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雲のアトリエ
戦場の真ん中で調理を始める料理人なんてどう考えてもおかしい
しおりを挟む熊の獣人リアムは、コックだ。
街の中心でメロが歌っている間、街の西側でリアムは料理を作っていた。
リアムを囲うように出来たステンレス製の調理場、彼女はメロの曲を聞きながら調理している。
「今日はチンジャオロースかな♪ あー、でもカイト達は肉多い方が良いよね」
「そこの茶髪嬢ちゃん。あたま湧いてんの?」
「はぁ?誰に口聞いてるん?」
ギリアムファミリーの部下が調理場の外から軽口を叩く。
リアムは呆れた様子で、怒気のこもった声で呟いた。
「いやぁ、逃げたりとかせんのか?」
「しないわよ、私は料理人なの!いついかなる時もファミリーに料理を出すのが私の仕事、戦争だか大根だか蓮根だか知らないけど私にとって全部具材にしかならないのよ」
「ちょっと何言ってるか分かんねぇ」
「でしょうね、例えばアンタだって私にとっちゃ料理の素材なの。いっぺん私に調理されてみる?」
包丁をちらつかせ脅す少女に、嘘ハッタリの様子は見られない。同時にそれほどの戦闘力も感じられない。
部下は自分よりも実力が劣る者に料理されるとは到底思えなかった。
「へぇ、ならやってみるかい」
拳銃を取り出し容赦なく引き金を引く。
弾丸は目にも止まらぬ速さでリアムのコメカミに吸い寄せられていった。
しかし、リアムの調理場を通過した瞬間、弾丸は骨付き肉にかわりその場でストンと落ちた。
「何が起きた?」
「あー、欲しかったのよねーこういう肉。食材サンキュー。ああ、あとね塩と胡椒。あー、やっぱり焼肉のタレのがいいかな?」
「何言ってんだこのやろう!」
立て続けに3発弾丸を打つがそれらは調理場の空間に入った途端塩胡椒焼肉のタレへと変貌する。
「な、なんだその力!?」
「うんうん!ノッてきた!あー、あと野菜とかも欲しいかな。ちょっと君、野菜に変わってよ。そうだなキャベツとか。」
「う、うわぁあああああ!」
情けない声をあげて部下はリアムに背を向け走り出す。得体の知れない恐怖にあらゆるプライドや誇りなどを捨てただただ保身のために走った。
「ダメダメ、そこもう私の領域」
ポンッ
軽い音ともに彼の姿は、通常サイズのキャベツへと変わる。
彼女が左手をあげるとそこにキャベツが吸い寄せられた。
「はぁ、どいつもこいつも腑抜けだなぁ。私の能力を見て立ち向かって来たのはボスだけか。腕が鈍ってしかたがない。ま、料理出来ればなんでもいいや」
【クッキングルーム】
クッキングエリアに入った物質を調理具材、器具に変身させる。
チートって、すごいですね
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