13年ぶりに再会したら、元幼馴染に抱かれ、異国の王子に狙われています

雑草

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第1章 青春期

暗闇に潜む獣たち

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「エーレンベルク家に恨みを持つ連中が動いているらしい」

そんな情報を手に入れたのは、ほんの数日前だった。

カトリーナ・エーレンベルクがクーデターを起こし、家の立て直しを進めたことで、多くの者が利権を奪われ、立場を失った。
当然、彼女を憎む者も出てくる。

しかし、今回の件は単なる不満を抱いた元使用人や親族の逆恨みではない。
それなりに組織化された何者かが、エーレンベルク家の崩壊を狙って動いている。

カトリーナは即座に情報を集め、調査を進めた。
そして、彼らの拠点のひとつが歓楽街にあることを突き止めた。

「……直接、探りに行くしかないわね」

カトリーナは、自ら潜入することを決めた。

だが——

「当然、俺も行く」

何故かヴィクトル・フォン・ヴァイスハウゼンもついてくることになった。

「あんた……どうして私が潜入しようとしていることを知っていたの?」

「そんなの、決まってるだろう」

ヴィクトルは冷ややかに言い放った。

「お前が馬鹿なことをする時は、いつも妙に目つきが鋭くなる。」

「……そんなわけないでしょう」

「いいや、わかる」

ヴィクトルはため息をつくと、当然のように同行を決める。

「お前一人で潜入して、無茶をするのが目に見えている。俺がいなければ、お前は敵のど真ん中で大胆不敵に立ち回って、死ぬ寸前まで追い詰められるのがオチだ」

「……言い方が気に入らないわね」

「気に入らなくても事実だ。」

反論できないのが悔しい。

こうして、カトリーナとヴィクトルは、歓楽街に潜入することになった。

変装と潜入

歓楽街に赴くにあたり、二人は身分を偽る必要があった。

「……あんたは金持ちの客」

「ふん、それなら得意分野だ」

「私は、その客に買われた女という設定ね」

「……」

「なに?」

「いや、お前がそれを言うと妙にリアルだな」

「失礼ね」

ヴィクトルは微かに笑うと、カトリーナの肩を軽く叩いた。

「変装は完璧にしろよ。普段のままでは、どう見ても『買われる側』の雰囲気が皆無だからな。」

「……黙れ」

それでも、彼の言うことは正しい。

カトリーナは、普段のきっちりとしたドレスではなく、あえて歓楽街に馴染むような衣装を選んだ。
少し露出のある黒のドレスに、緩く巻いた髪。
派手すぎず、それでも「それらしく」見えるように工夫する。

一方のヴィクトルも、カジュアルな上着を羽織り、貴族らしい厳格な雰囲気を抑えていた。
金持ちの道楽客に見えるよう、意図的にラフな雰囲気を演出している。

二人は、歓楽街へと足を踏み入れた。



標的の男が利用するというラブホテルに到着し、カトリーナとヴィクトルは隣の部屋を確保した。

「……さて、盗聴器を仕掛けるわよ」

カトリーナは、事前に用意していた盗聴器を設置しながら、小声で言う。

「お前、こういうの手慣れてるな」

「必要なことは、学んでおくべきでしょう?」

ヴィクトルは微かに苦笑する。

「まったく、どこまで抜け目がないんだか」

二人は慎重に標的の動きを探る。

そして——

「……っ、聞こえるわ」

盗聴器越しに、男たちの声が流れてきた。

「エーレンベルク家の女……面倒なことになったな」

「あの女はもう貴族のやり方じゃない。邪魔だ。潰すしかない」

カトリーナは、静かに目を細める。

——やはり、私を消そうとしている。

しかし、次の瞬間——

「ただし、背後にはヴァイスハウゼン公爵家がついている可能性がある」

「……」

ヴィクトルが微かに笑う。

「ほう? 俺がついてる、か?」

「まあ、実際ついてるようなものよね」

「そう思っているなら、もっと俺を頼れ」

「……」

カトリーナは、微かに目を逸らす。

標的の会話は続く。

「直接手を出すのはリスクがある……誰か別の者にやらせるしかないな」

「……別の者?」

カトリーナは、眉をひそめた。

「誰かに、私を襲わせるつもり?」

「……」

ヴィクトルの表情が、僅かに険しくなる。

「これは早めに潰すべきだな」

「ええ」

二人は、互いに目を見合わせた。

暗闇に潜む獣たちの気配が、すぐそこにある。

この戦いは、まだ終わらない——。
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