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56 死の真相
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アッロガーンス王妃が振り下ろした剣が眼前に迫っているのに。
ピウスは遠くで必死の形相をしている茶髪の男性に一瞬目を細めて…
「ラーミナ」
バサッ…
――!?――
ほとんどの人が何が起こったのか分からなかった。
突如ピウスの手に美しい長剣が現れアッロガーンス王妃の剣を受け止めた
――様に見えた瞬間アッロガーンス王妃の剣が砂の様に崩れて落ちた。
「ヒィッ!?なッ?あッ?剣、剣‥」
前のめりに倒れ砂となった元剣を両手で集め始めるアッロガーンス王妃。
「愚かね。剣の妖精に愛されしこの私を剣で害することは出来なくてよ」
――!!――
「な、何と!」
「ピウス姫は妖精の加護を賜っていると!」
「世界で数えるほどしかいない妖精に愛されし御方だと!」
「ま、待て…そうなると…」
妖精は人間より上位の存在で信仰の対象。
その妖精に愛されし者はどんな人間よりも上の立場となる…
「で、では皇帝陛下よりもピウス王女殿下は上位となるのか…!」
ついさっきまであまりの憐れさに人々の同情を集めていた儚げな王女が実は最高権力者!
「まぁ、まさか…皇帝陛下は妖精王の加護を賜っていらっしゃる御方。皇帝陛下が人間界の最上位であることは揺るぎません」
そう言って微笑むピウス。
あぁッ、笑顔が尊い~~~ッ
女性達の目がハートになり、男性達の鼻の下が伸びる。
「いや…妖精王でも御しきれない剣の妖精にここまで愛されているとは…大変な加護持ちだ…」
皇帝が目を見開きそう呟く。
「ところで…その女に気付かず済まなかった。アマ‥」【アマータ嬢が殺されたと聞いて気が動転してしまった】
公用語で話していた皇帝だが、途中から帝国語に切り変える。
カラクテリスティカ前正妃であったアマータの不穏な話を皆に聞かせるべきではないと判断したためだが――
【その話ですが…今この場で、公用語で話す許可を賜りたく】
そう言ってゾッとするほど美しい顔で皇帝を見据えるピウス。
【‥ッ‥(なるほど)‥ああ、分かった。では‥】「アマータ嬢が殺されたというのはどういう事か説明してくれるか?」
シィ……ン
不穏な話に会場中が静まる。
アマータ嬢…つまりカラクテリスティカ前正妃は4年前34才の若さで事故死した――
そう公にされていた前正妃の早過ぎる死は実は殺人であったと!?
「‥ッ‥まぁ!そ、そんな国の恥をこんな皆さんがいる場で公にしてしまうなんて…王女には愛国心が無いのかしら!?」
騎士に拘束されながらもカラクテリスティカ現正妃がピウスを睨みつける。
「追放された私は今現在国を持たぬ者です。愛国心など持ちようもありません」
「…!…そ、それなのだけど…ピウス王女殿下‥」
「王家から除籍されておりますのでもう王女ではありませんわ」
「‥ッ!‥チッ‥亡き前正妃は実は毒殺された。ご自分の侍女に!そんな情けない話は前正妃の名誉の為に隠すべきだと判断した私の善意を踏みにじるなんて…」
「侍女はただの実行犯。黒幕は…当時側妃であり今の正妃であるお前よ!」
ザワザワザワッ
騒然とする会場。
爪の先まで美しいピウスに指さされて言葉を失う現正妃。
「‥デタラメよッ!何て酷い女なの!?‥私を恨んでいるのね!?母親の後に正妃の座に就いたから!ピウス王女を離宮へ追いやったから!ピウス王女の予算を私の娘達に回したから‥ハッ‥」
現正妃は焦るあまり余計な事を言って会場中から白い目で見られている事に気付き
「しょ、証拠はあるの!?無いわよね!あるはずないんだから‥」
「あります」
「‥嘘よッ!何も出てこないはずよ!」
「侍女…お母様の信頼を裏切ってお母様の食事に毒を入れた侍女…お母様の墓前で命を絶ったあの侍女から告白の手紙を受け取っています」
「なッ嘘よ嘘!捏造でしょう!?わ、私を無実の罪に陥れる為にッ‥」
「ラーミナ」
スッ…
ピウスの目前に1枚の紙…手紙が現れる。
それを手に取ると文面を元側妃に向ける。
「冒頭に『私は真実のみを記す事を妖精王様に誓います』とあります。つまりこれは私への手紙であると同時に妖精王への誓約書でもあるのです。嘘が書けるはずが無い事が理解できるでしょう」
「‥グッ‥」
妖精王への誓いを破れば無間地獄へ落ちる。
誓いを破れる者などいないのだ――
「侍女はこの手紙にこう記しています。
『側妃に子供達を拉致され、毒を手渡されました。この毒をアマータ様に飲ませなければ、子供達を拷問の末生きたまま心臓を抉り出すと言われ私は許されないことを…側妃の脅しに屈してアマータ様の食事に毒を入れてしまいました…』」
「嘘よぉッ」
元側妃が叫ぶのと皇帝がスラリと剣を抜いたのは同時。
「皇帝陛下のお手を煩わせる気はございませんわ」
「ピウス姫…私が許せないッ」
「その苦しい想いを今の今まで4年間も耐えて来た存在がいらっしゃるのです」
「‥!?それは‥!?」
自分以外にもアマータ嬢を愛した男が!?
皇帝は眉根を寄せるがピウスは構わず元側妃に尋ねる。
「お母様が存命中はカラクテリスティカ王国に暴風による被害が無かった事…不思議に思った事は無かった?」
今この場において的外れとしか思えない質問に元側妃は怒鳴り返す。
ピウスは遠くで必死の形相をしている茶髪の男性に一瞬目を細めて…
「ラーミナ」
バサッ…
――!?――
ほとんどの人が何が起こったのか分からなかった。
突如ピウスの手に美しい長剣が現れアッロガーンス王妃の剣を受け止めた
――様に見えた瞬間アッロガーンス王妃の剣が砂の様に崩れて落ちた。
「ヒィッ!?なッ?あッ?剣、剣‥」
前のめりに倒れ砂となった元剣を両手で集め始めるアッロガーンス王妃。
「愚かね。剣の妖精に愛されしこの私を剣で害することは出来なくてよ」
――!!――
「な、何と!」
「ピウス姫は妖精の加護を賜っていると!」
「世界で数えるほどしかいない妖精に愛されし御方だと!」
「ま、待て…そうなると…」
妖精は人間より上位の存在で信仰の対象。
その妖精に愛されし者はどんな人間よりも上の立場となる…
「で、では皇帝陛下よりもピウス王女殿下は上位となるのか…!」
ついさっきまであまりの憐れさに人々の同情を集めていた儚げな王女が実は最高権力者!
「まぁ、まさか…皇帝陛下は妖精王の加護を賜っていらっしゃる御方。皇帝陛下が人間界の最上位であることは揺るぎません」
そう言って微笑むピウス。
あぁッ、笑顔が尊い~~~ッ
女性達の目がハートになり、男性達の鼻の下が伸びる。
「いや…妖精王でも御しきれない剣の妖精にここまで愛されているとは…大変な加護持ちだ…」
皇帝が目を見開きそう呟く。
「ところで…その女に気付かず済まなかった。アマ‥」【アマータ嬢が殺されたと聞いて気が動転してしまった】
公用語で話していた皇帝だが、途中から帝国語に切り変える。
カラクテリスティカ前正妃であったアマータの不穏な話を皆に聞かせるべきではないと判断したためだが――
【その話ですが…今この場で、公用語で話す許可を賜りたく】
そう言ってゾッとするほど美しい顔で皇帝を見据えるピウス。
【‥ッ‥(なるほど)‥ああ、分かった。では‥】「アマータ嬢が殺されたというのはどういう事か説明してくれるか?」
シィ……ン
不穏な話に会場中が静まる。
アマータ嬢…つまりカラクテリスティカ前正妃は4年前34才の若さで事故死した――
そう公にされていた前正妃の早過ぎる死は実は殺人であったと!?
「‥ッ‥まぁ!そ、そんな国の恥をこんな皆さんがいる場で公にしてしまうなんて…王女には愛国心が無いのかしら!?」
騎士に拘束されながらもカラクテリスティカ現正妃がピウスを睨みつける。
「追放された私は今現在国を持たぬ者です。愛国心など持ちようもありません」
「…!…そ、それなのだけど…ピウス王女殿下‥」
「王家から除籍されておりますのでもう王女ではありませんわ」
「‥ッ!‥チッ‥亡き前正妃は実は毒殺された。ご自分の侍女に!そんな情けない話は前正妃の名誉の為に隠すべきだと判断した私の善意を踏みにじるなんて…」
「侍女はただの実行犯。黒幕は…当時側妃であり今の正妃であるお前よ!」
ザワザワザワッ
騒然とする会場。
爪の先まで美しいピウスに指さされて言葉を失う現正妃。
「‥デタラメよッ!何て酷い女なの!?‥私を恨んでいるのね!?母親の後に正妃の座に就いたから!ピウス王女を離宮へ追いやったから!ピウス王女の予算を私の娘達に回したから‥ハッ‥」
現正妃は焦るあまり余計な事を言って会場中から白い目で見られている事に気付き
「しょ、証拠はあるの!?無いわよね!あるはずないんだから‥」
「あります」
「‥嘘よッ!何も出てこないはずよ!」
「侍女…お母様の信頼を裏切ってお母様の食事に毒を入れた侍女…お母様の墓前で命を絶ったあの侍女から告白の手紙を受け取っています」
「なッ嘘よ嘘!捏造でしょう!?わ、私を無実の罪に陥れる為にッ‥」
「ラーミナ」
スッ…
ピウスの目前に1枚の紙…手紙が現れる。
それを手に取ると文面を元側妃に向ける。
「冒頭に『私は真実のみを記す事を妖精王様に誓います』とあります。つまりこれは私への手紙であると同時に妖精王への誓約書でもあるのです。嘘が書けるはずが無い事が理解できるでしょう」
「‥グッ‥」
妖精王への誓いを破れば無間地獄へ落ちる。
誓いを破れる者などいないのだ――
「侍女はこの手紙にこう記しています。
『側妃に子供達を拉致され、毒を手渡されました。この毒をアマータ様に飲ませなければ、子供達を拷問の末生きたまま心臓を抉り出すと言われ私は許されないことを…側妃の脅しに屈してアマータ様の食事に毒を入れてしまいました…』」
「嘘よぉッ」
元側妃が叫ぶのと皇帝がスラリと剣を抜いたのは同時。
「皇帝陛下のお手を煩わせる気はございませんわ」
「ピウス姫…私が許せないッ」
「その苦しい想いを今の今まで4年間も耐えて来た存在がいらっしゃるのです」
「‥!?それは‥!?」
自分以外にもアマータ嬢を愛した男が!?
皇帝は眉根を寄せるがピウスは構わず元側妃に尋ねる。
「お母様が存命中はカラクテリスティカ王国に暴風による被害が無かった事…不思議に思った事は無かった?」
今この場において的外れとしか思えない質問に元側妃は怒鳴り返す。
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