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<第二話>優李side

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学校に着くと、部活の朝練を行っている生徒達が校庭に数人いた。

「そういや、今日からじゃなかったっけ?」

「何かあったか?」
 
「優李、先生の話聞いてなかったのかよ。
入学した時に、親御さんの仕事の都合と
かで、2人ぐらい9月に遅れてくるって言っ てただろ~」

言っていたような気がする

「でも、なんで今日からって分かるんだよ」

「それも昨日、言ってました~」

いつもは立場が逆なだけに俺はイラっとした

「おい、ちょ、優李!待って!怒んなよ~」

俺は海斗を置いてどんどん教室へ向かう



教室に着くと、たしかにその話題で持ちきりだった。
「え~、男の子かなぁ?女の子かなぁ?」

「はいっイケメン志望!」

「可愛い女子だといーよなぁ」

「いやいや、夢は見ないでおこう。違った時のショックがでかい、、、」

「いや、でもよ、美少女じゃなくても巨乳なら嬉しいよなぁ」

「ちょっと、北村キモいんですけど~」

男子も女子も新しく加わるクラスメイトの予想や理想を話している。

「ほら、お前ら席につけ~
 お待ちかねの転校生だぞ~」

この場合も転校と言うのだろうか?なんて考えているとドアが開く。

入ってきたのは女子の理想を詰め込んだような微笑をたたえた男子と冷たい印象を受ける美人な女子だった。

「お前らもびっくりしただろう?先生もな、2人がこんなイケメンと美少女で驚いたよ」

男子も女子も首が取れるんじゃないかと思うぐらい首を縦に振っている。
そういう俺も、無意識のうちに首を振っていた。

「よし!じゃあ、自己紹介を頼む!」

口を初めに開いたのは男の方だった、

「初めまして、有栖川 千冬です。
親の仕事の都合でこの時期からこのクラス    の一員になります。
えっと、なんて言えばいいんだろ、、、あの、沢山話しかけてくれたら嬉しいです」


キャーーー!!可愛い!!イケメン!!


声には出していないが、女子の黄色い歓声が聞こえてくる。
確かに、男の俺からみても王子様がいたら、こんな感じなんだろうと思う。

「よし、九条も頼む!」

「はい。九条 明です。あきらっていう名前だと男の子に思われがちなので気軽にアキって呼んでもらいたいですっ。こんな見た目なので怖いとかよく思われるんですけど、話したり、みんなで遊ぶのが大好きなので、お友達になってくれたら嬉しいですっ」


天使が舞い降りた、、、神よ感謝します、、、

男子の神に感謝する声が聞こえる中、有栖川と九条は何やら話し込んでいる。

「よし、じゃあ今日の1時間目は交友会ということで好きに使ってくれ!有栖川と九条の席は窓側にある後ろの2席だからな!よし、じゃあ終了!」

先生が出て行った後はお祭り騒ぎで、2人に質問の雨が降り注いだ。

「九条さんのことアキちゃんって呼んでもいい?」

「いいよ~、むしろ、呼んでほしい!!」

「アキちゃんってめちゃくちゃ可愛い~!髪の毛も猫っ毛でスッゴイふわふわ!」

「そんなことないよ!だって、この顔のせいで睨んでるって思われるし、、、髪だって朝起きたら前髪がなくなってるもん!!」

「なくなるって、、、
 アキちゃん面白すぎ、、フフッ」

「有栖川って中学、部活何やってたんだ?」

「アリスでいいよ中学ん時、呼ばれてたし部活はバスケやってたから、バスケ部に入ろうと思ってる」

「バスケ部か、、じゃあ優と海斗と一緒だな」

急に名前を出されて驚いてしまう

「マジか!アリス、バスケ部はいんの⁇めっちゃ嬉しい!よろしくな!」

海斗がアリスの腕を引きちぎる勢いで振っている。

「おい、海斗。アリスくんの腕がちぎれるぞ俺の名前は優李。ユウって呼んでくれ」

「俺もアリスでいいよ。よろしくユウ」

「おいっ、俺を無視してで仲良くなんな!」

九条さんもアリスも人懐っこいので、すぐにみんなと打ち解け放課後に次の日曜日みんなで歓迎会と称して遊びに行くことも決まり、みんなが2人と友達になりたがった。

俺もアリスと仲良くなり、普段は嫌いな休日が少し楽しみになった。
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