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32 王太子の考え
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放課後。
王家の馬車留めの前で待つピウスの前にストゥディウムの陰に隠れる様にして王太子が現れる。
「テナークス殿下、少しだけお話頂けないでしょうか?」
ピウスに何を言われても断る様に命を出しておいたストゥディウムがサッと横に控えるので王太子はピウスとバッチリ対面してしまう。
「!?‥ストゥ‥」
「ご婚約者様です。お話されるべきです」
「テナークス殿下、ほんの少しでいいのです」
ストゥディウムに感謝の微笑みを向け、ピウスは王太子を見つめる。
「‥ッ‥な、何だ?私は時間が‥あ‥」
そうだ…居れば何だかんだ口出しするクピドゥスは早退して今ここに居ない。
邪魔が入らずピウス姫と話せるチャンス!――いや、ダメだ!甘い顔を見せるわけにはいかないのだ!…だ、だがッ…
(ほんの少し話すだけなら大丈夫だろう)
「ゴホッ…まぁ、少しなら…あの、昼休みはありがとう…その、助かった」
「…当然のことをしただけです。――話というのは、卒業パーティーのことです。殿下は婚約者として私をエスコートしてくださるのでしょうか?」
「えッ…あ…いや、出来ない…クピドゥスと約束している」
――!――
ピウス、護衛ウィース、ストゥディウム、隠れているアクーメンが息を呑む。
「そうですよね…半年前テナークス殿下は私に別れを宣言されましたものね」
「…エッ!?」
「その後何の連絡もなく不思議に思っておりましたが…
つまりテナークス殿下は卒業パーティーで正式に婚約者を変えるという事を示されるのですね?」
「‥は!?何をバカな‥そんな気はさらさら無い!私の婚約者は君だ!
は…半年前に別れを宣言?カッとして言った事など覚えていない!」
「覚えていない?」
「ああ!別れる気など無い!」
ピウスは目眩を感じる。
この人は一体何を言っているのだろう…
「ですが公の場…正式なパーティーで他の令嬢をエスコートするという事はそういう意味ですわ…しかもその場には私も居るのです」
「ピウス姫分かってくれないか?私はクピドゥスとはパーティーの翌日には別れる積もりなのだ!」
「えぇ!?」
「当然だろう?君が来るのに王太子宮に別の女を置いておくはずがないだろう?」
「…ッ…そ、それは、男爵令嬢は納得しているのですか?」
「納得も何も元々『結婚までの半年間、私が慰めてあげますわぁ』とか言って近付いて来たのだから分かっている事だろう?」
「…………」
「彼女は卒業パーティーで私にエスコートされるのをとても楽しみにしているのだ。彼女とは最後になるのだから望みを叶えてやりたい…君のことは結婚後いくらでもエスコートしてあげられる!…正直、君に冷たくされて苦しんでいた私を救ってくれたのはクピドゥスだ。君のせいでもあるのだからエスコートを譲るぐらいの優しさを持ってくれないと王太子妃として相応しいとは言えないぞ!」
ピウスは王太子の言に怒りを感じるがグッと拳を握り何とか耐える。
「――テナークス殿下のお考えは分かりました」
「おお!分かってくれたか!良かっ‥」
「もう一つお伺いします。殿下は『光り輝く』王太子なのですか?」
「――ッ!」
ピウス姫には絶対知られてはいけないと隠し通してきた秘密に言及されて王太子は息を呑む。
王家の馬車留めの前で待つピウスの前にストゥディウムの陰に隠れる様にして王太子が現れる。
「テナークス殿下、少しだけお話頂けないでしょうか?」
ピウスに何を言われても断る様に命を出しておいたストゥディウムがサッと横に控えるので王太子はピウスとバッチリ対面してしまう。
「!?‥ストゥ‥」
「ご婚約者様です。お話されるべきです」
「テナークス殿下、ほんの少しでいいのです」
ストゥディウムに感謝の微笑みを向け、ピウスは王太子を見つめる。
「‥ッ‥な、何だ?私は時間が‥あ‥」
そうだ…居れば何だかんだ口出しするクピドゥスは早退して今ここに居ない。
邪魔が入らずピウス姫と話せるチャンス!――いや、ダメだ!甘い顔を見せるわけにはいかないのだ!…だ、だがッ…
(ほんの少し話すだけなら大丈夫だろう)
「ゴホッ…まぁ、少しなら…あの、昼休みはありがとう…その、助かった」
「…当然のことをしただけです。――話というのは、卒業パーティーのことです。殿下は婚約者として私をエスコートしてくださるのでしょうか?」
「えッ…あ…いや、出来ない…クピドゥスと約束している」
――!――
ピウス、護衛ウィース、ストゥディウム、隠れているアクーメンが息を呑む。
「そうですよね…半年前テナークス殿下は私に別れを宣言されましたものね」
「…エッ!?」
「その後何の連絡もなく不思議に思っておりましたが…
つまりテナークス殿下は卒業パーティーで正式に婚約者を変えるという事を示されるのですね?」
「‥は!?何をバカな‥そんな気はさらさら無い!私の婚約者は君だ!
は…半年前に別れを宣言?カッとして言った事など覚えていない!」
「覚えていない?」
「ああ!別れる気など無い!」
ピウスは目眩を感じる。
この人は一体何を言っているのだろう…
「ですが公の場…正式なパーティーで他の令嬢をエスコートするという事はそういう意味ですわ…しかもその場には私も居るのです」
「ピウス姫分かってくれないか?私はクピドゥスとはパーティーの翌日には別れる積もりなのだ!」
「えぇ!?」
「当然だろう?君が来るのに王太子宮に別の女を置いておくはずがないだろう?」
「…ッ…そ、それは、男爵令嬢は納得しているのですか?」
「納得も何も元々『結婚までの半年間、私が慰めてあげますわぁ』とか言って近付いて来たのだから分かっている事だろう?」
「…………」
「彼女は卒業パーティーで私にエスコートされるのをとても楽しみにしているのだ。彼女とは最後になるのだから望みを叶えてやりたい…君のことは結婚後いくらでもエスコートしてあげられる!…正直、君に冷たくされて苦しんでいた私を救ってくれたのはクピドゥスだ。君のせいでもあるのだからエスコートを譲るぐらいの優しさを持ってくれないと王太子妃として相応しいとは言えないぞ!」
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「おお!分かってくれたか!良かっ‥」
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「――ッ!」
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