産業創世記 ギデオン(休載中)

初書 ミタ

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第1章 監獄の住人1-16

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「私も、治療費が払えない乞食だったんだよ。毎日塵をあさってさ。」

グレースが 

「それ、ほんとう?」

と無邪気に尋ねた。

「私の出身は ゲットーだよ。」

ライアンは理解した。ゲットーは貧民窟の中の貧民窟。

アデルの言うことが本当なら、妹は助けてもらえるだろう。

「アデルさん ゲットーのどこに住んでいました?」

ライアンはアデルの答えを聞き、

アデルがゲットーの貧民出身であることが理解できた。



それを確認したのかガブリエルが優しく言った。

「君が直接、殺して盗ったというならともかく、
拾ったとか、盗んだと言うだけなら、見逃そう。」



ライアンはなけなしの勇気を払い、本当のことを話した。

すると、

ガブリエルは、宝石をすべておいていくことを条件に、

ライアンに服や銀貨を渡して、

別の街のゲットーへ行くように言った。

「すぐに逃げたほうがいい。妹さんのことは
私が命に代えても守る。」

ガブリエルはそういうとアデルに案内を指示した。

ライアンは深々と頭を下げ、心からお礼を言った。

ガブリエルは少女をベッドに寝かせ、

看護の人に体を拭く様に指示していた。

ガブリエルは蒼白な顔をアデルに向けると

今すぐゲットーの反ユダヤ主義レジスタントの

活動拠点に行くように、言った。

アデルは事態を良く飲み込めずにいたが、緊急であるのはわかった。

ライアンを引きつれ、早朝の街に飛び出していった。

(逃げるかも、いや、妹がいる。あれだけの宝石を盗めば
法律的にも死刑だ。盗賊一味に見つかれば、拷問をずっと
受けるだろう。それでも盗んだのは、妹は大切なのだろう)


アデルはそう判断し、ゲットーに走りこんだ。

事情をライアンから聞いたレジスタンス活動の男は言った。

「至急、ハッペンハイムに連絡を請う。」

それを聞くと大慌てで、2人の男が別々の方向へ飛び出していった。

「これだけの量の宝石がカルテルに見咎められぬとはな、くっ。」

男は歯軋りし、吐き捨てた。

「至急、ハッペンハイムに連絡を請う。」

今度は、その男ともう2人が外に走り出した。

全速力で走っているのだろう、見る見る姿が小さくなる。

「はぁ、どうするんだろうね。」

アデルはため息をつきながら、立ち尽くしていた。
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