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キール
01 ステラの静かな愛
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ティスリー王国での卒業パーティー会場からミッドシップ王国宮殿のキールの私室に転移魔法で連れて来られたステラは、そのままキールと共に暮らす事となった。
新天地での新生活にワックワク!
とはならず、当初ステラはキールの私室から一歩も出る事が許されなかった。
キールの異常としか言えない独占欲のせいで。
キールはステラを他の誰の目にも触れさせたがらず、限られた侍女だけがステラの世話をし、食事も私室でという徹底ぶり。
ステラとしては、異常なまでに執着される事が意外だった。
白クマの時は『ツン』が通常だったから。
ただ、キールのそれまでの人生がそうさせているのだろうと思いを巡らせたステラは、全てを受け入れた。
軟禁状態も
頻繁過ぎて濃密過ぎる愛の行為も
ステラが国王を始めとした王家の面々――キールの家族と会えたのは、3ヵ月間ほぼベッドで甘く激しい愛を受け続けた後となる。
ステラはキールの過去――何故、誰に呪いを掛けられたのか――などを聞くことは無かった。
会えなかった一ヶ月の間に、一体何があったのかも。
キールが自ら話し始めるまで待とうと心に決めたから。
それでも、少しずつ軟禁を解かれて、言葉を皮切りにミッドシップ王国の事を勉強し始め、王宮内限定ではあるが人々との交流が増えれば、分かった事もある。
キールの幼少時代の事
キールの母と兄の事
掛けられた呪いの事
離れていた一ヶ月の間にミッドシップで起こった事
それは心を抉られる内容だったが、ステラは無言を貫いた。
キールが話したくないなら聞かない。
あの時くれた優しさを、『無条件の受け入れ』を返すのだ。
『あの時』とはスタード公爵邸の森で10才のステラがクレアにほぼ殺害された時。
ステラから解き放たれた魔力が暴走しそうだった時、白クマさんの魔力である紫龍は大きく羽を広げて『無条件の受け入れ』を示してくれた。
呪いがほんの少しだけ解けて現れた白クマさんの紫龍は本来の大きさではなく小さな姿だったのに――
それは脆弱である事を意味するのに――
ステラの巨大なダークレッドの龍が突っ込めば、紫龍は内部の魔力核もろとも粉々に砕け散っただろう。
そうなれば白クマ――キールは大きなダメージを負ったはずだ。
最悪、命を落としたかも知れなかった。
それでも、ただ翼を広げてくれたのだ。
あれがあったから、ステラは救われ、癒され、本来のステラに戻る事が出来た。
あの時の大きな愛を、今度は私が返す‥‥!
キールの執務室。
断り続けたものの、結局押し切られて王太子となったキール。
大量の執務に忙殺される日々――
ステラも負けないぐらい大変で。
王太子妃教育――に入る前にミッドシップ王国貴族令嬢としての勉強――それ以前に世界一難しいとされているミッドシップ王国語の習得から始まる怒涛の勉強の日々。
かなり優秀なステラでも、覚える事が多すぎて目が回りそう。
やはり大変なのはミッドシップ王国語で、日常会話はすぐに習得できたものの、公の場での細かい違いが難しく、ちょっとした発音の違いでも真逆の意味になってしまう危険な言語と悪戦苦闘中である。
そんな忙しい中でも二人は可能な限りティータイムを共に過ごす事にしている。
短い時間でも顔を合わせ言葉を交わす事で大変な日々をこなしていけるのだ。
そんなある日。
キールは二人の予定を調整し、いつもより長いティータイムを設けた。
そしてごく自然に、自身の事をステラに話し始める。
新天地での新生活にワックワク!
とはならず、当初ステラはキールの私室から一歩も出る事が許されなかった。
キールの異常としか言えない独占欲のせいで。
キールはステラを他の誰の目にも触れさせたがらず、限られた侍女だけがステラの世話をし、食事も私室でという徹底ぶり。
ステラとしては、異常なまでに執着される事が意外だった。
白クマの時は『ツン』が通常だったから。
ただ、キールのそれまでの人生がそうさせているのだろうと思いを巡らせたステラは、全てを受け入れた。
軟禁状態も
頻繁過ぎて濃密過ぎる愛の行為も
ステラが国王を始めとした王家の面々――キールの家族と会えたのは、3ヵ月間ほぼベッドで甘く激しい愛を受け続けた後となる。
ステラはキールの過去――何故、誰に呪いを掛けられたのか――などを聞くことは無かった。
会えなかった一ヶ月の間に、一体何があったのかも。
キールが自ら話し始めるまで待とうと心に決めたから。
それでも、少しずつ軟禁を解かれて、言葉を皮切りにミッドシップ王国の事を勉強し始め、王宮内限定ではあるが人々との交流が増えれば、分かった事もある。
キールの幼少時代の事
キールの母と兄の事
掛けられた呪いの事
離れていた一ヶ月の間にミッドシップで起こった事
それは心を抉られる内容だったが、ステラは無言を貫いた。
キールが話したくないなら聞かない。
あの時くれた優しさを、『無条件の受け入れ』を返すのだ。
『あの時』とはスタード公爵邸の森で10才のステラがクレアにほぼ殺害された時。
ステラから解き放たれた魔力が暴走しそうだった時、白クマさんの魔力である紫龍は大きく羽を広げて『無条件の受け入れ』を示してくれた。
呪いがほんの少しだけ解けて現れた白クマさんの紫龍は本来の大きさではなく小さな姿だったのに――
それは脆弱である事を意味するのに――
ステラの巨大なダークレッドの龍が突っ込めば、紫龍は内部の魔力核もろとも粉々に砕け散っただろう。
そうなれば白クマ――キールは大きなダメージを負ったはずだ。
最悪、命を落としたかも知れなかった。
それでも、ただ翼を広げてくれたのだ。
あれがあったから、ステラは救われ、癒され、本来のステラに戻る事が出来た。
あの時の大きな愛を、今度は私が返す‥‥!
キールの執務室。
断り続けたものの、結局押し切られて王太子となったキール。
大量の執務に忙殺される日々――
ステラも負けないぐらい大変で。
王太子妃教育――に入る前にミッドシップ王国貴族令嬢としての勉強――それ以前に世界一難しいとされているミッドシップ王国語の習得から始まる怒涛の勉強の日々。
かなり優秀なステラでも、覚える事が多すぎて目が回りそう。
やはり大変なのはミッドシップ王国語で、日常会話はすぐに習得できたものの、公の場での細かい違いが難しく、ちょっとした発音の違いでも真逆の意味になってしまう危険な言語と悪戦苦闘中である。
そんな忙しい中でも二人は可能な限りティータイムを共に過ごす事にしている。
短い時間でも顔を合わせ言葉を交わす事で大変な日々をこなしていけるのだ。
そんなある日。
キールは二人の予定を調整し、いつもより長いティータイムを設けた。
そしてごく自然に、自身の事をステラに話し始める。
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