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第三章

26 遅いぞ、ヒーロー!

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<<<<――させない>>>>



その音、
その声、
その意志―――



強い思念が大ホール――いや、宮殿中の空気を震わせる。

同時に人々の頭の中にも直接響く。

轟く。



ブワッッッッッ!!!



大ホール正面入り口が光った!

と思ったら、とてつもない光柱が入って来る!

凄まじい速さで――

瞬で青黒い龍に到達した光柱は。

龍だ!

光の龍だッ!

金色のオーラを纏った紫龍だ!


(‥‥ッ、白ク‥)
ふゎさッ‥‥


ステラは柔らかく暖かい羽に包まれる。


(あぁ、知ってる。
優しくて大きな羽――
紫龍の翼。
6年前、赤黒く澱んでいた私の魔力――赤龍から澱みを消し、本来の赤に戻してくれた白クマさんの紫龍の‥‥)



「ギァーーーッアァッ
ーーーアァァァァーー
ーッーーッーーーー」



およそ人間のものとは思えない、獣の咆哮の様な叫び声が上がる。

ティスリー国王、ウィーツの、まるで断末魔の叫びだ。


紫龍は翼でステラを包み込むのと同時に、青黒い龍の核――ウィーツの魔力の核を粉砕したのだ。

目をギラつかせてステラを嬲ろうとしていた青黒い龍は圧倒的な強さの紫龍を前にして為す術も無く。

闘うどころか僅かな抵抗すら叶わず核を粉砕され。

ウィーツの叫びと共に塵となり消えた。


国王を国王たらしめた魔力が消えたのである。

『自分は神にも等しい存在だ』と勘違いさせた根源である強大な魔力を失ったのである。


――まぁ、『強大な魔力』と言っても、それはティスリー王国内での話で、世界的に見れば実は大した事の無い魔力で。



「‥ァ‥ァ‥ァ‥ァ」



虚ろな目で床に倒れている王は言葉を忘れた様に小さく声を上げ、涙、鼻水、涎を垂らし、失禁までしている。


だが、そんな王をもはや誰も見ていない。

大ホール正面入り口に姿を現した光り輝く男性に誰もが目を奪われている。


カツッッ!!


正面入り口からホール内に歩き出す男性。


その人は―――
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