畑の勇者「タウンゼント」

初書 ミタ

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畑の勇者

null 4 さよならぼくのからだ

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インターチェンジでメンテナンスをしていると

一人の少年が近づいてきた。



「やぁ、リムおばさん。」



だれがおばさん・・・そう言いかけてリムは固まっていた。



「追跡の指揮官はあなただったのね。」



「そうだよ。」



「君のお父さんがインフィニティーの生みの親。

つまりあなたの弟、その子供である僕は、君の甥じゃないですか。

ふふ・・・。」



「ジル、何の用事かしら。」



「決まってるじゃないか、君の持ち出したデータだよ。」


「幸い君はスタンドアローンだ。解析できない以上

他にわたる危険性はないと思うけどね。」


お互いに最新型のナノマシン群体、決着が付くのは

しばらくかかりそうだね。

そう言うとリルの体を空中に放り投げると

地面にたたきつけた。



「でもね、君の強みは弱点でもある。

所詮はスタンドアローン、個である事を捨てた

僕達には勝てないよ。」


(サテライト・リンカー)


ボロボロになりながらたたかうリムは防戦一方

演算速度が関係しているようだ。


(タウンゼント、半年前に言ったこと覚えてる。)

僕とだけリンクした彼女が話しかけてくる。


(ユニゾン)


「おやおや、そんな農業用機械とリンクして

どうするつもりですか?」



(聞いて、タウンゼント、今の私達ではあいつに勝てない

あなたの体の動力源は原子力。)


(一時的とはいえ、動きを止めるだけの電磁パルスが出せる。)


あいつは人工衛星を使ってデータのやり取りをしている。

だから一時的に、無力化できる。


こっちはスタンドアローン、影響はない、動けるわ。


あなたの脳が特別だったのは、私と同じナノ群体だったから。

私があなたの脳を物理的に取り込むから。

あなたは、トラクターの原子炉を自爆させて。


「わかったよ。」



「リルおばさん、あなたは貴重な存在だ。

残念ながらデータのバックアップはないようですが。」



「所詮はロボットだね。人間のおもちゃだよ。」

ぼくは心にもなく挑発した。



「なん・だと」



ジルと言う人はプライドが高いらしく、


「今すぐスクラップにしてやるよ、農作業機械。」


まっすぐ、僕に向かってきた。


(さよなら、ぼくの身体)


原子力の電磁パルスは彼の動きを止めた。



リルはぼくを見捨てたと見せかけ、

ぼくの脳を取り込んで全力で離脱した。


しばらく時間は稼げるだろう。


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