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5.吉田が動き出す(2)
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すんごい勢いで俺に向かって来る転校生。
危険レベルだ・・・でも恐いもの見たさっていうか・・・
何かちょっとワクワクもする。
身長は俺(176センチ)よりちょっと高い・・・180ぐらいかな・・・
ゴリラズよりは全然低いんだけど、圧がスゴイのと、纏う空気の異質さで、大きく見える。
女子が王子だ何だと騒いでたけど、《王子》というよりは《若い王》って感じ。
甘さは無く、《強い人間》感を放ってる。
切れ長の目に 日本人には珍しい軽くウネウネしてる黒髪。
その髪を激しい風に弄ばれながら 俺から視線を外すことなく近付いて来る。
・・・戦に来たのかな?
恐いんですけど・・・
(・・・やっぱり俺に何か用か?)
俺の2メートルほど手前で立ち止まり 至近距離で目力を放つイケメン。
正直、ビビる。
(瞬きした方がいいぞ、ドライアイになるぞ?)
などと思いながら―――俺はその目に絡めとられていく感覚に戸惑っている。
(・・・何なんだ・・・、反則だろ?、そんな眼・・・)
一見 無表情な瞳は 実は瞬で表情を変え その心情を捉える事が出来ない。
掴めそうで掴めない瞳の表情に惑わされ 魅せられ 見つめ返すしか出来ない・・・
高1とは思えない落ち着いた顔にその瞳だけが異質だが、結果、聖人の様な清らかな空気を放ってる。
と、尊い・・・
これが、《眼福》・・・!?
美しく、強い瞳。
美しく、強い人。
鼓動が早まるのを感じる・・・
何で・・・何なんだ? この・・・感じ・・・
泣きたいような困惑・・・
こんなの・・・こんなの・・・
説明できない初めての感覚から逃れる様に フと気付く。
見つめてる、と同時に 見つめられている。
(俺、何とも言えないアホ面で目の前の男を見つめているんだろうなぁ・・・)
・・・俺のアホ面はいいとして、見つめられてる、無言で!
何故!?
そもそも、この男がこっち・・・俺を見つめてきたんだ・・・そうだ、歩きながら、強風なのに瞬き一つせずに・・・
・・・え、マジで 目、大丈夫?
心配になり、既に見つめている眼をさらに確かめる様にジッと見る。
「!?ッ」
捉えどころのなかった瞳に 初めて戸惑うような表情を浮かべ 男がわずかに目を伏せた。
俺は瞳の拘束を解かれて緩む。
瞬間、彼の背後に広がる空、その奥の暗い雲間がわずかに光った。
「・・・遠雷・・・」
徐々に暗くなる空にぼんやりと視線を巡らせ、
「来るよ」と警告する。
「オウ」と陸城。
「急ごう」と深海。
「走るぞッ」と真空。
この森は落雷スポットなのだ。
雷の気配を感じたらスグに校舎に避難しなければならない。
とっさに 転校生じゃそんな事知らんだろうと気付いた俺は、目の前で少し目を見開いた彼の腕をつかんで、
「校舎まで走るぞ!」
と小さく叫び、その腕を引っ張った。
何の事か分らんだろうし、抵抗するかなと思っていたけど 意外にも素直に走り出した。(おお、何と察しのいいヤツ・・・大丈夫だな、雷を避けるため校舎に避難するという事を理解してくれてるようだ)
そう思い、彼を引っ張っていた手を離し―た―瞬――間―・・
フ ワ リ
「えっ・・何!?」
なんか俺・・・浮いてる!? 浮かんでる!???
何だ何だ!? どーなってる!?
「オイッ!」
「お前ッッ!」
「クソッ! なぜ追いつけない!?」
陸城・深海・真空が騒いでる。
俺はお空を飛んでいる―――???
危険レベルだ・・・でも恐いもの見たさっていうか・・・
何かちょっとワクワクもする。
身長は俺(176センチ)よりちょっと高い・・・180ぐらいかな・・・
ゴリラズよりは全然低いんだけど、圧がスゴイのと、纏う空気の異質さで、大きく見える。
女子が王子だ何だと騒いでたけど、《王子》というよりは《若い王》って感じ。
甘さは無く、《強い人間》感を放ってる。
切れ長の目に 日本人には珍しい軽くウネウネしてる黒髪。
その髪を激しい風に弄ばれながら 俺から視線を外すことなく近付いて来る。
・・・戦に来たのかな?
恐いんですけど・・・
(・・・やっぱり俺に何か用か?)
俺の2メートルほど手前で立ち止まり 至近距離で目力を放つイケメン。
正直、ビビる。
(瞬きした方がいいぞ、ドライアイになるぞ?)
などと思いながら―――俺はその目に絡めとられていく感覚に戸惑っている。
(・・・何なんだ・・・、反則だろ?、そんな眼・・・)
一見 無表情な瞳は 実は瞬で表情を変え その心情を捉える事が出来ない。
掴めそうで掴めない瞳の表情に惑わされ 魅せられ 見つめ返すしか出来ない・・・
高1とは思えない落ち着いた顔にその瞳だけが異質だが、結果、聖人の様な清らかな空気を放ってる。
と、尊い・・・
これが、《眼福》・・・!?
美しく、強い瞳。
美しく、強い人。
鼓動が早まるのを感じる・・・
何で・・・何なんだ? この・・・感じ・・・
泣きたいような困惑・・・
こんなの・・・こんなの・・・
説明できない初めての感覚から逃れる様に フと気付く。
見つめてる、と同時に 見つめられている。
(俺、何とも言えないアホ面で目の前の男を見つめているんだろうなぁ・・・)
・・・俺のアホ面はいいとして、見つめられてる、無言で!
何故!?
そもそも、この男がこっち・・・俺を見つめてきたんだ・・・そうだ、歩きながら、強風なのに瞬き一つせずに・・・
・・・え、マジで 目、大丈夫?
心配になり、既に見つめている眼をさらに確かめる様にジッと見る。
「!?ッ」
捉えどころのなかった瞳に 初めて戸惑うような表情を浮かべ 男がわずかに目を伏せた。
俺は瞳の拘束を解かれて緩む。
瞬間、彼の背後に広がる空、その奥の暗い雲間がわずかに光った。
「・・・遠雷・・・」
徐々に暗くなる空にぼんやりと視線を巡らせ、
「来るよ」と警告する。
「オウ」と陸城。
「急ごう」と深海。
「走るぞッ」と真空。
この森は落雷スポットなのだ。
雷の気配を感じたらスグに校舎に避難しなければならない。
とっさに 転校生じゃそんな事知らんだろうと気付いた俺は、目の前で少し目を見開いた彼の腕をつかんで、
「校舎まで走るぞ!」
と小さく叫び、その腕を引っ張った。
何の事か分らんだろうし、抵抗するかなと思っていたけど 意外にも素直に走り出した。(おお、何と察しのいいヤツ・・・大丈夫だな、雷を避けるため校舎に避難するという事を理解してくれてるようだ)
そう思い、彼を引っ張っていた手を離し―た―瞬――間―・・
フ ワ リ
「えっ・・何!?」
なんか俺・・・浮いてる!? 浮かんでる!???
何だ何だ!? どーなってる!?
「オイッ!」
「お前ッッ!」
「クソッ! なぜ追いつけない!?」
陸城・深海・真空が騒いでる。
俺はお空を飛んでいる―――???
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