13年ぶりに再会したら、元幼馴染に抱かれ、異国の王子に狙われています

雑草

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第1章 青春期

反逆の狼煙

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——ここで終わるわけにはいかない。

焼きごての痛みがまだ肌に残る。
けれど、それ以上に胸の奥に燃え盛るものがあった。

怒りでも、憎しみでもない。
それは——

生きるための執念だった。

——こんなところで、終わるわけがない。

カトリーナ・エーレンベルクは、もはや後継者ではない。
父が自らその座を奪ったのだから。

ならば、もう遠慮する理由はない。
「守る」ためではなく、「奪う」ために動く。

そう決めた瞬間、彼女の中の迷いは消えた。

私は、私の手で未来を切り開く。



地下室の石壁は冷たく、湿っていた。
暗闇の中、カトリーナは体を引きずるようにして壁際へと移動した。

このままじっとしていれば、ただ殺されるのを待つだけだ。

朦朧とする意識の中で、何とか立ち上がる。

「……鍵は……ない……けど……」

扉を無理やり開けるのは不可能だった。
しかし、長年放置されていたせいか、木製の扉の一部が劣化している。

カトリーナは、全身の力を振り絞り、肩で扉にぶつかった。

ガンッ!

何度も、何度も。

ガンッ! ガンッ!

——バキィィィンッ!

崩れ落ちた扉の一部から、外の冷たい空気が流れ込んできた。

「……やった……」

痛む体を引きずりながら、カトリーナはその隙間から這い出した。

足を踏み出した瞬間、全身が痛みに軋む。
だが、そんなことを気にしている余裕はない。

目指すは——屋敷の使用人たち。

父と母に仕えている者たちの中には、既に彼らに辟易している者も多かった。
浪費が続き、給金が滞ることもあった。
理不尽な暴力を振るわれた者もいる。

ならば、その不満を利用する。

これは、エーレンベルク家の未来を取り戻すためのクーデターだ。



「——お嬢様!?」

驚きに目を見開いたのは、屋敷の古株の執事だった。

「時間がないわ」

カトリーナは低く言った。

「今すぐ、使用人たちを集めて。ここで決めるのよ。この家を守るのか、それとも滅びるのか。」

執事は一瞬躊躇した。

けれど、その目に宿る光は、決して否定ではなかった。

——彼も、もう限界だったのだ。

「……かしこまりました」

静かに頭を下げると、執事はすぐに屋敷の中へ走っていった。

数十分後——
広間には、エーレンベルク家に仕える使用人たちが集まっていた。

皆、疲れ切った顔をしていた。
貴族に仕える誇りなど、もう彼らの中にはほとんど残っていない。
あるのは、ただ毎日を生き抜くための諦めだけ。

そんな彼らに、カトリーナは真っ直ぐに向き合った。

「このままでは、この家は滅びる」

その言葉に、使用人たちは息を呑んだ。

「父も母も、貴族の誇りにすがりながら、何も守れていない。貴族としての体裁を保つことに必死になり、財政は崩壊寸前。あなたたちの給金すら滞る状況にある」

彼らの視線が揺れる。

「あなたたちは、こんな屋敷に仕え続けたい? このまま、何の見返りもなく、貴族という名のもとに搾取され続けたい?」

誰も、声を発しなかった。

それが、答えだった。

彼らはもう、耐えられないのだ。

「私は、エーレンベルク家を変える。私が当主になる。あなたたちにきちんと報酬を支払い、家を存続させる道を作る」

沈黙が、広がる。

やがて——

「……お嬢様が、当主になられるのであれば、私はお仕えいたします」

最初に口を開いたのは、執事だった。

その一言が、流れを決定づけた。

次々と、使用人たちが頭を下げる。

「私も……!」

「お嬢様についていきます!」

——クーデターは、始まった。


まず、父を制圧した。

彼は酒に酔っていた。
寝室に押し入った使用人たちは、すぐに彼の身柄を拘束し、地下牢へと連行した。

「貴様らぁ……!」

叫ぶ父を見下ろしながら、カトリーナは冷静に告げた。

「貴族としての誇りに固執し、現実を見なかったあなたが悪いわ」

「お前……! これは反逆だぞ!!」

「いいえ、正当な奪還よ」

冷たく言い放ち、カトリーナは背を向けた。

次に、母。

「いや……いやよ……!! カトリーナ、あなた何を……!!」

必死に抵抗する母を、女使用人たちが押さえつける。

「私は……ただ、この家を守ろうと……!」

「あなたが守ったのは、見栄だけよ」

「……っ!!」

カトリーナは母を見据えた。

「あなたにはもう決定権はない。今後は、部屋から一歩も出ないことね」

「カトリーナ……! カトリーナ!!」

母の悲鳴を背に、カトリーナは静かに階段を降りていった。

そして、エーレンベルク家の広間の中央に立ち——

「これより、私がエーレンベルク家の当主となる」

その宣言が、屋敷中に響き渡った。

彼女は、とうとう奪い取ったのだ。

自分の力で、未来を。
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