々の部屋に駆け込んだ。
「えっ、どうしたんだみんな……」
「突然慌ててた様子だった……」
「そうだよな、天界につくとなにかまずい事でも……ん?」
アリスは、聞き覚えのない声に疑問を持ち振り返る。
白髪全裸の無防備美少女が推定20くらいに育っていた。
「えっ……」
「ん?何かおかしい……?」
「いや、綺麗だなって……」
「ありがとう、お父さん」
キラキラとした笑顔の破壊力は凄まじく増しており、アリスは顔面を強く殴られたかのように大きく後退する。
(なんだこの胸の高鳴りは!?)
「も、もう1回言ってくれ」
「ん……?何をお父さん?」
「ぐはっ!も、もう1回!」
「お父さん……?」
「ぐはっ!」
「お父さん!」
「ぐはっ!」
「何これ楽しい……!」
ハクは手を叩いて喜ぶ。幼い頃より外交的になっていた。
子供の成長に涙するアリスは改めてハクの姿を見る。
身長は155cmくらいだろうか、フレイヤよりもだいぶ大きい。全裸かと思ったらよく見ると手足に白い逆鱗があり、しっかり全年齢対象でいける姿だ。
「なんというか……大きくなったなハク」
「んん?これが本当の姿だよ……?」
「えっ、そうなのか!?なんで今までみせてくれなかったんだ!?」
「ええ……!?そんな事言われても……魔国領は魔力が強すぎてあの姿じゃないと立つこともできない……」
「ん?てことは天界は、聖属性で溢れてるってことか?」
「そう、だから多分……みんな今頃小さくなってる」
「なるほど、そういう事か……!よし1人1人迎えに行こう」
アリスは下卑た笑みを浮かべ階段を上り、フレイヤの部屋の前に立つ。
「お父さん……ちょっと気持ち悪いよ」
「お前だってお母さんがどうなってるか気になるだろ?」
「そうだけど……うーん」
ハクは純粋無垢な顔を難しそうにしかめさせる。
アリスは容赦なく扉を開ける……。
「うわっ!突然どうしたんですか……アリスさん!?」
カーテンの中に隠れ顔だけ覗かせる、フレイヤ。
涙に揺れる赤い瞳は、恐怖の色に染まっていた。
その顔は推定8歳くらいのイメージ、ハクと同い年くらいだろう。
「やっぱりフレイヤが小さくなってる!?当たりだなハク!」
「な、なんというか……持ってはいけない下心を持ってしまう……!」
「「可愛すぎる!!」」
「えっ、ハクちゃん!?ハクちゃんなの!?凄いお姉さんになって……!」
フレイヤはハクに気付くとカーテンを跳ね除け、ハクの胸に飛び込む。
「ハクちゃん大きくなったね!柔らかくて気持ちいい……!」
「お母さん……か、かわいい!」
お互い頭からハートマークを浮かべ抱きつき合う2人、普段なら絶対見れない姿に、アリスはどばどばと涙を流す。
「うう……感動のシーンだ!フレイヤ可愛くなったなぁ」
「せ、セクハラですよ!?私だって好きでこんな格好してるわけじゃないんです!!こうしないと襲われた時、最大限の力を発揮出来ないんです」
「うんうん、わかるよわかる」
「絶対わかってないですよね!?」
よりフランス人形のような容姿になったフレイヤを見て、アリスは涙を流しながら、幸福の極みのような表情をしている。
「大丈夫……!私がみんなを守るよ……!」
「ハクちゃん、頼もしすぎる!」
「私の妹に何をしている!?」
「いてっ!」
騎士風な白の鎧に身を包んだ、赤眼赤髪の凛々しい姿だったクリムは今では14歳中学の生徒会長のような雰囲気で現れた。
服のサイズも合わせて縮んでいるようでぶかぶかではない。
「それくらい普段から小さければ可愛いのに」
「なっ!失礼な!!!」
普段自分と同じ目線にいるあのクリムが、自分の肩ほどの高さで怒っている姿は正直愛らしい。
「お前が何を考えているかは想像できる。が!私の力は変わってないことを忘れるな!!契約が解ければお前なんか……!!」
「そうか、見た目可愛くても力はそのままなんだな」
「可愛いって言うな!」
耳の先まで真っ赤にし、地団駄を踏むクリム。
「それ以上お二方を辱めるのは許しませんよ、アリス様」
「あれ!?ライリ!?全然変わってねぇ!!」
両手足を見えない縄で縛り付ける、ライリ。その姿は少しも変わってないように見える。
「まぁ、私はそのままで天界に行けなくもないのですが、ちょっとだけ変わりましたよ。尻尾が生えました」
「尻尾……?」
覗き込むように、首だけを起こすアリス。メイド服の影から三角形の尻尾がゆらゆらと揺れている。
「レディのしっぽを見るなんていい度胸ですね、折って差し上げましょうか?」
「何を!?」
「若返ったわ!最っ高の気分!!」
くるくると回りながら部屋に入ってきたのはジェード・グリン。クリムと同い年か年上くらい雰囲気だが相変わらず黒の水着と長い緑色の髪、ふくよかな胸は健在で女子高生のグラビアアイドルのような妖艶な雰囲気とフレッシュさを兼ね備えていた。
「え、エロすぎる!!」
「褒め言葉よ!アリスちゃん!!」
「ぶはぁああ!」
ジェードのウィンクに、アリスは鼻血を出して、気絶する。
「私たちの出番わ!?」「ないみたい」「なんなのよ!?」
クラリアとクラリスは小学生低学年くらいの容姿で、ピンク色の髪ツインテール、ショートヘア、そしていつものワンピースを着ていた。
幼い2人のほっぺはどことなく赤く、この中で1番年下のすがたになっていた。
「可愛い……!」
ハクは見るやいなや、クラリス姉妹に飛びつく。
「こ、これ誰よ!?」「うーん、すべすべ」
「ハクだよ……!」
「うそ!?あの白龍の!?」「驚き」
「うーん!いやし……!」
はぁ……大丈夫なのかこれ?
シノが見た光景は、泣いているフランス人形のような女の子を慰めるメイド、不機嫌そうに椅子に座る生徒会長風の騎士、鏡を見てうっとりとしている綺麗な女の子、ぶんぶんと振り回され目を回してる双子と嬉しそうにくるくると回る20歳すぎの白髪のお姉さん。そして、鼻血を出して幸せそうに気絶している、ファミリーのボス。
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。
それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。
「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」
『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。
しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。
家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。
メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。
努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。
『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
※別サイトにも掲載しています。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます
咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。
そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。
しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。
アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。
一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。
これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる