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20.駅のベンチで
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「モ、モルさん、その犬、さっきの・・?」
駅に行くとピコさんが一人でベンチに座っている。 何でもフットさんは忘れ物を取りにアパートへ戻ってしまったという。
「あぁ。 よく懐いてくれているので飼う事にした。 公園へ一緒に連れて行きたいけど、いいかな? 大人しい、いい子だから・・・」
「はい・・・カワイイ・・です。」
・・うん。 そうだよな、カワイイよな。 何で他の人達は恐がるのか・・そういえばピコさんはオープンカフェで犬を見た時も怖がる様子を見せなかったな。
「何故か皆この犬を恐がるのだが、君は違うね? 犬が好きなんだね?」
そう訊いてみると、意外にも、
「・・いいえ、実は私、動物・・特に犬が恐かったんです。 だから、昔・・5年位前にお父さんが犬を飼いたいって言った時、嫌だと言ってしまった事があります。
だけど、最近・・そう、いつの間にか犬が恐くなくなったんです。
このワンコも、カワイイです。 名前は何て言うんですか?」
あ・・ 「・・ええと・・」 名前か・・・どうしようかな・・
「!! も、もしかして、モルさんと同じ“モル”ちゃん!? あぁ、じゃあ、この犬が5年前にお父さんが飼いたがってた・・」
ピコさんが眼をキラキラさせ、犬をマジマジと見る。
「あ、知ってたんだね。 そう、君のお父さんがこの犬に俺と同じ名前を付けてしまったから、困ってる。 そうだ、ピコさん、何か新しい名前を考えてくれないかな? この犬は女の子だから、俺と同じじゃ可哀想だからね。」
「え、私が!? ・・はいっ! 喜んで! わぁ、どうしよう・・そうね、大きくて、カッコよくて、強そうで・・・目が優しい・・・(チラッ)・・・似てます・・やっぱり・・・モルさんに・・・お父さんが言った通り・・」
・・ッ、ユニ・・娘にまでそんな事を・・(赤面)
「・・ごめんなさい、私やっぱり、この子モルちゃんて呼びたいです。 お父さんに愛情込めてそう呼ばれていたなら、この子も変えられたくないと思う・・ 何か、この子の気持ちが分かる気がするんです。 きっと私と同じなんだと思うんです。」
「・・ん? この犬と君が同じ?」
小柄な人間と大型犬。 見た目的に接点は無い。
「私、今は元気になれましたけど、ずっと病気がちだったんです。 すぐに寝込んで、まともに学校も行けてなくて、勉強も出来ないし、得意な事も無いし、何も出来ない、迷惑かけてばかりの役立たずで・・」
「・・!・・」 それは・・・俺もそうだった・・・
「・・時々お母さんに恐い目で睨まれて『お前なんか産むんじゃなかった! 産んだって無意味だった! お前なんか、ただの役立たずだ!』って言われるのが悲しくて・・お母さんは後で謝ってくれるんですけど、でも、本音なんだなって・・分かって・・」
「あぁ・・ナノはそんな事を・・」 何て女だ・・ピコさんの妊娠をユニを手に入れる為の切り札にしておいて・・
「でも、お父さんは私を見る時いつも笑顔で、嬉しそうに・・本当に心から嬉しそうに私を見てくれるんです。 一度も、一瞬も、私を迷惑そうに見た事ないんです。
私は、そんなお父さんの瞳を見ると、私が生きているだけでお父さんは喜んでくれているって思えて、私、生きていていいんだって思えて・・あ、えへへ・・」
ピコさんの目から涙がこぼれる。 ハンカチを渡すと、恥ずかしそうに受け取り、涙を拭く。
「・・ありがとうございます。 それで、このモルちゃんも、みんなから恐がられて、処分されそうになっていたと聞きました。 きっと心が傷ついて、不安でいっぱいだったと思うけど、お父さんに出会って、優しくされて、“好きだよ、君がいて嬉しいよ”って瞳で見つめられて、嬉しくて、救われたんだと思うんです。 ・・・私と同じです。 だから、この子の名前はお父さんがつけた“モルちゃん”しかない、って・・・ ダメですか?」
・・・ふぅ・・やっと涙が止まったウルウル瞳で言われちゃあね・・
「ウン、分かった。・・・しょうがない、俺が改名するか・・」
半ば本気で呟くと、ピコさんがクスクス笑いながら、
「それはダメです! だって、モルさんが居てのモルちゃんでしょう? 名前の由来元が改名してしまったら、モルちゃんが困ってしまいます!」
・・・だってさ、モルちゃん?
「クゥン♪」 ブンブンブン、ブワサッブワサッブワサッ・・
ユニお手製のハーネスを着けてからずっとゴキゲンのモルちゃんは、ピコさんの隣のベンチに座っている俺の足に顎を乗せて、6本もある尻尾をフリフリし続けている・・・
・・尻尾、ちぎれちゃうぞ?
駅に行くとピコさんが一人でベンチに座っている。 何でもフットさんは忘れ物を取りにアパートへ戻ってしまったという。
「あぁ。 よく懐いてくれているので飼う事にした。 公園へ一緒に連れて行きたいけど、いいかな? 大人しい、いい子だから・・・」
「はい・・・カワイイ・・です。」
・・うん。 そうだよな、カワイイよな。 何で他の人達は恐がるのか・・そういえばピコさんはオープンカフェで犬を見た時も怖がる様子を見せなかったな。
「何故か皆この犬を恐がるのだが、君は違うね? 犬が好きなんだね?」
そう訊いてみると、意外にも、
「・・いいえ、実は私、動物・・特に犬が恐かったんです。 だから、昔・・5年位前にお父さんが犬を飼いたいって言った時、嫌だと言ってしまった事があります。
だけど、最近・・そう、いつの間にか犬が恐くなくなったんです。
このワンコも、カワイイです。 名前は何て言うんですか?」
あ・・ 「・・ええと・・」 名前か・・・どうしようかな・・
「!! も、もしかして、モルさんと同じ“モル”ちゃん!? あぁ、じゃあ、この犬が5年前にお父さんが飼いたがってた・・」
ピコさんが眼をキラキラさせ、犬をマジマジと見る。
「あ、知ってたんだね。 そう、君のお父さんがこの犬に俺と同じ名前を付けてしまったから、困ってる。 そうだ、ピコさん、何か新しい名前を考えてくれないかな? この犬は女の子だから、俺と同じじゃ可哀想だからね。」
「え、私が!? ・・はいっ! 喜んで! わぁ、どうしよう・・そうね、大きくて、カッコよくて、強そうで・・・目が優しい・・・(チラッ)・・・似てます・・やっぱり・・・モルさんに・・・お父さんが言った通り・・」
・・ッ、ユニ・・娘にまでそんな事を・・(赤面)
「・・ごめんなさい、私やっぱり、この子モルちゃんて呼びたいです。 お父さんに愛情込めてそう呼ばれていたなら、この子も変えられたくないと思う・・ 何か、この子の気持ちが分かる気がするんです。 きっと私と同じなんだと思うんです。」
「・・ん? この犬と君が同じ?」
小柄な人間と大型犬。 見た目的に接点は無い。
「私、今は元気になれましたけど、ずっと病気がちだったんです。 すぐに寝込んで、まともに学校も行けてなくて、勉強も出来ないし、得意な事も無いし、何も出来ない、迷惑かけてばかりの役立たずで・・」
「・・!・・」 それは・・・俺もそうだった・・・
「・・時々お母さんに恐い目で睨まれて『お前なんか産むんじゃなかった! 産んだって無意味だった! お前なんか、ただの役立たずだ!』って言われるのが悲しくて・・お母さんは後で謝ってくれるんですけど、でも、本音なんだなって・・分かって・・」
「あぁ・・ナノはそんな事を・・」 何て女だ・・ピコさんの妊娠をユニを手に入れる為の切り札にしておいて・・
「でも、お父さんは私を見る時いつも笑顔で、嬉しそうに・・本当に心から嬉しそうに私を見てくれるんです。 一度も、一瞬も、私を迷惑そうに見た事ないんです。
私は、そんなお父さんの瞳を見ると、私が生きているだけでお父さんは喜んでくれているって思えて、私、生きていていいんだって思えて・・あ、えへへ・・」
ピコさんの目から涙がこぼれる。 ハンカチを渡すと、恥ずかしそうに受け取り、涙を拭く。
「・・ありがとうございます。 それで、このモルちゃんも、みんなから恐がられて、処分されそうになっていたと聞きました。 きっと心が傷ついて、不安でいっぱいだったと思うけど、お父さんに出会って、優しくされて、“好きだよ、君がいて嬉しいよ”って瞳で見つめられて、嬉しくて、救われたんだと思うんです。 ・・・私と同じです。 だから、この子の名前はお父さんがつけた“モルちゃん”しかない、って・・・ ダメですか?」
・・・ふぅ・・やっと涙が止まったウルウル瞳で言われちゃあね・・
「ウン、分かった。・・・しょうがない、俺が改名するか・・」
半ば本気で呟くと、ピコさんがクスクス笑いながら、
「それはダメです! だって、モルさんが居てのモルちゃんでしょう? 名前の由来元が改名してしまったら、モルちゃんが困ってしまいます!」
・・・だってさ、モルちゃん?
「クゥン♪」 ブンブンブン、ブワサッブワサッブワサッ・・
ユニお手製のハーネスを着けてからずっとゴキゲンのモルちゃんは、ピコさんの隣のベンチに座っている俺の足に顎を乗せて、6本もある尻尾をフリフリし続けている・・・
・・尻尾、ちぎれちゃうぞ?
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