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第三章
37 パレード
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「きゃぁキール殿下!
素敵! カッコイイ!
さすが大国の王太子殿下ね!
絵にする事も出来ないほど美しくて堂々としてオーラが眩し過ぎるッ」
ここは、ミッドシップ王国王都中央通り。
パレード仕様の馬車に乗り、沿道を埋め尽くす人々に笑顔で応えるのは、本日立太子の運びとなった第二王子キール殿下。
「あっちからも派手な馬車が来るようじゃぞ!
負けず劣らずキラキラしとるわい」
興奮する孫が祖父が指さす方を見れば、彼の言う通り、煌びやかな馬車が王太子キールの馬車に近付いて来る。
「あちらはキール王太子殿下の婚約者となられたステラ様の馬車ですよ!」
祖父孫の周りで同様にパレードを見学中の人々が口々に教えてくれる。
「ステラ様は遠い外国の貴族令嬢らしい」
「キール様に掛けられた呪いを祓ったらしい」
「酷い婚約者に捨てられたが、キール様との真実の愛によって救われたという」
当たらずとも遠からずな内容。
「まぁステキ!
真実の愛なんて小説の中だけの事かと思っていたら、本当にあるのね!」
「ははは、若いのにお嬢さんは現実主義者かい?
だが、事実は小説より奇なり、だ。
案外、現実の方がロマンチックだったりするものさ」
「素敵だねぇ、お爺ちゃん!
お爺ちゃん?
どうし‥‥あッ!
きゃぁッステラ様!
綺麗! 尊過ぎる!
さすが大国の王太子妃となられる御方!
直視する事も出来ないほど煌びやかで神々しくてオーラが眩し過ぎるッ」
フロル王国からの旅行者A(お爺ちゃんと孫娘)が観光を楽しむここはミッドシップ王国。
国王ガンネル・ミッドシップが治める超大国である。
高位貴族、そして特に王家が世界的にも規格外の魔力を持つものの、国民のほとんどが魔力を持たない王国は、魔道具の研究・開発に於いて圧倒的に進んでおり、商品化された魔道具の輸出により大変に潤っている。
今日はそんなリッチな大国の王子、キール・フォア・ミッドシップ(18才)の立太子式と、ルチェ王国伯爵令嬢ステラ・カ・リアン(17才)との婚約式が行われ、今は祝賀パレードの真っ最中。
王都中央通りで停まり、にこやかに手を振っているキールの馬車に、ステラが乗る馬車がゆっくりと近付き、二人の馬車が並ぶ。
パレード仕様のオープン馬車に座っていたキールとステラが同時に立ち上がり、大盛り上がりの見物客に愛想良く手を振り笑顔を振りまく。
沿道を埋め尽くす人々の熱狂は最高潮に達する。
ぎゃぁ~~~ッ!
すてきぃッ!
尊いッ!
こっち見てくれたァッ
最高~~~ッ!
などと、口々に叫ぶ見物客の多くは失神寸前。
キールとステラは顔を見合わせると、空に向けてサッと両手を突きだす。
シャララララララ‥‥
二人の手からそれぞれロイヤルパープルの光、シグナルレッドの光が放出され、キラキラと輝きながら見物客に降り注ぐ。
美しく幻想的な光景に大騒ぎだった人々は言葉を失い、そして――
「あたたかい‥‥」
「疲れが消えた」
「力が漲って来る」
「体の痛みが消えた」
「傷が癒えている」
「心も体も澄んでいく‥‥」
自分の心身に訪れた柔らかく優しい変化に狐に抓まれた様にしばし呆然とする。
フロル王国からの旅行者A(お爺ちゃんと孫娘)も、同様だ。
「お、お爺ちゃん、
私、何だか元気いっぱいだよ?
観光でいっぱい歩き回って実は足が棒状態だったのに‥‥
今すぐ100キロマラソンに挑戦できるぞって位、凄い元気!」
「わ、わしもじゃ!
旅の疲れも、腰痛も、膝痛も、目の霞みも‥‥
全部消えた!
まるで若い頃に戻ったようじゃ!
これは、一体‥‥?」
「祝福‥‥」
誰からともなく『祝福』という言葉が囁かれ、人々の間にさざ波の様に広がっていく。
思いがけず『祝福』を賜り、有難さと喜びに感動の涙を流しながら、跪き、頭を垂れる者、両手を差し出す者、手を合わせ拝む者‥‥
「男神様‥‥」
「女神様‥‥」
清浄な空気が満ち、厳かな静けさに包まれた空間で、キールとステラはもう一度顔を見合わせ、微笑み合いながら同じ事を思う。
え~と、やり過ぎた?
素敵! カッコイイ!
さすが大国の王太子殿下ね!
絵にする事も出来ないほど美しくて堂々としてオーラが眩し過ぎるッ」
ここは、ミッドシップ王国王都中央通り。
パレード仕様の馬車に乗り、沿道を埋め尽くす人々に笑顔で応えるのは、本日立太子の運びとなった第二王子キール殿下。
「あっちからも派手な馬車が来るようじゃぞ!
負けず劣らずキラキラしとるわい」
興奮する孫が祖父が指さす方を見れば、彼の言う通り、煌びやかな馬車が王太子キールの馬車に近付いて来る。
「あちらはキール王太子殿下の婚約者となられたステラ様の馬車ですよ!」
祖父孫の周りで同様にパレードを見学中の人々が口々に教えてくれる。
「ステラ様は遠い外国の貴族令嬢らしい」
「キール様に掛けられた呪いを祓ったらしい」
「酷い婚約者に捨てられたが、キール様との真実の愛によって救われたという」
当たらずとも遠からずな内容。
「まぁステキ!
真実の愛なんて小説の中だけの事かと思っていたら、本当にあるのね!」
「ははは、若いのにお嬢さんは現実主義者かい?
だが、事実は小説より奇なり、だ。
案外、現実の方がロマンチックだったりするものさ」
「素敵だねぇ、お爺ちゃん!
お爺ちゃん?
どうし‥‥あッ!
きゃぁッステラ様!
綺麗! 尊過ぎる!
さすが大国の王太子妃となられる御方!
直視する事も出来ないほど煌びやかで神々しくてオーラが眩し過ぎるッ」
フロル王国からの旅行者A(お爺ちゃんと孫娘)が観光を楽しむここはミッドシップ王国。
国王ガンネル・ミッドシップが治める超大国である。
高位貴族、そして特に王家が世界的にも規格外の魔力を持つものの、国民のほとんどが魔力を持たない王国は、魔道具の研究・開発に於いて圧倒的に進んでおり、商品化された魔道具の輸出により大変に潤っている。
今日はそんなリッチな大国の王子、キール・フォア・ミッドシップ(18才)の立太子式と、ルチェ王国伯爵令嬢ステラ・カ・リアン(17才)との婚約式が行われ、今は祝賀パレードの真っ最中。
王都中央通りで停まり、にこやかに手を振っているキールの馬車に、ステラが乗る馬車がゆっくりと近付き、二人の馬車が並ぶ。
パレード仕様のオープン馬車に座っていたキールとステラが同時に立ち上がり、大盛り上がりの見物客に愛想良く手を振り笑顔を振りまく。
沿道を埋め尽くす人々の熱狂は最高潮に達する。
ぎゃぁ~~~ッ!
すてきぃッ!
尊いッ!
こっち見てくれたァッ
最高~~~ッ!
などと、口々に叫ぶ見物客の多くは失神寸前。
キールとステラは顔を見合わせると、空に向けてサッと両手を突きだす。
シャララララララ‥‥
二人の手からそれぞれロイヤルパープルの光、シグナルレッドの光が放出され、キラキラと輝きながら見物客に降り注ぐ。
美しく幻想的な光景に大騒ぎだった人々は言葉を失い、そして――
「あたたかい‥‥」
「疲れが消えた」
「力が漲って来る」
「体の痛みが消えた」
「傷が癒えている」
「心も体も澄んでいく‥‥」
自分の心身に訪れた柔らかく優しい変化に狐に抓まれた様にしばし呆然とする。
フロル王国からの旅行者A(お爺ちゃんと孫娘)も、同様だ。
「お、お爺ちゃん、
私、何だか元気いっぱいだよ?
観光でいっぱい歩き回って実は足が棒状態だったのに‥‥
今すぐ100キロマラソンに挑戦できるぞって位、凄い元気!」
「わ、わしもじゃ!
旅の疲れも、腰痛も、膝痛も、目の霞みも‥‥
全部消えた!
まるで若い頃に戻ったようじゃ!
これは、一体‥‥?」
「祝福‥‥」
誰からともなく『祝福』という言葉が囁かれ、人々の間にさざ波の様に広がっていく。
思いがけず『祝福』を賜り、有難さと喜びに感動の涙を流しながら、跪き、頭を垂れる者、両手を差し出す者、手を合わせ拝む者‥‥
「男神様‥‥」
「女神様‥‥」
清浄な空気が満ち、厳かな静けさに包まれた空間で、キールとステラはもう一度顔を見合わせ、微笑み合いながら同じ事を思う。
え~と、やり過ぎた?
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