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supplementary tuition番外編
倦怠期ってなんですか?1
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あの日、二人にしか分からない合図はくすぐったい優越感を孕み、甘い衝動を芽吹かせた。
何気ない瞬間に交わすキスが増え、身体を寄せ合う時間も増えたはずが、夢月は未だ夫を名前で呼べずにいる。
…………それとなく、自然に。
「はい、有都くん」って言おう…………
よし、いけるっ
サラダを取り分けながら夢月は頭の中でそれを繰り返す。
「はい、あ…………」
取り分けた皿を差し出しながら、いざ有都と目が合うと声が詰まった。
「あ?」
「あ、ある……………………あるかな、ドレッシング」
不思議そうに皿を受け取る有都に、夢月は取り繕うように微笑んだ。
「ある、ある、ドレッシング」
ふっ、と笑みを零す有都はそれに気付いているようで、夢月は顔を赤らめ俯いた。
不思議なくらいに名前で呼ぶことが恥ずかしい。
何度か試みて、何度も挫折してしまっている。
そして有都はそれに気付いていて楽しんでいる節がある。
名前で呼んで欲しいとは急かされないのは助かるのだけれど、揶揄われている気もしたりする。
それに、有都は急にキス以上の事をしなくなり、夜中にベットにいないことも増えた。
妊娠中、安定期前ではあるし控える時期ではあるし、受験勉強もあるのだから当然の事かもしれない。
それでも、名前で呼べない負い目があるからか、夜中にふと目が覚め有都がいないと不安になる。
勉強をしているのだと思う様にして、深く考え込まないようにしていた自分がいた。
見過ごす方が良いこともある。
だけれど今回は、ふとリビングから漏れてくるドアの隙間の灯りに気づき、夢月は違和感を抱いた。
自室での勉強なら、今までリビングの灯りは付けていない。
時計の針は夜更の3時を指している。
夢月はそっとベットから降りてリビングへのドアを開けた。
煌々と灯りが点るリビングは静まり返り、一見しただけでは有都の姿は見当たらない。
やはり自室で勉強だろうかと、リビングへ足を踏み入れた時に、ソファからはみ出ている足に気付いた。
近寄り覗き込むとスヤスヤと寝息を立てる有都がいる。
手元にもテーブルの上にも参考書やノートは見当たらず、勉強しながら寝入ってしまったようには見えない。
クッションを枕にブランケットを軽くかけているところを見ても、ここで眠るつもりでいたらしい。
一緒にベットに入ったはずなのに、なぜ…………
見てはいけない、知ってはいけないことを知ってしまったようで、夢月はそのまま足音を忍ばせて寝室へと戻る。
…………え?なんで?一緒に寝たくない?
何気ない瞬間に交わすキスが増え、身体を寄せ合う時間も増えたはずが、夢月は未だ夫を名前で呼べずにいる。
…………それとなく、自然に。
「はい、有都くん」って言おう…………
よし、いけるっ
サラダを取り分けながら夢月は頭の中でそれを繰り返す。
「はい、あ…………」
取り分けた皿を差し出しながら、いざ有都と目が合うと声が詰まった。
「あ?」
「あ、ある……………………あるかな、ドレッシング」
不思議そうに皿を受け取る有都に、夢月は取り繕うように微笑んだ。
「ある、ある、ドレッシング」
ふっ、と笑みを零す有都はそれに気付いているようで、夢月は顔を赤らめ俯いた。
不思議なくらいに名前で呼ぶことが恥ずかしい。
何度か試みて、何度も挫折してしまっている。
そして有都はそれに気付いていて楽しんでいる節がある。
名前で呼んで欲しいとは急かされないのは助かるのだけれど、揶揄われている気もしたりする。
それに、有都は急にキス以上の事をしなくなり、夜中にベットにいないことも増えた。
妊娠中、安定期前ではあるし控える時期ではあるし、受験勉強もあるのだから当然の事かもしれない。
それでも、名前で呼べない負い目があるからか、夜中にふと目が覚め有都がいないと不安になる。
勉強をしているのだと思う様にして、深く考え込まないようにしていた自分がいた。
見過ごす方が良いこともある。
だけれど今回は、ふとリビングから漏れてくるドアの隙間の灯りに気づき、夢月は違和感を抱いた。
自室での勉強なら、今までリビングの灯りは付けていない。
時計の針は夜更の3時を指している。
夢月はそっとベットから降りてリビングへのドアを開けた。
煌々と灯りが点るリビングは静まり返り、一見しただけでは有都の姿は見当たらない。
やはり自室で勉強だろうかと、リビングへ足を踏み入れた時に、ソファからはみ出ている足に気付いた。
近寄り覗き込むとスヤスヤと寝息を立てる有都がいる。
手元にもテーブルの上にも参考書やノートは見当たらず、勉強しながら寝入ってしまったようには見えない。
クッションを枕にブランケットを軽くかけているところを見ても、ここで眠るつもりでいたらしい。
一緒にベットに入ったはずなのに、なぜ…………
見てはいけない、知ってはいけないことを知ってしまったようで、夢月はそのまま足音を忍ばせて寝室へと戻る。
…………え?なんで?一緒に寝たくない?
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