現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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雲のアトリエ

巨大な箱舟がどこにも見当たらないのはどう考えてもおかしい

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「おかしい…!」

シノは戦場を見て驚愕の声を上げた。
あるはずのものが街になかったのだ。
その様子は普段からは想像のできないものだった。アリスは気がかりになりすぐに声をかける。

「どうした、確かにあいつらの強さはおかしいけれど」
「違う、箱舟がないんだ!俺が出たのは一ヶ月前…進捗的にも完成の時期は今日明日なんだ。この場にないなんて…!」

盗まれた…?襲撃を予知してどこかに隠した?隠すにしてもどこに隠す?あれほど巨大な船製造するのも街ぐるみだった。なんせ島全体の3割を埋め尽くすほどの巨大な船だ隠す場所なんてありはしない。

「確かに、ノアの箱舟らしき船はないな…。というか船なんて一隻も」
「そうか、倉庫にしまったのか!ほかの船を全部どかせば不可能じゃないけど……。アリス、皆、頼みがある!俺を島の下へ連れて行ってくれ!確かめたいことがある!」
「でも、俺はあいつに…」

アリスはシノの真っ直ぐな目を一身に受けた。覚悟を決めた男の目。強い意志を感じる。
……確かにカイトからの指示はあった。あったのだが…。守る義理なんてない。仲間が歩むべき道を支えるのが仲間……なんて大それたことを言うつもりはない。
ただ、俺は……。あいつの事が嫌いだ!

「いや、作戦変更だ! この美人ファミリーを美少女ファミリーに変身させてくれた恩返しだ!シノ!案内してくれ!これから、アリスファミリーはノアの箱舟の探索に向かう!ていうか、戦場に行ったところで出番なさそうだしな!」

だって、チートばかりだもの!!!!

前のめりでこれでもかというほどの大声で、ファミリーに訴える。
ファミリーは所々眉を引くつかせながら話を聞いていたが、シノの話のことや現状アクアファミリーの戦力が高く、ギリアムファミリーに勝ちの目がないことから自分たちのやるべきことは、ギリアムファミリーの目標である『ノアの箱舟』を先に見つけることの方が先決だと考えた。

「箱舟の周辺にいればいずれ誰かが箱舟を狙いにやってくるでしょう」
「そいつらを片っ端から倒す方が」「大分ラク」
「それに誰が敵かもわからん」
「着たら倒すという方法は少々野蛮なような気もしますが…」
「くんずほぐれつ、ヤればいいのね♡ 若い体の活かしどころかしら」
「船を…守ればいいの!? やるやるー!!」

「満場一致…!俺達は、ノアの箱舟を探す!シノ案内してくれ!」
「みんな、ありがとう!倉庫は島の下にある!けど下に通じる道は町のど真ん中のマンホールを潜るしかない…」
「ハクに任せて…!」
「ハク?」

白の逆鱗を纏う美しい龍人ハクは、無邪気にシノの方に駆け寄っていく。
ふくよかな胸をぼーっと見つめるシノの顔は真っ赤だ。

「えっとね…、行きたい場所をイメージしてほしい…!」
「う、うん」

シノは目を閉じて、鉄に囲まれた巨大倉庫をイメージする。
何度も通い、自分だけの船をいつか作るための勉強していた。鉄臭い匂いやひんやりとした空気、何もかも鮮明に覚えていた。

「ここであってる…?」

「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええええ!!!!???」」」」」」」」」

ハクは、シノの額にキスをすると周りの空間をねじまげシノのイメージした地下倉庫に転移させた。

「おれ…ダメっ…死んでもいい」

シノはあまりのショックに鼻血を噴射し華麗に気絶した。

「あちゃーこれじゃ確認できねぇな」
「いや、アリス。ここは外れだ。」

クリムは確信を持った声で言った。

なにもない。船1つないのだ。

そこにはただ、東京ドームよりも巨大で、鉄でできた静かな空間だけがあった。

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