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supplementary tuition番外編
嫁が可愛すぎる件について1
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運命的に再会を果たした想い人は、教師となり、自分を忘れていた。
言葉を交わしても、目が合っても、名前を目にしても、彼女は思い出す気配すらない。
確かにあの頃と苗字は違う、有都と言う名に覚えがないのかもしれないが、顔を見て気づかないのはどう言う事なのか。
分かっていて気づかないフリをしているのか…………
完全に忘れ去っているのか。
どちらにしても、かなり腹が立つ。
入学してしばらくは腹立ち紛れに授業は不貞寝、態度も冷たく当たっていたが、結局それは無駄な足掻きだった。
忘れられない。
彼女への想いは消えない。
転校を余儀なくされ、また離されてしまうのだと思った時に、自分の気持ちが良く分かった。
思い知った。
熱狂的で貪欲な自分の恋情と、失う事を怖れる臆病さを。
──── それが、こんな日が来るとは。
冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出しながら有都はキッチンに立つ夢月を眺めた。
「もうちょっとで終わるから」
有都の視線に気づき夢月が笑いかけてくる。
長年想い続けた相手が、エプロン姿で当たり前のように食器を洗う光景に今更ながら有都は見惚れてしまう。
エプロン姿の威力、半端ねー…………
元々同棲していたようなもので、一緒に暮らす事に何の戸惑いもなかったが、唯一変わった事と言えば、夢月が家事全般を引き受けていることだ。
仕事をしていないから当たり前だと役割を求めてきた夢月に頷きはしたが、全て任せる事にどうしても慣れない。
そして何度目にしても、エプロン姿は見慣れない。
「…………真崎くん?」
未だに苗字呼びの不器用さも愛らしくて仕方ない。
有都は吸い寄せられるように夢月に身体を寄せると、背後からその身体に手を回す。
母体の神秘とは良く言ったもので、この細い身体の中で人間一人育っているなどと、不思議でならない。
しかも、オレの子なんだよな。
ずっしりとのしかかる責任感に反した、くすぐったい幸福感が胸に広がる。
妊娠16週、触れると少し膨らんだ様に思える夢月の下腹部と、以前よりも垣間見えるようになった膨よかな谷間が体格の変化を分からせる。
腰付きも僅かに丸みを帯びたようだ。
「夢月、一緒にお風呂はいろーか」
「…………え?!それは、イヤ」
狼狽ながら夢月が首を振る。
「一緒に入るだけ、ヤラシイ事しないって」
「言い方がもうヤラシイもん」
「満遍なく触るだけ」
「充分ヤラシイじゃない」
夢月の耳朶が目の前で真っ赤に染まり、有都は思わず唇を寄せた。
「 ──── っひゃ」
噛み付くと夢月の肩がびくりと跳ねる。
愛らしくて堪らない。
全て食い尽くしたくなる衝動に呑み込まれそうになる。
手に入れても尚、欲しくて欲しくて堪らない女。
夢月が水を止め腕の中で振り返る。
恥じらうように上目遣いに見上げてくる瞳に有都は微笑みかけた。
「どうしたの?急に…………」
「急にじゃねーし。夢月があんな可愛い質問するから、我慢の限界がきただけ」
「可愛い質問??」
「夜の夫婦生活しても大丈夫ですか?」
夢月が目を見開き、瞬時に顔を真っ赤に染める。
パクパクと何か言いたげに口を開くが、声が出てこない。
「夜の夫婦生活だなんて言い方、可愛いすぎ」
あはは、と笑い有都は夢月の額に額を合わせた。
熱を持った額の下で動揺した夢月の視線が激しく泳ぐ。
きっと医者に質問した時もこんな顔をしていたのだろう。
そう思うと、抱き潰したいくらいに気持ちが昂ぶる。
言葉を交わしても、目が合っても、名前を目にしても、彼女は思い出す気配すらない。
確かにあの頃と苗字は違う、有都と言う名に覚えがないのかもしれないが、顔を見て気づかないのはどう言う事なのか。
分かっていて気づかないフリをしているのか…………
完全に忘れ去っているのか。
どちらにしても、かなり腹が立つ。
入学してしばらくは腹立ち紛れに授業は不貞寝、態度も冷たく当たっていたが、結局それは無駄な足掻きだった。
忘れられない。
彼女への想いは消えない。
転校を余儀なくされ、また離されてしまうのだと思った時に、自分の気持ちが良く分かった。
思い知った。
熱狂的で貪欲な自分の恋情と、失う事を怖れる臆病さを。
──── それが、こんな日が来るとは。
冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出しながら有都はキッチンに立つ夢月を眺めた。
「もうちょっとで終わるから」
有都の視線に気づき夢月が笑いかけてくる。
長年想い続けた相手が、エプロン姿で当たり前のように食器を洗う光景に今更ながら有都は見惚れてしまう。
エプロン姿の威力、半端ねー…………
元々同棲していたようなもので、一緒に暮らす事に何の戸惑いもなかったが、唯一変わった事と言えば、夢月が家事全般を引き受けていることだ。
仕事をしていないから当たり前だと役割を求めてきた夢月に頷きはしたが、全て任せる事にどうしても慣れない。
そして何度目にしても、エプロン姿は見慣れない。
「…………真崎くん?」
未だに苗字呼びの不器用さも愛らしくて仕方ない。
有都は吸い寄せられるように夢月に身体を寄せると、背後からその身体に手を回す。
母体の神秘とは良く言ったもので、この細い身体の中で人間一人育っているなどと、不思議でならない。
しかも、オレの子なんだよな。
ずっしりとのしかかる責任感に反した、くすぐったい幸福感が胸に広がる。
妊娠16週、触れると少し膨らんだ様に思える夢月の下腹部と、以前よりも垣間見えるようになった膨よかな谷間が体格の変化を分からせる。
腰付きも僅かに丸みを帯びたようだ。
「夢月、一緒にお風呂はいろーか」
「…………え?!それは、イヤ」
狼狽ながら夢月が首を振る。
「一緒に入るだけ、ヤラシイ事しないって」
「言い方がもうヤラシイもん」
「満遍なく触るだけ」
「充分ヤラシイじゃない」
夢月の耳朶が目の前で真っ赤に染まり、有都は思わず唇を寄せた。
「 ──── っひゃ」
噛み付くと夢月の肩がびくりと跳ねる。
愛らしくて堪らない。
全て食い尽くしたくなる衝動に呑み込まれそうになる。
手に入れても尚、欲しくて欲しくて堪らない女。
夢月が水を止め腕の中で振り返る。
恥じらうように上目遣いに見上げてくる瞳に有都は微笑みかけた。
「どうしたの?急に…………」
「急にじゃねーし。夢月があんな可愛い質問するから、我慢の限界がきただけ」
「可愛い質問??」
「夜の夫婦生活しても大丈夫ですか?」
夢月が目を見開き、瞬時に顔を真っ赤に染める。
パクパクと何か言いたげに口を開くが、声が出てこない。
「夜の夫婦生活だなんて言い方、可愛いすぎ」
あはは、と笑い有都は夢月の額に額を合わせた。
熱を持った額の下で動揺した夢月の視線が激しく泳ぐ。
きっと医者に質問した時もこんな顔をしていたのだろう。
そう思うと、抱き潰したいくらいに気持ちが昂ぶる。
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