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春
③
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「やば!チャイムなったんだけど!というか、何で今体育祭の組の話を……」
「ん?えっとねー、ボクさ、体育祭実行委員なんだよね♪」
「え」
――今何か、聞いちゃいけないような言葉が……
サラッと言ったよね……?ありえないワードが出てきたんだけど……気のせい?
私は事実かどうかを確かめるために、もう一度、楓羽に「もう一回」と訊ねた。すると、またしても涼しい顔で答えた。
「だから、ボクは体育祭実行委員なんだってば」
「…………はぁ!?」
有り得なかった。昊明が言っていたあの『体育祭実行委員会』の委員が今目の前にいるなんて。しかも、その一人が楓羽だったなんて。私は唖然として、あんぐりと口を開いていた。立て続けに、楓羽が言葉を続ける。
「あ、あとね、あの木の下にいる引きこもりさんも、実行委員なんだよね~?」
くるりと回転し、わざとらしく、大きな声を上げて言った。それに反応したのか、ピクッと小さく肩を揺らし、優牙はゆっくりと顔を上げた。自分の立っている位置から表情を伺う。その表情は険しく、不満で満ち溢れていた。ムスッとした顔で、楓羽を睨んでいる。
「おぉ、怖い怖い」とふざけるようにして言った後、また私の方に向き直った。
「どう?実行委員会に提案することも可能ですけど……せっかくの初で最後の景瑠での体育祭だよ……?♪」
「うーん……どうしよう、かな……」
私は、はっきりと決断せずに言葉を濁した。
白兎自身としては、嬉しい。超嬉しい。だって、大好きな人と一緒になれるのだから。絶対なりたい。でも、時雨自身としては、あまり一緒にいたくない。むしろ、距離を適度に保っているくらいの関係がちょうどいい。バレてしまった後が怖いから……
――複雑な気持ちだ。でも、本当に最終的な判断を下すのは委員会の方になるからな……自分の意思が反映されるかどうかも分からないし。一か八かで言ってみよう。
少しの沈黙の後、すぅっと軽く息を吸った。楓羽は頭を小さく傾け、微笑んでいた。「どうするのかな♪」とワクワクし、期待するように。そして、陽の光を帯びて、まるでメロンソーダのように、緑色の瞳がキラキラと透き通って見えた。もう、いっその事、私の心を見透かして欲しかった。自分の口で言うのは、恥ずかしいから……
「……一緒に、なりたい、です……なれるものなら……なりたい……!」
「……おぉーっ!よーっし!そうこなくっちゃ♪ボクらに任せてちょうだいな!♪」
楓羽は、ニカッと晴れやかな笑顔を見せた。右手で握りこぶしを作り、左手を右腕の上に乗せ、気合十分、やる気満々だ。
よし、自分の思いを伝えられたし……一件落着…………じゃ、ない。じゃないよ……!!
「ちょっと!私、授業に遅れてるじゃない!」
「ああっ!?そっか!時雨ちゃんは普通に授業あるんだぁぁぁ?!」
「兄さん…………テンパりすぎ……」
奥の方から、優牙が、ぼそりと呟く声が聞こえた。呆れたようにため息をついていた。私の真ん前で、楓羽は……うん、本当に焦ってる。「どうしよう、どうしよう……」と小声でぶつぶつ呟いていた。途中で「あーっ!」と大声を出し、むしゃくしゃに、頭を掻きむしっていた。
……本当に大丈夫なのかな……?
私は不安で胸がいっぱいになった。運動会もだが、授業についても……先生から怒られる未来が丸見えになっていた。
「ん?えっとねー、ボクさ、体育祭実行委員なんだよね♪」
「え」
――今何か、聞いちゃいけないような言葉が……
サラッと言ったよね……?ありえないワードが出てきたんだけど……気のせい?
私は事実かどうかを確かめるために、もう一度、楓羽に「もう一回」と訊ねた。すると、またしても涼しい顔で答えた。
「だから、ボクは体育祭実行委員なんだってば」
「…………はぁ!?」
有り得なかった。昊明が言っていたあの『体育祭実行委員会』の委員が今目の前にいるなんて。しかも、その一人が楓羽だったなんて。私は唖然として、あんぐりと口を開いていた。立て続けに、楓羽が言葉を続ける。
「あ、あとね、あの木の下にいる引きこもりさんも、実行委員なんだよね~?」
くるりと回転し、わざとらしく、大きな声を上げて言った。それに反応したのか、ピクッと小さく肩を揺らし、優牙はゆっくりと顔を上げた。自分の立っている位置から表情を伺う。その表情は険しく、不満で満ち溢れていた。ムスッとした顔で、楓羽を睨んでいる。
「おぉ、怖い怖い」とふざけるようにして言った後、また私の方に向き直った。
「どう?実行委員会に提案することも可能ですけど……せっかくの初で最後の景瑠での体育祭だよ……?♪」
「うーん……どうしよう、かな……」
私は、はっきりと決断せずに言葉を濁した。
白兎自身としては、嬉しい。超嬉しい。だって、大好きな人と一緒になれるのだから。絶対なりたい。でも、時雨自身としては、あまり一緒にいたくない。むしろ、距離を適度に保っているくらいの関係がちょうどいい。バレてしまった後が怖いから……
――複雑な気持ちだ。でも、本当に最終的な判断を下すのは委員会の方になるからな……自分の意思が反映されるかどうかも分からないし。一か八かで言ってみよう。
少しの沈黙の後、すぅっと軽く息を吸った。楓羽は頭を小さく傾け、微笑んでいた。「どうするのかな♪」とワクワクし、期待するように。そして、陽の光を帯びて、まるでメロンソーダのように、緑色の瞳がキラキラと透き通って見えた。もう、いっその事、私の心を見透かして欲しかった。自分の口で言うのは、恥ずかしいから……
「……一緒に、なりたい、です……なれるものなら……なりたい……!」
「……おぉーっ!よーっし!そうこなくっちゃ♪ボクらに任せてちょうだいな!♪」
楓羽は、ニカッと晴れやかな笑顔を見せた。右手で握りこぶしを作り、左手を右腕の上に乗せ、気合十分、やる気満々だ。
よし、自分の思いを伝えられたし……一件落着…………じゃ、ない。じゃないよ……!!
「ちょっと!私、授業に遅れてるじゃない!」
「ああっ!?そっか!時雨ちゃんは普通に授業あるんだぁぁぁ?!」
「兄さん…………テンパりすぎ……」
奥の方から、優牙が、ぼそりと呟く声が聞こえた。呆れたようにため息をついていた。私の真ん前で、楓羽は……うん、本当に焦ってる。「どうしよう、どうしよう……」と小声でぶつぶつ呟いていた。途中で「あーっ!」と大声を出し、むしゃくしゃに、頭を掻きむしっていた。
……本当に大丈夫なのかな……?
私は不安で胸がいっぱいになった。運動会もだが、授業についても……先生から怒られる未来が丸見えになっていた。
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