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supplementary tuition番外編
初恋ほど無意識なものはない 08
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「もー、ペアシートだからってイチャつき過ぎっ!いー大人が止めてくれます?」
有都のお膳立てで春香と二人っきりになったものの、開口一番痛いところを突かれた。
大きなモールの中にあるゲームセンターで、春香はUFOキャッチャーの前に立つ。
「…………も、申し訳ない」
「で、確かめたい事って何?」
俯く夢月を一瞥し、春香は世間話でも始めるかのように本題を振ってきた。確かめたい事があるから、と春香に声をかけただけに警戒されていると思っていた夢月は、拍子抜ける。
「あ、うん。春香ちゃんは真崎くんの事、もう吹っ切れてるのかな?って」
それだけに聞き難いと思っていたことがするりと口を吐いて出た。
コインを投入しながら春香が白けたような目を夢月に向ける。
「そんなワケないじゃん。初恋だよ?有くんと一緒、初恋拗らせて年期入ってんの」
「…………だよね」
初恋の威力は凄い。
身を以て知るだけに夢月は相槌を打つしかできず、動くクレーンを見詰めた。
馬鹿な質問をした。
春香が有都に未練があることなど、確認しなくても分かっていたのだ。
尋ね方を間違えてしまった事に夢月は自省する。
確かめたいのは、そこではない。
春香の気持ちを汲めばもっと違う聞き方があったのかもしれない。
だけれど、それをダイレクトに尋ねてしまうのは気が引けて、一番の核心をついてしまった。
黙り込んだ夢月の顔を見て春香が手を止める。
「けどね、諦めはついてるよ」
「……………………え?」
あっけらかんと春香が笑う。
「もームリって知ってる。ちゃんと分かってるよ。だから、イイ出会いあったら乗っかるつもり」
前向きな春香の笑顔は吸い込まれるように眩しくて、夢月はつられて口元に笑みを浮かべていた。
「……………………そうなんだ」
「うん、だから心配ご無用」
春香は夢月からクレーンへと目線を戻す。
いつもこうして友達と話をしているのだろうか、手元を動かしながらも春香は言葉を選んでいるように見える。
「夢月さんさー、ほんとに有くんが初恋?なワケないか」
「多分、初恋だよ」
「うっそ、その歳まで恋してこなかったの?!ありえないでしょっ!」
「ほんとにねぇ。だから大混乱だったよ。自分が自分じゃないみたいな、どうしていいのか、どうしたいのかも分からなくて、いつも戸惑ってた」
「あっ、分かるソレ!なんかに乗り移られたみたいに無我夢中だし、抑えられなくなんの」
トドメの一撃のように春香が押したボタンで、吊り上げられたぬいぐるみがガコンと音を立てて落ちた。
取り出し口からぬいぐるみを取り出した春香がニヤリと笑う。
「見てっ、この目、有くんにクリソツ!!」
そう言うと、春香は胸にひと抱えの大きなぬいぐるみの前脚を掴んだ。
「夢月に手を出すヤツはただじゃおかんぞっ、だにゃー!」
にゃーと聞いて良く見れば細やかながら耳がある。
目を釣り上げた不機嫌モードの猫のぬいぐるみだ。
春香が有都の真似をした事に気付くとじわじわと笑いがこみ上げ、夢月は思わず笑い声を上げていた。
「やだ、なんかおかしいっ」
「そっくりだから笑えるんだねー、ハイコレあげる」
春香に押し付けるように渡され、夢月はそれを胸に抱える。
「ありがと…………」
意外なくらいに柔らかい感触に頬が緩んだ。
思い返せば、ゲームセンターは自分は高校生の時に立ち寄った事がない場所だ。
手に入る確証のないものにお金を使う心の余裕がなかったのだ。何が楽しいのだろうかと、冷めた目で一線を置く場所だった。
恋の話も聞くばかりで、した事はない。
それが今にもなって歳の離れた春香と、こんなところで恋の話をしている。
酷く場違いに思えていたゲームセンターに、自分が馴染んでいるような錯覚を覚えていた。
有都のお膳立てで春香と二人っきりになったものの、開口一番痛いところを突かれた。
大きなモールの中にあるゲームセンターで、春香はUFOキャッチャーの前に立つ。
「…………も、申し訳ない」
「で、確かめたい事って何?」
俯く夢月を一瞥し、春香は世間話でも始めるかのように本題を振ってきた。確かめたい事があるから、と春香に声をかけただけに警戒されていると思っていた夢月は、拍子抜ける。
「あ、うん。春香ちゃんは真崎くんの事、もう吹っ切れてるのかな?って」
それだけに聞き難いと思っていたことがするりと口を吐いて出た。
コインを投入しながら春香が白けたような目を夢月に向ける。
「そんなワケないじゃん。初恋だよ?有くんと一緒、初恋拗らせて年期入ってんの」
「…………だよね」
初恋の威力は凄い。
身を以て知るだけに夢月は相槌を打つしかできず、動くクレーンを見詰めた。
馬鹿な質問をした。
春香が有都に未練があることなど、確認しなくても分かっていたのだ。
尋ね方を間違えてしまった事に夢月は自省する。
確かめたいのは、そこではない。
春香の気持ちを汲めばもっと違う聞き方があったのかもしれない。
だけれど、それをダイレクトに尋ねてしまうのは気が引けて、一番の核心をついてしまった。
黙り込んだ夢月の顔を見て春香が手を止める。
「けどね、諦めはついてるよ」
「……………………え?」
あっけらかんと春香が笑う。
「もームリって知ってる。ちゃんと分かってるよ。だから、イイ出会いあったら乗っかるつもり」
前向きな春香の笑顔は吸い込まれるように眩しくて、夢月はつられて口元に笑みを浮かべていた。
「……………………そうなんだ」
「うん、だから心配ご無用」
春香は夢月からクレーンへと目線を戻す。
いつもこうして友達と話をしているのだろうか、手元を動かしながらも春香は言葉を選んでいるように見える。
「夢月さんさー、ほんとに有くんが初恋?なワケないか」
「多分、初恋だよ」
「うっそ、その歳まで恋してこなかったの?!ありえないでしょっ!」
「ほんとにねぇ。だから大混乱だったよ。自分が自分じゃないみたいな、どうしていいのか、どうしたいのかも分からなくて、いつも戸惑ってた」
「あっ、分かるソレ!なんかに乗り移られたみたいに無我夢中だし、抑えられなくなんの」
トドメの一撃のように春香が押したボタンで、吊り上げられたぬいぐるみがガコンと音を立てて落ちた。
取り出し口からぬいぐるみを取り出した春香がニヤリと笑う。
「見てっ、この目、有くんにクリソツ!!」
そう言うと、春香は胸にひと抱えの大きなぬいぐるみの前脚を掴んだ。
「夢月に手を出すヤツはただじゃおかんぞっ、だにゃー!」
にゃーと聞いて良く見れば細やかながら耳がある。
目を釣り上げた不機嫌モードの猫のぬいぐるみだ。
春香が有都の真似をした事に気付くとじわじわと笑いがこみ上げ、夢月は思わず笑い声を上げていた。
「やだ、なんかおかしいっ」
「そっくりだから笑えるんだねー、ハイコレあげる」
春香に押し付けるように渡され、夢月はそれを胸に抱える。
「ありがと…………」
意外なくらいに柔らかい感触に頬が緩んだ。
思い返せば、ゲームセンターは自分は高校生の時に立ち寄った事がない場所だ。
手に入る確証のないものにお金を使う心の余裕がなかったのだ。何が楽しいのだろうかと、冷めた目で一線を置く場所だった。
恋の話も聞くばかりで、した事はない。
それが今にもなって歳の離れた春香と、こんなところで恋の話をしている。
酷く場違いに思えていたゲームセンターに、自分が馴染んでいるような錯覚を覚えていた。
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