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第二章
08 異変
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敷地のほぼ中央にそびえ立つ大きく煌びやかな城。
『第二の王城』と讃えられるスタード公爵邸の城は、外観の壮麗さもさることながら、その機能がトンデモナクとてつもなくハンパ無く素晴らしい。
四季のあるティスリー王国に於いて城内は春夏秋冬快適な温度と湿度に保たれる。
空調管理魔道具というものが使われているという。
「水口」から水が出るだけでも素晴らしいのに、さらに「湯口」があり、信じられない事にお湯が出る!
水湯発生魔道具というものが使われているらしい。
実は「湯口」は王城の『王の洗面室』でも実現しておらず、スタード公爵邸は「湯口」に関しては、特別なお客様にしか明かしていない。
お客様?
そう、スタード公爵邸には国内外からの大切な要人が頻繁に宿泊される。
外国の王族でさえ、例えば滞在期間が一ヶ月ならば、半月は王城で、半月はスタード公爵邸での滞在を、と希望される。
そして美しく快適、食事も素晴らしい最高のスタード公爵邸に三日も滞在すれば、『もう一生ここで暮らしたいものだ』と誰もが心から願うという。
そのスタード公爵邸の正門付近では、噴水ショーを見に来た人々が敷地内を覗き見ながら不満の声を上げている。
「どうしたんだよ!?
もう正午は過ぎてるはずだぜ?
大噴水はいつ上がるんだよ!?」
「楽し気な鐘の音と音楽も鳴らないじゃないか!?
アレで踊るのが楽しみなのに!」
「そうよね!
それに鐘の音が鳴らないんじゃ、時間が分からないわ!」
「何だい何だい、アレもコレも故障かい?
小噴水までパッタリ止まっちまってるじゃねえか」
「酷いわ、冥途の土産にとわざわざ遠くから見に来たのに」
「もう帰国の船が出ちゃうから、早く噴水上げて頂戴よ!」
上・げ・ろ!
上・げ・ろ!
スタード公爵邸の正門では大噴水を見ない事には気が治まらない人達の『上げろコール』が湧き上がる。
「一体コレは何事なのだ!?」
豪華な馬車から剣呑な声が発せられる。
『上げろコール』の群衆が邪魔でスタード公爵邸の正門を通れず待たされているのは――
スタード公爵家、そしてティスリー王国にとっても大切なお客様、隣国の王太子夫妻の馬車である。
『第二の王城』と讃えられるスタード公爵邸の城は、外観の壮麗さもさることながら、その機能がトンデモナクとてつもなくハンパ無く素晴らしい。
四季のあるティスリー王国に於いて城内は春夏秋冬快適な温度と湿度に保たれる。
空調管理魔道具というものが使われているという。
「水口」から水が出るだけでも素晴らしいのに、さらに「湯口」があり、信じられない事にお湯が出る!
水湯発生魔道具というものが使われているらしい。
実は「湯口」は王城の『王の洗面室』でも実現しておらず、スタード公爵邸は「湯口」に関しては、特別なお客様にしか明かしていない。
お客様?
そう、スタード公爵邸には国内外からの大切な要人が頻繁に宿泊される。
外国の王族でさえ、例えば滞在期間が一ヶ月ならば、半月は王城で、半月はスタード公爵邸での滞在を、と希望される。
そして美しく快適、食事も素晴らしい最高のスタード公爵邸に三日も滞在すれば、『もう一生ここで暮らしたいものだ』と誰もが心から願うという。
そのスタード公爵邸の正門付近では、噴水ショーを見に来た人々が敷地内を覗き見ながら不満の声を上げている。
「どうしたんだよ!?
もう正午は過ぎてるはずだぜ?
大噴水はいつ上がるんだよ!?」
「楽し気な鐘の音と音楽も鳴らないじゃないか!?
アレで踊るのが楽しみなのに!」
「そうよね!
それに鐘の音が鳴らないんじゃ、時間が分からないわ!」
「何だい何だい、アレもコレも故障かい?
小噴水までパッタリ止まっちまってるじゃねえか」
「酷いわ、冥途の土産にとわざわざ遠くから見に来たのに」
「もう帰国の船が出ちゃうから、早く噴水上げて頂戴よ!」
上・げ・ろ!
上・げ・ろ!
スタード公爵邸の正門では大噴水を見ない事には気が治まらない人達の『上げろコール』が湧き上がる。
「一体コレは何事なのだ!?」
豪華な馬車から剣呑な声が発せられる。
『上げろコール』の群衆が邪魔でスタード公爵邸の正門を通れず待たされているのは――
スタード公爵家、そしてティスリー王国にとっても大切なお客様、隣国の王太子夫妻の馬車である。
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