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◇本気の恋を教えます⑦
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「へぇ、いつの間に彼女ができたんだ?」
「いや、いちいちプライベートを報告しませんよ」
ふたりのそんなやりとりを聞いていると、その男性とバッチリ目が合ってしまった。
「初めまして。和久井と同じ会社で働いている、宇田と言います」
その男性は自己紹介と共に、私に爽やかなやさしい笑みを向けてくれた。頼りがいがありそうな先輩だ。
「初めまして。夏野 舞花です」
私もあわてて名を名乗りながら頭を下げる。
「営業部の先輩で、この人が遥ちゃんの彼氏」
後ろの言葉は私にだけ聞こえるように、竣が小声になった。
竣が好きだったあの女性は、会社の先輩と付き合っていると聞いていたけれど……この人が彼氏なのだ。
ふたりはきっと“恋敵”だったはずなのに、仲は悪くなさそうな感じがした。
「和久井、それにしてもどこでこんな美人と出会ったんだ?」
「隠す必要はないと思うんで正直に言いますけど、彼女は大井コーポレーションの受付で働いてます」
「えぇ?!」
衝撃の発言だと言わんばかりに、宇田さんはひどく驚いた表情になった。
「お前なぁ、クライアントの社員に言い寄るなんて、なにをしてるんだよ」
宇田さんは軽く頭を抱え、小さく溜め息を吐いた。
竣が私のことで怒られたらどうしようと心配になってくる。
「あの、違うんです!」
「……え?」
「彼が言い寄ってきたのではなく、私のほうから言い寄ったんです! どうしても彼が好きで……」
私が宇田さんに必死に伝えている姿を目にし、竣が隣でアハハと笑った。
私は今、なにかおかしなことを言っただろうか。
「宇田さん、そういうことなんで」
「和久井って、そんなモテキャラだったか?」
「宇田さんよりかはイケてるんじゃないですかね」
「ほんとにお前は減らず口だな」
こんな竣は初めて見る。
宇田さんが“減らず口”と表現したけれど、本当にそうで、冗談でも会社の先輩相手にここまで言っていいのだろうかと思うくらいだ。
「ていうか、宇田さんこそ堂々と浮気していいんですか? 俺、遥ちゃんに言いつけますよ?」
竣が指摘したとおり、宇田さんは今日はひとりではなく、後ろに綺麗な女性が控えめに立っていた。
「バカ! これは違うんだよ!」
宇田さんを紹介される前までは、付き合っている恋人かな?と私も思っていたが、別に恋人がいるのならその女性は誰なのだろう?
「デート現場を押さえられて、違うもなにもないでしょう。現行犯ですよ。宇田さんが簡単に裏切る人だとは知りませんでした」
「勘違いするなよ」
竣にあおられたからか、宇田さんが焦った様子で弁解しようとしているのが伝わってきた。
「これ、俺の妹!」
「えぇ! 妹さん?」
竣が驚きの声を上げると同時に、宇田さんの後ろから妹さんがペコリと頭を下げた。
「こんな綺麗な人と歩いてるから、俺はてっきり遥ちゃんに隠れてデートかと……」
「そんなわけないだろうが!」
どうやら宇田さんは妹さんとお祭りに来ていたらしい。
だけど顔はまったく似ていないし、妹だと紹介されない限りは恋人同士に見える。
「いや、いちいちプライベートを報告しませんよ」
ふたりのそんなやりとりを聞いていると、その男性とバッチリ目が合ってしまった。
「初めまして。和久井と同じ会社で働いている、宇田と言います」
その男性は自己紹介と共に、私に爽やかなやさしい笑みを向けてくれた。頼りがいがありそうな先輩だ。
「初めまして。夏野 舞花です」
私もあわてて名を名乗りながら頭を下げる。
「営業部の先輩で、この人が遥ちゃんの彼氏」
後ろの言葉は私にだけ聞こえるように、竣が小声になった。
竣が好きだったあの女性は、会社の先輩と付き合っていると聞いていたけれど……この人が彼氏なのだ。
ふたりはきっと“恋敵”だったはずなのに、仲は悪くなさそうな感じがした。
「和久井、それにしてもどこでこんな美人と出会ったんだ?」
「隠す必要はないと思うんで正直に言いますけど、彼女は大井コーポレーションの受付で働いてます」
「えぇ?!」
衝撃の発言だと言わんばかりに、宇田さんはひどく驚いた表情になった。
「お前なぁ、クライアントの社員に言い寄るなんて、なにをしてるんだよ」
宇田さんは軽く頭を抱え、小さく溜め息を吐いた。
竣が私のことで怒られたらどうしようと心配になってくる。
「あの、違うんです!」
「……え?」
「彼が言い寄ってきたのではなく、私のほうから言い寄ったんです! どうしても彼が好きで……」
私が宇田さんに必死に伝えている姿を目にし、竣が隣でアハハと笑った。
私は今、なにかおかしなことを言っただろうか。
「宇田さん、そういうことなんで」
「和久井って、そんなモテキャラだったか?」
「宇田さんよりかはイケてるんじゃないですかね」
「ほんとにお前は減らず口だな」
こんな竣は初めて見る。
宇田さんが“減らず口”と表現したけれど、本当にそうで、冗談でも会社の先輩相手にここまで言っていいのだろうかと思うくらいだ。
「ていうか、宇田さんこそ堂々と浮気していいんですか? 俺、遥ちゃんに言いつけますよ?」
竣が指摘したとおり、宇田さんは今日はひとりではなく、後ろに綺麗な女性が控えめに立っていた。
「バカ! これは違うんだよ!」
宇田さんを紹介される前までは、付き合っている恋人かな?と私も思っていたが、別に恋人がいるのならその女性は誰なのだろう?
「デート現場を押さえられて、違うもなにもないでしょう。現行犯ですよ。宇田さんが簡単に裏切る人だとは知りませんでした」
「勘違いするなよ」
竣にあおられたからか、宇田さんが焦った様子で弁解しようとしているのが伝わってきた。
「これ、俺の妹!」
「えぇ! 妹さん?」
竣が驚きの声を上げると同時に、宇田さんの後ろから妹さんがペコリと頭を下げた。
「こんな綺麗な人と歩いてるから、俺はてっきり遥ちゃんに隠れてデートかと……」
「そんなわけないだろうが!」
どうやら宇田さんは妹さんとお祭りに来ていたらしい。
だけど顔はまったく似ていないし、妹だと紹介されない限りは恋人同士に見える。
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