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supplementary tuition番外編
追憶の彼女 04
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好きな相手と両思いにれる確率は400分の1、だと言う。
恋が実らずに終わってしまう人は70%程度、数値化すると気が遠くなるような値だ。
初恋となると更にその値は下がるのだろう。
憧れで、理想で、高嶺の花、それを手に入れる幸運は誰しもにあるわけではない。
漸く手に入れた奇跡なのだ ──────
得体の知れない疲労感を背負い有都は玄関を開ける。
その音に気づいたのか、直ぐにリビングの扉が開いた。
「おかえりなさい」
弾けるような声が先に聞こえ、小走りに廊下に出てくる姿にホッとする。
姿を見る度に、胸の底から安堵がこみ上げ心を満たす様な幸福感を感じる。
「ただいま…………」
「疲れてる?何かあった?」
夢月の目敏さに有都は靴を脱ぎながら返事を迷う。
隠すつもりはないし、話すべきではあるが、どう伝えようか…………
夢月の事だから二つ返信なんだろーけどな。
じっと見詰めると彼女の大きな瞳にはすでに許容する優しさが見え、有都の気持ちを解くように夢月は小首を傾げ微笑みかけてくる。
有都は吸い寄せられるように夢月の身体を抱き寄せ、温もりを確かめると深く長い息を吐いた。
ふっくらと少し膨らんだ夢月の下腹部があたり、背に手が回される。
「…………真崎くん?」
気遣わしげに囁く声に有都はその顔を見下ろした。
「学院祭の準備始まったって言ったろ?」
「うん、聞いてるよ」
「買い出しに出て春香に会った」
一瞬僅かに夢月の目が揺らぐ。
そんな目をさせてしまう過去の失敗が悔やまれて仕方がない。もうどんな弁明を重ねても、犯した事実は変わらないのだから。
「…………春香さん、元気にしてた?」
言葉を探しながら夢月は気にしない素振りを見せようとする。
「元気でウザかった」
「そっか、良かった」
くすくすと笑い夢月が有都の胸に頬を寄せた。
背中に回された夢月の手がぎゅっとシャツを握り、有都は切なさを覚える。
夢月が嫌悪するのは春香自身ではない。
一度とは言え、自分が春香を抱いた事実だ。
明から様に責めはしないが、忘れもしない。
「佐竹が春香に一目惚れらしい」
「なに、それっ」
ガバッと夢月が顔を上げ、好奇に瞳を輝かす。
「仲を取り持てって、必死過ぎ…………」
「春香さんは?どんな反応だったの?」
「あー、それがさ」
正直、春香の反応は予想外だった。
佐竹の申し出を迷う事なく断るだろうと有都は思っていた。
「デートするって、条件付きで」
「佐竹くん、意外とやるのね!」
自分の事のように嬉しそうに頬を緩める夢月の鼻先を、有都は指差した。
「夢月同伴で」
「………………………………え?」
夢月の表情が分かりやすく強張る。
同伴デートと言えば、嫌な思い出が蘇るのだろう。
なぜか蓮も加わりWデートとなった上に、あれが元で夢月が蓮の婚約者だと偽る羽目になった。
「なんで私なんだろ?」
「蓮と同じ発想だろーな。もれなくオレがついてくる…………ったく、どいつもこいつも夢月をエサ扱いしやがって」
「私、エサなんだね…………」
夢月がくすくすと笑い声を漏らす。
「真崎くん、釣れちゃうの?」
笑い方は以前と変わらない。
炎越しに見た笑顔だ。
思えばあの時、誰といて、誰に笑いかけていたのだろうか。教員か、生徒か……………………
今更ながら、彼女しか見ていなかった事に気づく。
それぐらい焦がれていた。
「夢月がエサなら簡単に釣れる」
有都は柔らかく弧を描く唇に口付ける。
遠く手の届かない女はもういない。
身も心も手に入れた。
なのに、あのキスから燻る様な不安がどうしても拭えない。
あの頃の彼女ばかり過るのは、きっとそのせいだ。
恋が実らずに終わってしまう人は70%程度、数値化すると気が遠くなるような値だ。
初恋となると更にその値は下がるのだろう。
憧れで、理想で、高嶺の花、それを手に入れる幸運は誰しもにあるわけではない。
漸く手に入れた奇跡なのだ ──────
得体の知れない疲労感を背負い有都は玄関を開ける。
その音に気づいたのか、直ぐにリビングの扉が開いた。
「おかえりなさい」
弾けるような声が先に聞こえ、小走りに廊下に出てくる姿にホッとする。
姿を見る度に、胸の底から安堵がこみ上げ心を満たす様な幸福感を感じる。
「ただいま…………」
「疲れてる?何かあった?」
夢月の目敏さに有都は靴を脱ぎながら返事を迷う。
隠すつもりはないし、話すべきではあるが、どう伝えようか…………
夢月の事だから二つ返信なんだろーけどな。
じっと見詰めると彼女の大きな瞳にはすでに許容する優しさが見え、有都の気持ちを解くように夢月は小首を傾げ微笑みかけてくる。
有都は吸い寄せられるように夢月の身体を抱き寄せ、温もりを確かめると深く長い息を吐いた。
ふっくらと少し膨らんだ夢月の下腹部があたり、背に手が回される。
「…………真崎くん?」
気遣わしげに囁く声に有都はその顔を見下ろした。
「学院祭の準備始まったって言ったろ?」
「うん、聞いてるよ」
「買い出しに出て春香に会った」
一瞬僅かに夢月の目が揺らぐ。
そんな目をさせてしまう過去の失敗が悔やまれて仕方がない。もうどんな弁明を重ねても、犯した事実は変わらないのだから。
「…………春香さん、元気にしてた?」
言葉を探しながら夢月は気にしない素振りを見せようとする。
「元気でウザかった」
「そっか、良かった」
くすくすと笑い夢月が有都の胸に頬を寄せた。
背中に回された夢月の手がぎゅっとシャツを握り、有都は切なさを覚える。
夢月が嫌悪するのは春香自身ではない。
一度とは言え、自分が春香を抱いた事実だ。
明から様に責めはしないが、忘れもしない。
「佐竹が春香に一目惚れらしい」
「なに、それっ」
ガバッと夢月が顔を上げ、好奇に瞳を輝かす。
「仲を取り持てって、必死過ぎ…………」
「春香さんは?どんな反応だったの?」
「あー、それがさ」
正直、春香の反応は予想外だった。
佐竹の申し出を迷う事なく断るだろうと有都は思っていた。
「デートするって、条件付きで」
「佐竹くん、意外とやるのね!」
自分の事のように嬉しそうに頬を緩める夢月の鼻先を、有都は指差した。
「夢月同伴で」
「………………………………え?」
夢月の表情が分かりやすく強張る。
同伴デートと言えば、嫌な思い出が蘇るのだろう。
なぜか蓮も加わりWデートとなった上に、あれが元で夢月が蓮の婚約者だと偽る羽目になった。
「なんで私なんだろ?」
「蓮と同じ発想だろーな。もれなくオレがついてくる…………ったく、どいつもこいつも夢月をエサ扱いしやがって」
「私、エサなんだね…………」
夢月がくすくすと笑い声を漏らす。
「真崎くん、釣れちゃうの?」
笑い方は以前と変わらない。
炎越しに見た笑顔だ。
思えばあの時、誰といて、誰に笑いかけていたのだろうか。教員か、生徒か……………………
今更ながら、彼女しか見ていなかった事に気づく。
それぐらい焦がれていた。
「夢月がエサなら簡単に釣れる」
有都は柔らかく弧を描く唇に口付ける。
遠く手の届かない女はもういない。
身も心も手に入れた。
なのに、あのキスから燻る様な不安がどうしても拭えない。
あの頃の彼女ばかり過るのは、きっとそのせいだ。
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