9 / 29
春
⑦
しおりを挟む
「いらっしゃいませー!」
私達が入ると同時に、笑顔が素敵で、声が元気な女店員さんが出てきた。
「今日は何名様でしょうか?」
「あぁ、2人で」
「かしこまりました!では、あちらの席へどうぞ」
と、私達は窓辺の席へと案内された。椅子に腰かけ、慣れた手つきで、昊明はメニュー表をパラパラとめくった。すると、「あった」と嬉しそうに指さした。普段も、こんな感じなのだろうか。
初めて出会った時は、「無口」「冷徹」「怖そう」の三拍子が揃っていた。でも、仲良くなるにつれて、そのイメージも崩れていった。普通に話したり、遊んだりしていた。その内、だんだん昊明の本性が顕になっていって、今の昊明になった。でも、私が見ない間に何か変わっているのかもしれない。
私は、じっと見つめていると、昊明は頭に?マークを浮かべ、「ん、何?」と聞いてきた。「あぁ、ううん、何でもない」と適当にはぐらかし、私はチーズケーキを頼むことにした。
チャイムを鳴らすと、さっきの店員さんが「はーい」と明るく高い声を出して、こっちに駆け寄ってきた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「えーっと……このプリンとコーヒーと……後はチーズケーキをお願いします」
「かしこまりました!ご注文は、プリン、コーヒー、チーズケーキでよろしいでしょうか」
「はい」
「では、少々お待ちください」
とキラキラと輝く笑顔とともに、ぺこりとお辞儀をしてから、店員さんは厨房へ駆けて行った。今さら思ったが、外見や中と、どちらも綺麗で清潔感があるカフェだなと思った。そして、おしゃれでレトロチックな雰囲気がある。そんなに人は混んでいなかった。
……結構好きかも。また、時間あったら昊明と一緒に……って、私、さっきから昊明のことしか考えてない……!?……そうだ、景瑠高校に来てから、全然周りの人と話せてなかった。そもそも、自分から話しかけにいくのが怖かった。勇気がなくて、引っ込み思案だから、隣の昊明としか話せてなかった。
あぁ、明日はどうしようか、とぼんやりと悩んでいると、「お待たせいたしましたー」と今度は別の店員さんがやってきた。
「プリンと、コーヒーと……チーズケーキでございます。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「はい」
「では、ごゆっくりどうぞー」
とお辞儀をし、別のお客さんのところへ行った。
「やっと来たー!美味しいんだよなぁ~……」
「そうなんだ」
「うんうん……あぁ、時雨も食べてみる?」
「……え?いいの?」
「うん。じゃ、口開けて?食べさせてあげるからさ」
「……うん!?」
昊明はプリンを1口分すくった。そして、私の方に突きつけてくる。幸い、まだ食べていなかった。……ん?どっちにしろこれって……関節キスになるのでは!?しかも、あーんって……いや、絶対正体バレてるでしょ。私があなたの幼なじみだって……
私は恐る恐るそのプリンに近づき、小さく口を開けた。すると、「はい」というちょっぴり甘い声と同時に、プリンが口の中へ運ばれた。口の中に甘いバニラエッセンスの香りと、ほろ苦いカラメルソースが残る。
「……ん!美味しい!」
とは言ったものの、周りの冷ややかな視線が少し気になった。いや、気にしすぎなのかもしれない。けど、何か怖かった。でも、ともかく人前でよく頑張ったぞ、私。
いやそれより、本当にこのプリン美味しい。今まで食べてきた中でもダントツで1番だ。
「このプリン美味しいね」ともう一度言うと、昊明は「だろぉ?」と自信に満ち溢れた満足気な顔をした。自分で作ったわけじゃないのにな、そう思いながらも、私は少し微笑ましく思った。
「……あ、なぁなぁそのチーズケーキ食べさせてよ、あ」
そう言うと、軽く口を開けて私の「あーん」を待機していた。
……もう、これ本当のカレカノじゃん。あぁ、これが素の姿だったらなぁー……
私は、あーぁと心の中で、後悔と悲しみの混じったため息を吐いた。そして、渋々1口分のチーズケーキを取り、昊明に食べさせた。
「ん、上手い」と口角を上げ、ふふっと綻んだ。綻んだ顔を見ると、何だか気持ちが和らいでいくような気がした。さっきの気持ちも全部流されていく。
……今日で、一気に距離が縮まったなぁ~……初日でこうなるとは……
この後どうなるんだろうかと、ぼやっと考えながら、私は残りのチーズケーキを頬張った。
私達が入ると同時に、笑顔が素敵で、声が元気な女店員さんが出てきた。
「今日は何名様でしょうか?」
「あぁ、2人で」
「かしこまりました!では、あちらの席へどうぞ」
と、私達は窓辺の席へと案内された。椅子に腰かけ、慣れた手つきで、昊明はメニュー表をパラパラとめくった。すると、「あった」と嬉しそうに指さした。普段も、こんな感じなのだろうか。
初めて出会った時は、「無口」「冷徹」「怖そう」の三拍子が揃っていた。でも、仲良くなるにつれて、そのイメージも崩れていった。普通に話したり、遊んだりしていた。その内、だんだん昊明の本性が顕になっていって、今の昊明になった。でも、私が見ない間に何か変わっているのかもしれない。
私は、じっと見つめていると、昊明は頭に?マークを浮かべ、「ん、何?」と聞いてきた。「あぁ、ううん、何でもない」と適当にはぐらかし、私はチーズケーキを頼むことにした。
チャイムを鳴らすと、さっきの店員さんが「はーい」と明るく高い声を出して、こっちに駆け寄ってきた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「えーっと……このプリンとコーヒーと……後はチーズケーキをお願いします」
「かしこまりました!ご注文は、プリン、コーヒー、チーズケーキでよろしいでしょうか」
「はい」
「では、少々お待ちください」
とキラキラと輝く笑顔とともに、ぺこりとお辞儀をしてから、店員さんは厨房へ駆けて行った。今さら思ったが、外見や中と、どちらも綺麗で清潔感があるカフェだなと思った。そして、おしゃれでレトロチックな雰囲気がある。そんなに人は混んでいなかった。
……結構好きかも。また、時間あったら昊明と一緒に……って、私、さっきから昊明のことしか考えてない……!?……そうだ、景瑠高校に来てから、全然周りの人と話せてなかった。そもそも、自分から話しかけにいくのが怖かった。勇気がなくて、引っ込み思案だから、隣の昊明としか話せてなかった。
あぁ、明日はどうしようか、とぼんやりと悩んでいると、「お待たせいたしましたー」と今度は別の店員さんがやってきた。
「プリンと、コーヒーと……チーズケーキでございます。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「はい」
「では、ごゆっくりどうぞー」
とお辞儀をし、別のお客さんのところへ行った。
「やっと来たー!美味しいんだよなぁ~……」
「そうなんだ」
「うんうん……あぁ、時雨も食べてみる?」
「……え?いいの?」
「うん。じゃ、口開けて?食べさせてあげるからさ」
「……うん!?」
昊明はプリンを1口分すくった。そして、私の方に突きつけてくる。幸い、まだ食べていなかった。……ん?どっちにしろこれって……関節キスになるのでは!?しかも、あーんって……いや、絶対正体バレてるでしょ。私があなたの幼なじみだって……
私は恐る恐るそのプリンに近づき、小さく口を開けた。すると、「はい」というちょっぴり甘い声と同時に、プリンが口の中へ運ばれた。口の中に甘いバニラエッセンスの香りと、ほろ苦いカラメルソースが残る。
「……ん!美味しい!」
とは言ったものの、周りの冷ややかな視線が少し気になった。いや、気にしすぎなのかもしれない。けど、何か怖かった。でも、ともかく人前でよく頑張ったぞ、私。
いやそれより、本当にこのプリン美味しい。今まで食べてきた中でもダントツで1番だ。
「このプリン美味しいね」ともう一度言うと、昊明は「だろぉ?」と自信に満ち溢れた満足気な顔をした。自分で作ったわけじゃないのにな、そう思いながらも、私は少し微笑ましく思った。
「……あ、なぁなぁそのチーズケーキ食べさせてよ、あ」
そう言うと、軽く口を開けて私の「あーん」を待機していた。
……もう、これ本当のカレカノじゃん。あぁ、これが素の姿だったらなぁー……
私は、あーぁと心の中で、後悔と悲しみの混じったため息を吐いた。そして、渋々1口分のチーズケーキを取り、昊明に食べさせた。
「ん、上手い」と口角を上げ、ふふっと綻んだ。綻んだ顔を見ると、何だか気持ちが和らいでいくような気がした。さっきの気持ちも全部流されていく。
……今日で、一気に距離が縮まったなぁ~……初日でこうなるとは……
この後どうなるんだろうかと、ぼやっと考えながら、私は残りのチーズケーキを頬張った。
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
雪色のラブレター
hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。
そばにいられればいい。
想いは口にすることなく消えるはずだった。
高校卒業まであと三か月。
幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。
そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。
そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。
翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる