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77. 神通力と悪魔と

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「なぁ、なんでお前も神通力を使えるんだ?」

「仙人に種は関係あるまい」

そう。仙人自体は、誰にでもなれる。
言うなれば、力を扱うことさえ出来れば仙人といえるからだ。
そのため、この悪魔も既に上仙の域に達しているのはもちろんのことだ。

「強いて言えば、我は己の欲望を完全に制御するためだけに仙人になったのだ。
悪魔は、確かに欲望に忠実だ。
だが、悪魔の中でも、序列があるのはもちろんのこと。
欲望を操れる程、強くなるのだ」

「ちなみに序列ってのはどんなのが?」

「下級、中級、上級、特級…
これが、基本的な悪魔の序列だが、それはあくまで欲望を操れていない者でしかない。
そこから上に、戒位、罪位、皇位とあり、
最後に王が居る」

となると、この悪魔は…そう考えた彼が真っ先に思った序列は、王か皇位の部類だった。

「ちなみにだが、我の位は特級だ」

これで特級!?

‹悪魔王様、お仕事の時間です›

…え?いや…今、悪魔王って言った?

そこに出てきたのは、これまた別の悪魔だった。
角がなくとも、その圧は凄まじいほどの…

「ぜ、全然特級じゃねぇじゃねぇか!」

‹こちらの方は?›

「我の契約者だ」

彼…いや、彼女は物凄く驚いた顔を一瞬したあと、こちらに哀れな目を向け…「ご愁傷様です」とだけ伝え、連れ去っていった。

「なっ…なんだったんだ…はぁ…まぁいいや。さて…と…何しようかな」

うーん…特にすることないんだよなぁ…神社も、一応は完成しているし…

「そういや、神社って普通に出るのは出来ねぇのかなぁ…聞いてみるか」

そう言って彼は、また神社に飛んでいった。

「スタッ…なぁ、神た…うぇっ…酒くさっ…」

『ありぇ~?かいほうしゃしゃんどうしました~?』

「呂律が回ってねぇ…はぁ、まぁいいや。
なぁ、地球にある神社みたいにさ、外で布教とかってしねぇのか?」

『それは我が説明しよう。
確かに、そのようなことはできるのだ。寧ろ、した方がいい程だ』

…そう、説明を始めたのは樽ごと酒を飲んでいる土の神だった。

『そういった行為は、我らの神格を集めることに繋がるのでな』

「なら、すれば良いんじゃ…」

『場所がなかろうて』

確かに、日本にはもうほとんど場所がない。なんせ、日本は既に殆ど住宅街で一杯だからだ。
だが…場所さえあれば出来る。との事だった…

「なるほど、場所ねぇ…となると、不動産に行って…どっかの土地を…うん、できそうだ。
土地さえあれば作れるんだよな?」

『うむ。頼んだぞ』

そう言うと神はまた、次の樽を開けてお酒を飲み始めた。
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