えっ私人間だったんです?

ハートリオ

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11 お守り致します

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B、D班も同様に仕上げて行くルスキニア。

魔獣王と戦いながらもその様子を垣間見、
感度が強いのでテレパシーでの会話も聞こえているファルコは心が震える。

(素晴らしい!
弱点を補い合い強みを生かし合うペアか…
あれ程機能するとは!
桁違いの戦闘能力を発揮している!
ペアを組む、という方法は私には考えつかなかった事だ。
1匹の魔獣に対して2~3人で戦って来たがそれは流動的でペアではなかった。
ルスキニア姫は魔力だけを集中して見る。
だからこそ少ない戦力をベストな形で使う方法を見い出せるのだろう…)

それに、と思う。

(弟達が彼女には妙に素直だ…
いつもは令嬢に対して徹底してクールな態度を取っているのに…
彼女の語り口が真摯で思いやりに溢れているからなのだろう…
不思議な令嬢だ…)

弟達と姫達の戦いぶりに感心していたファルコに一瞬のスキが出来てしまった。
すかさず魔獣王が魔弾を発する!

「ハッ!マズイ!」

魔獣王の魔弾は威力もスピードも桁違い。
間に合わない!
覚悟するファルコ。

目の前が真っ白になる――

(私は――死んだのか?)
《まさか。
あなたが死んだら人類は終わりです》
(ッ!?)

光の粒子が薄まり
ファルコは見る。
目の前に
灰色ベールの
名を持たなかった少女を
今はルスキニアを

《お待たせしました》
(――え)
《ここからは私が》
(――なに‥)
《殿下をお守り致します》
(――守る?私を?
違う。
私は守る側で――)

大きな魔力を持って生まれたファルコは幼児の頃から既に『守る側』だった。
だが。
大きな魔力は制御困難。
意図せず周りを傷つけてしまう事がある。

2才の春。
ファルコから漏れた魔力が母に触れ
母の白い腕に『魔力火傷』を刻んでしまった。

『魔力火傷』――
魔力で焼かれた皮膚は焼け爛れ激しく痛み治癒は不可能…
一生苛まれなければならない…

誰が悪いのでもなかった。
母も息子を責めたりしなかった。
だけどそれ以降、恐怖で息子に近付けなくなってしまった。
母はそんな自分を恥じて責め、心が壊れていく。
そして激しく痛む腕…
心身共に疲弊した母は遠方にある離宮に引き籠り
ファルコは母と会えなくなってしまった。

自分を責め続けるファルコは二度と周りの者を傷つけない様
常に気を張っている。
呼吸さえまともに出来ないほどに。

(‥不思議だ‥
君の前では呼吸が楽なのだ。
弟達に言われて気付いた)
《はい…》

ルスキニアには最初から視えていた。
ファルコが放つ誰もが恐れる威圧――
それは膨大な魔力を必死に制御している為に無意識に放たれてしまうのだ。

(一体どれだけの苦しみの中を生きて来たの…)

意識したわけではないのにファルコの記憶が流れ込んで来て
ルスキニアは震える心を抑えて説明する。

《はい。
私が殿下の魔力を整えたので》
(ッ!?
そんな事が!?)
《簡易的にですので効果は一時的です。
時間が足りなくて。
ですが今なら――
皆様が魔獣達を抑えてくれています。
魔獣王は認識阻害バリアで私達を見失っています。
今なら出来ます!
行きます!》

ファッ‥

(!?)

ファルコはまたも光の中に
全身の力が抜けて
浮くような
沈むような
心地良い感覚
生まれる前に
知っていた様な

これは一体‥《殿下》
(ハッ)
《殿下は
殿下の魂は
美しいです!》
(ッ!)

日に何度も『美しい』と言われる。
小さい頃からずっと言われ過ぎている。
だがそれは全て容姿に対するもの。
『魂が美しい』とは
初めて言われて――

ファルコは目を開ける。
目の前には灰色ベール
彼女がいる
柔らかな光の中
彼女だけが居る――

《‥あっ‥殿下‥
私つい思ったままに‥
お許し下さい》
(い、いや、
何も怒ってなど‥)
《では…
泣かないで下さい》
(――ッ!?
あ――‥)

ファルコは頬が濡れている事に気付いて

(泣いて?私が?
――ッッ)

赤面する。

(泣かないで下さい
胸が締め付けられます
…これは一体何という現象なの?)

戸惑うルスキニアは自問するが答は分からない。
あぁもう――
今は訳の分からない自分に構っている場合じゃない!

《‥どうですか?》
(――ハッ!?
これは――!)

ファルコは目を瞠る。
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