32 / 57
◆交錯④
しおりを挟む
「こういうの、女の子は貰うとうれしいのかな?」
「もちろんうれしいですよ」
そうなのかと納得しつつ、俺は今、確実に舞花ちゃんの姿が頭に浮かんでいた。
初めはプレゼントを買う気はなかったけれど、彼女がこういうのを髪につけているのを見たことがあるし、なんだか買いたくなってきた。
このシュシュが、舞花ちゃんを連想させたからだ。
「でも、どういうのがいいのか全然わからないな」
色やデザインや柄がいろいろあって、男の俺にはどれがいいかなんてすぐに選べるはずもない。
遥ちゃんが俺の隣に来て、並べてあるシュシュを手に取った。
「これはオシャレですけど、職場ではちょっと派手かもしれませんね」
「仕事柄、派手なのはダメだと思うんだ。だからシンプルなやつがいいかな」
「じゃあ、これなんてどうでしょう?」
遥ちゃんが俺に勧めたのは、茶色の濃淡のデザインがあしらわれたシュシュだった。
「シンプルでいいと思いますよ?」
「そうだね。これだったら仕事のときも付けていられそうだな」
色も茶色なので派手ではないし、大井コーポレーションの制服ともしっくりくる。
「ちなみに、どんなお仕事されてる方なんですか?」
「遥ちゃん知ってるかな? 大井コーポレーションって会社。そこの受付で働いてる子がいて……」
「ああ! 知ってます。大きな会社ですよね。ていうか和久井さん、彼女ができたんですね!」
心底うれしそうな笑顔で聞いてくる遥ちゃんは、本当に天然だ。
自分がフッた男に彼女ができたのか? と堂々と質問するとは。
「彼女ではないけどね」
「じゃあ、これからですか?」
「これから?」
「だって、和久井さんはその気がありそうに見えますもん。だからその彼女にプレゼントしたいんでしょ? 恋人同士になれそうなんですか? うまくいくといいですね!」
遥ちゃんをきっぱり諦めて本当に良かったな。
諦めてなければ、今頃その発言で俺は打ちのめされている。
「これはどうかな?」
会話の途中で俺の目にふと止まったのは、アイボリーのシュシュだった。
ところどころに小さなパールの装飾があって、とても上品だ。
「それもいいですね。装飾もパールだから清楚な感じですよ」
「実はその子自身も清楚な感じなんだ。白が似合うし、色白だし」
我ながら、いいデザインのものを見つけたと思う。
舞花ちゃんがこれを付けているところを想像すると、思わずニヤけそうだ。
「あ、もしかして!」
「……ん?」
「色白の人って、この前会ったときに一緒に居た女性ですか?」
「うん。あの中にいた」
飲み会のあの日、女性は四人いたけれど、舞花ちゃんがどの子なのか、遥ちゃんはわかったのだろうか?
「あの時、ずっとこっちを見ていた女性がひとりいたんです」
「……え?」
「和久井さん、気づいてなかったんですね。私と和久井さんが話してるとき、遠くからこっちを見ていて……きっとその人だと思います」
「もちろんうれしいですよ」
そうなのかと納得しつつ、俺は今、確実に舞花ちゃんの姿が頭に浮かんでいた。
初めはプレゼントを買う気はなかったけれど、彼女がこういうのを髪につけているのを見たことがあるし、なんだか買いたくなってきた。
このシュシュが、舞花ちゃんを連想させたからだ。
「でも、どういうのがいいのか全然わからないな」
色やデザインや柄がいろいろあって、男の俺にはどれがいいかなんてすぐに選べるはずもない。
遥ちゃんが俺の隣に来て、並べてあるシュシュを手に取った。
「これはオシャレですけど、職場ではちょっと派手かもしれませんね」
「仕事柄、派手なのはダメだと思うんだ。だからシンプルなやつがいいかな」
「じゃあ、これなんてどうでしょう?」
遥ちゃんが俺に勧めたのは、茶色の濃淡のデザインがあしらわれたシュシュだった。
「シンプルでいいと思いますよ?」
「そうだね。これだったら仕事のときも付けていられそうだな」
色も茶色なので派手ではないし、大井コーポレーションの制服ともしっくりくる。
「ちなみに、どんなお仕事されてる方なんですか?」
「遥ちゃん知ってるかな? 大井コーポレーションって会社。そこの受付で働いてる子がいて……」
「ああ! 知ってます。大きな会社ですよね。ていうか和久井さん、彼女ができたんですね!」
心底うれしそうな笑顔で聞いてくる遥ちゃんは、本当に天然だ。
自分がフッた男に彼女ができたのか? と堂々と質問するとは。
「彼女ではないけどね」
「じゃあ、これからですか?」
「これから?」
「だって、和久井さんはその気がありそうに見えますもん。だからその彼女にプレゼントしたいんでしょ? 恋人同士になれそうなんですか? うまくいくといいですね!」
遥ちゃんをきっぱり諦めて本当に良かったな。
諦めてなければ、今頃その発言で俺は打ちのめされている。
「これはどうかな?」
会話の途中で俺の目にふと止まったのは、アイボリーのシュシュだった。
ところどころに小さなパールの装飾があって、とても上品だ。
「それもいいですね。装飾もパールだから清楚な感じですよ」
「実はその子自身も清楚な感じなんだ。白が似合うし、色白だし」
我ながら、いいデザインのものを見つけたと思う。
舞花ちゃんがこれを付けているところを想像すると、思わずニヤけそうだ。
「あ、もしかして!」
「……ん?」
「色白の人って、この前会ったときに一緒に居た女性ですか?」
「うん。あの中にいた」
飲み会のあの日、女性は四人いたけれど、舞花ちゃんがどの子なのか、遥ちゃんはわかったのだろうか?
「あの時、ずっとこっちを見ていた女性がひとりいたんです」
「……え?」
「和久井さん、気づいてなかったんですね。私と和久井さんが話してるとき、遠くからこっちを見ていて……きっとその人だと思います」
1
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
夜の帝王の一途な愛
ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。
ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。
翻弄される結城あゆみ。
そんな凌には誰にも言えない秘密があった。
あゆみの運命は……
Marry Me?
美凪ましろ
恋愛
――あの日、王子様があたしの目の前に現れた。
仕事が忙しいアパレル店員の彼女と、王子系美青年の恋物語。
不定期更新。たぶん、全年齢でいけるはず。
※ダイレクトな性描写はありませんが、ややそっち系のトークをする場面があります。
※彼の過去だけ、ダークな描写があります。
■画像は、イトノコさまの作品です。
https://www.pixiv.net/artworks/85809405
男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される
山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」
出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。
冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる