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春
④
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さっきの出来事があった後、私は職員室へと向かった。そして、担任の先生から一通り説明を受け、質問をしたり、自分のことについて話したりした。けど、今私が女装しているということについては、話さなかった。変に引かれると困るし。気持ち悪いとか思われたくないから。当然、クラスのみんなにもバレたくない。
私は先生と共に、クラスへと案内された。しかもそこは、昊明がいるB組だった。とても複雑な気持ちになった。昊明と一緒のクラスで嬉しい。今の昊明がどうなのか気になる。そう思う反面に、女装がバレないか、バレたらどうなってしまうのかと、不安が込み上げてくる。
先生が教室の中に入る。それと同時に、ワイワイガヤガヤと盛り上がり、話していた教室の中は、静かになった。
「ちょっと廊下で待っていて下さい」
「は、はい」
そして、転校生が来たことを話す。何だか私のことを紹介する声が大きく聞こえた。ドクン、ドクンと鼓動が早くなり、大きくなる。自分の体はガッチガチに緊張し、固まっていた。女の子のように上手く歩けるのか、だんだん心配になってきた。
……大丈夫。大丈夫だ……
緊張をほぐすため、深呼吸を何回か繰り返した。すると、いくらかは落ち着き、ちょっと楽になった気がした。よし、大丈夫だ。周りなんて気にしなければ、何とかなる。後はもう自然体で、気楽に行ければ……!
「入って下さい」と私を呼ぶ声が聞こえた。同時に、ゆったりと歩き出した。そして、中を覗いてみる。ざっと見た感じ、40人くらい。なぜだか妙にざわついている。何を言っているかは正確に聞き取れないが、一部分で聞こえたところがあった。
「あの子……さっきの子じゃない……?」
「え、可愛くね?」
「すごい綺麗な人……」
そんな言葉が口々に出て、飛び交っていた。先生が「静かにー」と呼びかけると、声のボリュームが徐々に下がっていった。
「えー、今日からこのB組に転校生が来た。名前は白宵時雨だ」
そう言って、黒板に書かれてある私の偽名をチョークでトントンと叩いた。「では、軽く自己紹介を」と振ってきたので、私は頷き、顔を前に向けた。
「は……初めまして。白宵時雨です……今日からよろしくお願いしますっ……」
どんなことを言えばいいのか分からなくなり、とても短い文章で終わった。最後にお辞儀をして、頭を上げた。すると、みんなは自然と拍手をしてくれた。私は、よかったとホッと安心した気持ちになった。
「ありがとうございました。じゃあ、時雨の席は……あ、また来てないのか。……昊明」
「はい」
「その角の席、多分今日も来ないだろ?」
「多分……ですけど」
「分かった。では、とりあえず、あの角の席に座ってもらえるか?後で席、用意しておくから」
「……分かりました」
私は、日当たりがよくて、すぐ寝てしまいそうな窓側の席に座った。
「日直ー、俺ちょっと用事があるから、先にホームルーム始めといてくれな」
そして、先生はふらりと教室を出ていった。するとまた、少しガヤガヤと話し始めた。
「よっ」
隣から声がかかったので、ちらりと横を見てみた。隣には昊明がいた。少し微笑んで、「今日からよろしく」と言ってきた。私も「あぁ、うん。……よろしくね」とぼそぼそと返した。それから、気を紛らわすために、窓の外をぼんやりと見つめた。
……どうしよう。
こんなことになるとは思ってもみなかった。
あぁ、神様。どうか、昊明と隣の席で決定しないで下さい。……好きの急加速が止まりそうにないので。
私は先生と共に、クラスへと案内された。しかもそこは、昊明がいるB組だった。とても複雑な気持ちになった。昊明と一緒のクラスで嬉しい。今の昊明がどうなのか気になる。そう思う反面に、女装がバレないか、バレたらどうなってしまうのかと、不安が込み上げてくる。
先生が教室の中に入る。それと同時に、ワイワイガヤガヤと盛り上がり、話していた教室の中は、静かになった。
「ちょっと廊下で待っていて下さい」
「は、はい」
そして、転校生が来たことを話す。何だか私のことを紹介する声が大きく聞こえた。ドクン、ドクンと鼓動が早くなり、大きくなる。自分の体はガッチガチに緊張し、固まっていた。女の子のように上手く歩けるのか、だんだん心配になってきた。
……大丈夫。大丈夫だ……
緊張をほぐすため、深呼吸を何回か繰り返した。すると、いくらかは落ち着き、ちょっと楽になった気がした。よし、大丈夫だ。周りなんて気にしなければ、何とかなる。後はもう自然体で、気楽に行ければ……!
「入って下さい」と私を呼ぶ声が聞こえた。同時に、ゆったりと歩き出した。そして、中を覗いてみる。ざっと見た感じ、40人くらい。なぜだか妙にざわついている。何を言っているかは正確に聞き取れないが、一部分で聞こえたところがあった。
「あの子……さっきの子じゃない……?」
「え、可愛くね?」
「すごい綺麗な人……」
そんな言葉が口々に出て、飛び交っていた。先生が「静かにー」と呼びかけると、声のボリュームが徐々に下がっていった。
「えー、今日からこのB組に転校生が来た。名前は白宵時雨だ」
そう言って、黒板に書かれてある私の偽名をチョークでトントンと叩いた。「では、軽く自己紹介を」と振ってきたので、私は頷き、顔を前に向けた。
「は……初めまして。白宵時雨です……今日からよろしくお願いしますっ……」
どんなことを言えばいいのか分からなくなり、とても短い文章で終わった。最後にお辞儀をして、頭を上げた。すると、みんなは自然と拍手をしてくれた。私は、よかったとホッと安心した気持ちになった。
「ありがとうございました。じゃあ、時雨の席は……あ、また来てないのか。……昊明」
「はい」
「その角の席、多分今日も来ないだろ?」
「多分……ですけど」
「分かった。では、とりあえず、あの角の席に座ってもらえるか?後で席、用意しておくから」
「……分かりました」
私は、日当たりがよくて、すぐ寝てしまいそうな窓側の席に座った。
「日直ー、俺ちょっと用事があるから、先にホームルーム始めといてくれな」
そして、先生はふらりと教室を出ていった。するとまた、少しガヤガヤと話し始めた。
「よっ」
隣から声がかかったので、ちらりと横を見てみた。隣には昊明がいた。少し微笑んで、「今日からよろしく」と言ってきた。私も「あぁ、うん。……よろしくね」とぼそぼそと返した。それから、気を紛らわすために、窓の外をぼんやりと見つめた。
……どうしよう。
こんなことになるとは思ってもみなかった。
あぁ、神様。どうか、昊明と隣の席で決定しないで下さい。……好きの急加速が止まりそうにないので。
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