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<第一話>優李side

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ピリリリッ ピリリリッ ピリリリッ ピッ

午前6時過ぎ、、、
起きないといけないか、、、
もうそろそろ長袖でもいいかもしれないな。
制服を着ながら季節が変わるのは早いと思った。

朝の空気で冷えた階段を音を立てないように降りる。

「優ちゃん、おはよう、、、」
顔を上げると、
昨日着ていた服のまま、化粧も落としてない顔で母さんがソファーに腰掛けている。

俺は、腫れ上がった目を見下ろした
「おはよう、母さん。今日もお店、遅くなり              そう?」   

「うん。ごめんね、今日は、お弁当作れなかった」

今日は?今日もだろ?
「そっか、母さんは仕事で無理してんだから俺のことは気にしないで大丈夫」

「ありがとう」

「俺、今日、日直だから早く出るわ」

「うん、気をつけて」

買っておいたパンを食べてから、身支度を最低限して家を出る。

「ゆ~う~り~!おはよっ」
うるさい奴が出た

「海斗、おはよ」

「なんだよ、冷たいな。俺の愛しの優理は元気ないのか?」

海斗は3軒隣の家に住んでいる。よく言えば、幼馴染。悪く言えば、腐れ縁の仲だ。

「別に、、、なんもねぇよ」

「おばさん、また泣いてたのか?」

こういう時の海斗は鋭いとつくづく思う

「まぁ、いつも通りだよ」

母さんは17で俺を産んだ。

父さんが誰かは分からない。
いや、正しくは小さい頃に一度父親のことを聞いた時、母さんが今にも泣き出しそうな顔をしたから、幼いなりに何か事情があるのを感じてそれ以来、父親について聞けずにいる

「、、、り、、、、うり、、、優李‼︎」

「!!なんだよ急に、、、」

「急にじゃねえよ。バス停、過ぎてっぞ」

「おう、わりーわりー」

バスに乗ってしばらく経つと

「なぁ優李、そういえばさぁ、」

「?」

「この前あった、幼女連続誘拐事件」

「ああ、解決したらしいな」

「おん。でもあれ、不思議だよなぁ」

「ん?」

「だって、誘拐した子供を返すだけじゃなくてさ、自分の貯金まで配って回ったんだぜ
おかしいだろ~」

「ま、そういう事する奴は頭がおかしいってことなんじゃねぇの?」

「確かになぁ」

            ~次は、白南風高校前~

「ほら、降りるぞ。海斗」

「はいよ~」

起きた時より、ずっと暖かくて俺は長袖を着てきたことを後悔した。
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