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雲のアトリエ
この場所で再戦するなんてどう考えてもおかしい
しおりを挟むアリスファミリーを待ち受けていたもの。
それは空白の場所。あるはずのものが何もない。
箱舟はおろか、歴代の船の一隻も見当たらない。
「広いな…島の下にこんなスペースが……」
アリスは東京ドームを貸し切ったような気分だった。
あるはずのものがない、祭りのあとの虚しさ。
「ここで、ノアは作られたのか……?」
「恐らくそうでしょう。高さ250m横幅1000m……これ程の空間です、島の状況を鑑みてもここしか考えられません」
ライリはこの空間に違和感を覚えていた。
島の表面部分は左半分が、竹林と森、そして神社のある和の国の雰囲気。右半分が雲と綿菓子の【幸福なお菓子の国】のような雰囲気。そして、地下は機械族の好む金属類の雰囲気。
……この国、この場所は、全ての種族との関わりがある。
ライリの中で恐ろしい推測が頭をよぎった。
「……もしかすると、ノアの方舟はもうここには無いかもしれません」
「どういう事よ」
「シノさんに確認を取れないので何とも言えませんが、もしかすると、ノアの方舟は天界の住人を運ぶものではなく、ある種族を運ぶためのもの……」
「……まさか!?三神龍だっていうの!?」
三神龍
陸を司る、土龍。
空を司る、空龍。
海を司る、海龍。
3体からからなる、最上位種族。
異世界最強の種族龍族の中で、最も強い。
三神の鱗に触れれば、天空は裂け、大地が傾き、海が世界を覆い尽くすという神話があるほどだ。
「本当だ……ソラ様の気配が残ってる!」
恐怖のあまり、ハクの膝が笑った。
ペタンと尻餅をつき、なお体を震わせている。
「まさか……もしそれが本当なら天使と三神龍となにか繋がりがあるというのか!?」
「あるいは、他の何者か」
「なるほど、空龍の死体を運んだ。ということね」
「そんなはずない!だって、ソラ様の気配はまだ!……まだある!しかも近いよ!」
ハクは涙を含んだ目でアリスを見つめた。
行きたいと。
空龍の元へ行きたいとただ一心に。
「……いくか?みんな」
「今回ばかりはノーだ、アリス。相手がデカすぎる」
クリムは即答した。
「自分の娘の頼み、聞いてやりたいんだ」
「死にたいのか?なら、ここで死んでいけ」
右手に炎を宿し、そこからデモンフレイムメアを抜く。
見た目は幼くなっているがその目に宿る赤は、今なお強く輝いている。
「ダメだよ!そんなことしちゃ!」
ハクは、アリスとクリムの間に割って入る。
「お前最近調子に乗ってないか」
止めなければ行けない。これだけは行ってはならない。
ファミリーが死んでしまう。
アリスが死ねば、全員死ぬ。
「違う!そんなつもりねぇよ!ただ、ハクの気持ち考えたら!」
あんな目をしているんだ。
きっと大切な人なんだろう。
俺にはわからないけど、可愛い女の子が泣いてたら助けたくなるじゃねぇか!
「へぇ、気付いたんだ」
冷たい声だった。
聞き覚えのある声。
「お前は……!」
「またお目にかかりましたね、アリスファミリー御一行。私の名前は、グラント・トリート。トリートお呼びください。罪深き者です」
彼女はアリス達から10m程の位置に突如現れ、辺り一面に巨大な木々を生み出し、蛇のように蠢く木の根を張り巡らせた。
「みんな固まれ!」
アリスとシノを守るように円を作って、ファミリーは守の体制を整える。
「なに、殺す気などありません。ただ、動かないで欲しいのです」
「どういう事だ……」
「今この場所は、私の可愛い眷属たちによって覆われています。あらゆる、魔力、龍気、機力、獣気を遮断します。ようするに」
ここを超えたくば私を倒してから行けというわけです。
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