現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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雲のアトリエ

クラスメイトが異世界にいるなんて、どう考えてもおかしい

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木々は高く等間隔に連なっていた。
山道だったが、車1台が通れるほどの道幅があり、平に整備されていた。

「なんつうか綺麗な道だな」
「当たり前だ、神前に続く道なんだから」
「うーん……!気持ちいい!」
「ハク、嬉しそうだな」
「うん……!体に力が溢れてくる!」

ハクは今にも飛んで言ってしまいそうなほど高揚していた。
こんなにも明るく外交的な1面を持っていることをアリスは知らずにいた。
何も知らないんだな、と改めて感じていた。

「シノくん。急いでるなら、飛んでいく?僕とハクちゃん飛べるよ」
「そうか!そうしてほしい!このまま道なりに行けば神社がある!そこにいると思う!」
「わかった」

白く輝く翼を伸ばしシノの手を握り、抱きしめるクラリア。僅かな膨らみに顔をうずめ、頭に血が上るシノ。

「あ、あの!景色見えないから反対向きにして欲しい」
「あっ、ごめん。あすなろ抱きがいい?」
「その言い方やめろ!」

シノをクルッと回し後ろから抱きしめると翼を伸ばしはためかせ飛翔した。

「私たちも行くよ……!」
「お、おう!」

ハクはクラリアと同じようにアリスを背中から抱きしめ、白い翼で飛んでいく。ハクの翼はしっかりと龍の翼で逆鱗があるが白い燐光が太陽の光を反射し美しく輝いていた。

(む、胸が……!)

アリスは何より背中に感じる大きく雄大でビッグな柔らかさに意識を囚われていた。

「んー!やっぱり飛ぶの気持ちいい!」
「そ、そうだな!(いろんな意味で)」
「見えた!あの鳥居全部ちゃんとくぐって!」

伏見稲荷大社という言葉を連想される千本鳥居が斜面に連なるように現れた。シノはそれを全て潜れと指示したのだ。

「わかった」「お安い御用だね……!」

斜面に沿って、低空飛行をする2人。
いくつもの鳥居をくぐり抜けるのは圧巻の光景だった。

「なんか一つくぐるたび強くなりそうだな」
「わからなくもない」

シノはアリスの言葉に苦笑した。

「もうすぐ抜ける!待ってろ、シノン!」

最後の鳥居を抜けると真っ赤な神殿が現れた。
石畳で整備された山頂に建つ神社には雲神が祀られている。

「お前にはあるか? 何かを成し遂げる為に、自分を変える覚悟が。」

厳しい女の声だった。
神殿の前に褐色肌に八重歯、無邪気な笑顔を浮かべる青いショートヘアの男が立ち、その後に仲間と思われる7人の人型の部下がいた。
部下達の足元に、青い魔法陣が浮かび上がり、魔法陣の中心にはAの文字が浮かんでいる。
褐色肌の男の前には、裸の青い光に包まれた少女が宙に浮いて見下している。褐色肌の男は迷わず言う。

「当たり前だ!この世界を救ってみせる!俺の元に来い!」

よく聞く言葉なのかもしれない。でも、俺にとってそれは聞き慣れない言葉だった。
けどアイツは即答した。
忘れもしないあの顔、間違いない、海鳴海斗。
俺のクラスメイトにして、恋敵。

「その言葉……信じてた……カイト!」
「ああ!もう大丈夫だ!絶対お前も家族も守る!」

抱きしめあった、青髪の少女と褐色肌の男、すると少女は光となって消えた。

「はぁー!終わったー!みんな心配かけたな……って、誰だお前?」

「海鳴海斗……!」

アリスは嫌悪の目を向け、海斗は何も知らないといった様子で首をかしげる。

「アリスファミリー!? 魔界のトップに立つ人間だ!」

「まじか!?ここで魔界のボス登場!?めっちゃ上がる!」

「またそれかよ!違うんだって!」

「お父さん……!目、瞑って!」

「な、見せてくれよ。魔界トップの力」

瞬間、海斗は水を纏い消え、ハクとアリスの眼前に現れると拳をねじり高速で叩きつける。

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