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人食い3
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「でもいつ殺したんだよ。僕たちも考えたけれど、湯布院さんを殺せるタイミングは湯布院さんが自室にこもるって言って会議室を飛び出たタイミングぐらいじゃないか。それを追いかけて……殺したのはお前なんじゃないのか?」
「は、俺が?しかも四十八願さんと協力して?ふん、バカバカしい。湯布院を殺せるタイミングは他にもあっただろう、例えば誠一さんが殺される前。あの時まで俺たちは各自部屋にこもってたからな」
「佐倉さんが湯布院さんの部屋のバリケードを崩して、部屋に入ったって言うの?」
「その通り」
「でも、誠一さんが亡くなる前に茉緒さんは誠一さんを探して廊下をウロウロしてたんじゃないかしら。呑気にバリケードなんて崩してたら、茉緒さんに見つかっちゃうんじゃないの?」
「バリケードを崩すのに、湯布院が協力したらどうだ?」
「協力?」
黄水晶の間の扉は蝶番が外されていた。扉を外し、部屋の内側からバリケードの椅子を降ろすのを手伝えば――。
「しかも黄水晶の間の隣には馬虎さんの遺体がある。血まみれのだ。そんなところに好き好んでいくやつもいないだろ」
僕だったら絶対近寄らない。
「けどなんで、湯布院さんは佐倉さんを招き入れたの?」しかもわざわざ協力してまでだ、社には理解できなかった。
「理由は分からない、けれどなにか湯布院にとって有利な取引でも持ちかけたのかもしれない。なにせ万年金欠の湯布院だ、金をちらつかすだけでも飛びついたのかもしれないぜ」
「そうやって部屋に入って湯布院を殺して、血にまみれた手を洗って部屋に戻って遺書を書いて、さらにバリケードを組み直したって言うのか?いくらスムーズに部屋に入れたとしても、後処理でそんなに時間がかかってたら誰かに見つかるだろ。しかもその後誠一さんを殺すだなんて無理があるんじゃないのか?」
「それは……」
とそこで、絶好調だった修は口を閉じてしまった。
「ほら、無理だろ。それとも後から細工したっていうのか?そうなると、皆が寝ている間に部屋を出た、お前が何か細工でもしたって考えるほうが自然じゃないか」
「は、なんで俺が?」
「みんなが会議室で寝てる間に部屋を出たのは、お前と茉緒さんと佐倉さん、四十八願さんだけだ。茉緒さんと佐倉さんは一緒に部屋を出た。とてもあんな細工してる場合じゃないだろ。ってなると、一番怪しいのはお前じゃないか」
しかも、社が血の跡を見たのは男子トイレの洗面台だ。それは犯人が男だからじゃないのか。
「違う、俺じゃない……」
「それに佐倉さんは今、一酸化炭素中毒で意識が戻らないんだ。万一佐倉さんが犯人だとしても、自分まで危険な目に遭わせるはずないだろ」
「……本当にそうなんだろうか」
「え?」
「佐倉は、なぜ自分の身まで危険な目に遭わせた?」
「だから、彼女は巻き添えを食っただけだろ」
「もし修さんが考えるように佐倉さんが犯人だったと仮定したら、すべての目的を果たせたから、もう死んでも構わないって思った……とか?」おずおずと華ちゃんが口を開いた。
「なら、湯布院にわざわざ罪を被せる必要がない」
「それは、確かに」
「それってもしかして、まだ佐倉さんにはまだ、殺したい人がいるってこと?」
「ああ。その為に、あえて自分を動きやすい位置に配置したのだとしたら?」
「でも彼女は今、意識不明の重体なんだぞ」
「それがフェイクだとしたら?」
「フェイクだって?そもそもなんで佐倉さんがみんなを殺さなきゃならないんだよ。動機が分からないじゃないか。自分が疑われてるからって、矛先を逸らせようとするのはやめろよ」
「動機なんてどうでもいい、でも自分を危険な目に遭わせてまで、やり遂げたい何かが彼女には何かがあったはずだ」
「やり遂げたいって。でも佐倉さんには四十八願さんが付いていてるんだ、目が覚めたらさすがに四十八願さんが気づくだろ?」
「四十八願さんが?」
それを聞いて、にわかに修の顔が厳しくなった。
「佐倉が犯人なら、四十八願さんももしかしたら」
と身をひるがえし、背にした扉を開け走っていくではないか。
「お、おい!ちょっと待てよ!」
手を伸ばすも捕まえることも出来ず、無情にもばたりと扉が眼前で閉まる。
「やってることが湯布院さんと一緒じゃない!やっぱり怪しいわ、佐倉さんが犯人だって言うのも本当かどうかわからないし、なのに逃げ出すなんて!」
思いのほか敏捷な動きで逃げられてしまい悔しかったのか、華ちゃんが鼻息荒く扉を開き追いかけようとするものの、
「あれ?あ、開かない」と扉の前で立ちすくんでしまった。
「あいつ、閂かけやがったな!」
会議室やレストラン、大浴場の扉の仕組みは基本ホールと一緒だ。外からも内からもかけられる閂がついていて、普段は外されたままになっているのだが。
「ふむ、外側の閂はかけられないよう外しておいた方がよさそうじゃの」
「社長、呑気なこと言ってないで開けるの手伝ってくださいよ」
華ちゃんと社、さらには犬尾さんにも手伝ってもらって体当たりをしてみるものの、なかなか頑丈なようで開かない。
「皆さん、少し離れていただけますか?」
そこへ駆けられる鶴の一声。
「ちょっと蹴破ってみますね」
「ちょっとって、そんな簡単に」
そう犬尾さんが呆れた声を出し扉から離れる。そのすぐ脇をすごい速度で鶴野さんの放った蹴りがかすめた。
「ひぇっ」
そして、バキン!という木の折れる音。どうやら扉が開いたようだった。
「外開きで助かりましたわ」
何食わぬ顔で、蹴りを放った時に脱げたヒールを履き直しながら鶴野さんが言った。
恐るべし、鶴野さん。
「ほれ、驚いてる場合じゃないぞ、早く修君を追いかけるんじゃ」
あっけにとられた一同に、社長から拍車の声がかかる。そうだった、今僕たちは殺人犯を殺した殺人犯を追いかけているんだった。いや、殺人犯を疑う殺人犯?ああ、ややこしい。
「じゃあ、犬尾さんはあっちに」
二手に分かれて探そうとした矢先、待ったの声がかかる。
「あまり離れん方がいいんとちがう?向こうは何するかわからんし」
「それもそうじゃの、じゃあ、とりあえずホールの方へまわって行こうかの」
社長の提案で全員でホール目指しぞろぞろと進んでいくと、後ろから声が聞こえた。
「佐倉さまー?佐倉さま?」
「この声、四十八願さん?」
「おーい、四十八願さーん、大丈夫だったんですね!」
華ちゃんが大きな声で返すと、パタパタと足音とともに慌てた様子の四十八願さんが走ってきた。
「その、佐倉さまがいらっしゃらないのです」
「佐倉君が?意識が戻ったのかの?」
「わかりません、寝汗がひどいようでしたので水分をと思い……橄欖の間の近くのレストランには非常用の水が置いてあるので。それを取りに行ったら扉が開かなくなってしまって。ようやく出てきたのですが」
「戻ったら佐倉さんの姿が消えていた?」
「ええ」
「もしかして佐倉さんを連れ去る為に、修が四十八願さんを閉じ込めた?」
「それはあるかも。でも二人はどこに行ったの?」
「いずれにせよ、そう遠くにはいってないんじゃないかの?」
「レストランには四十八願さんがいた。なら、大浴場か?」
そう思い大浴場を覗くも、そこには依然横たえられたままの誠一さんの遺体しかなかった。
「地下は?」
「リネン室とボイラー室への降り口も、ホールと同じく狭いのです。もし修さまが佐倉さまを連れているのだとしたら、二人で降りるのは難しいかと」
四十八願さんの言うとおり、地下には誰もいなさそうだった。
「じゃあ、近くの部屋は?」
「でもあやつは橄欖の間の鍵しか持っとらんはずじゃ、じゃと他の客室には入れん。となると……」
「ホールだわ。そこしかないじゃない、急ぎましょ」
急かす華ちゃんに続いていくと、ホールの扉が開け放たれていた。やはりここに修が、佐倉さんを人質にとっているのだろうか。そう思いつつ扉を開けば、予想とは異なる風景が広がっていた。
「は、俺が?しかも四十八願さんと協力して?ふん、バカバカしい。湯布院を殺せるタイミングは他にもあっただろう、例えば誠一さんが殺される前。あの時まで俺たちは各自部屋にこもってたからな」
「佐倉さんが湯布院さんの部屋のバリケードを崩して、部屋に入ったって言うの?」
「その通り」
「でも、誠一さんが亡くなる前に茉緒さんは誠一さんを探して廊下をウロウロしてたんじゃないかしら。呑気にバリケードなんて崩してたら、茉緒さんに見つかっちゃうんじゃないの?」
「バリケードを崩すのに、湯布院が協力したらどうだ?」
「協力?」
黄水晶の間の扉は蝶番が外されていた。扉を外し、部屋の内側からバリケードの椅子を降ろすのを手伝えば――。
「しかも黄水晶の間の隣には馬虎さんの遺体がある。血まみれのだ。そんなところに好き好んでいくやつもいないだろ」
僕だったら絶対近寄らない。
「けどなんで、湯布院さんは佐倉さんを招き入れたの?」しかもわざわざ協力してまでだ、社には理解できなかった。
「理由は分からない、けれどなにか湯布院にとって有利な取引でも持ちかけたのかもしれない。なにせ万年金欠の湯布院だ、金をちらつかすだけでも飛びついたのかもしれないぜ」
「そうやって部屋に入って湯布院を殺して、血にまみれた手を洗って部屋に戻って遺書を書いて、さらにバリケードを組み直したって言うのか?いくらスムーズに部屋に入れたとしても、後処理でそんなに時間がかかってたら誰かに見つかるだろ。しかもその後誠一さんを殺すだなんて無理があるんじゃないのか?」
「それは……」
とそこで、絶好調だった修は口を閉じてしまった。
「ほら、無理だろ。それとも後から細工したっていうのか?そうなると、皆が寝ている間に部屋を出た、お前が何か細工でもしたって考えるほうが自然じゃないか」
「は、なんで俺が?」
「みんなが会議室で寝てる間に部屋を出たのは、お前と茉緒さんと佐倉さん、四十八願さんだけだ。茉緒さんと佐倉さんは一緒に部屋を出た。とてもあんな細工してる場合じゃないだろ。ってなると、一番怪しいのはお前じゃないか」
しかも、社が血の跡を見たのは男子トイレの洗面台だ。それは犯人が男だからじゃないのか。
「違う、俺じゃない……」
「それに佐倉さんは今、一酸化炭素中毒で意識が戻らないんだ。万一佐倉さんが犯人だとしても、自分まで危険な目に遭わせるはずないだろ」
「……本当にそうなんだろうか」
「え?」
「佐倉は、なぜ自分の身まで危険な目に遭わせた?」
「だから、彼女は巻き添えを食っただけだろ」
「もし修さんが考えるように佐倉さんが犯人だったと仮定したら、すべての目的を果たせたから、もう死んでも構わないって思った……とか?」おずおずと華ちゃんが口を開いた。
「なら、湯布院にわざわざ罪を被せる必要がない」
「それは、確かに」
「それってもしかして、まだ佐倉さんにはまだ、殺したい人がいるってこと?」
「ああ。その為に、あえて自分を動きやすい位置に配置したのだとしたら?」
「でも彼女は今、意識不明の重体なんだぞ」
「それがフェイクだとしたら?」
「フェイクだって?そもそもなんで佐倉さんがみんなを殺さなきゃならないんだよ。動機が分からないじゃないか。自分が疑われてるからって、矛先を逸らせようとするのはやめろよ」
「動機なんてどうでもいい、でも自分を危険な目に遭わせてまで、やり遂げたい何かが彼女には何かがあったはずだ」
「やり遂げたいって。でも佐倉さんには四十八願さんが付いていてるんだ、目が覚めたらさすがに四十八願さんが気づくだろ?」
「四十八願さんが?」
それを聞いて、にわかに修の顔が厳しくなった。
「佐倉が犯人なら、四十八願さんももしかしたら」
と身をひるがえし、背にした扉を開け走っていくではないか。
「お、おい!ちょっと待てよ!」
手を伸ばすも捕まえることも出来ず、無情にもばたりと扉が眼前で閉まる。
「やってることが湯布院さんと一緒じゃない!やっぱり怪しいわ、佐倉さんが犯人だって言うのも本当かどうかわからないし、なのに逃げ出すなんて!」
思いのほか敏捷な動きで逃げられてしまい悔しかったのか、華ちゃんが鼻息荒く扉を開き追いかけようとするものの、
「あれ?あ、開かない」と扉の前で立ちすくんでしまった。
「あいつ、閂かけやがったな!」
会議室やレストラン、大浴場の扉の仕組みは基本ホールと一緒だ。外からも内からもかけられる閂がついていて、普段は外されたままになっているのだが。
「ふむ、外側の閂はかけられないよう外しておいた方がよさそうじゃの」
「社長、呑気なこと言ってないで開けるの手伝ってくださいよ」
華ちゃんと社、さらには犬尾さんにも手伝ってもらって体当たりをしてみるものの、なかなか頑丈なようで開かない。
「皆さん、少し離れていただけますか?」
そこへ駆けられる鶴の一声。
「ちょっと蹴破ってみますね」
「ちょっとって、そんな簡単に」
そう犬尾さんが呆れた声を出し扉から離れる。そのすぐ脇をすごい速度で鶴野さんの放った蹴りがかすめた。
「ひぇっ」
そして、バキン!という木の折れる音。どうやら扉が開いたようだった。
「外開きで助かりましたわ」
何食わぬ顔で、蹴りを放った時に脱げたヒールを履き直しながら鶴野さんが言った。
恐るべし、鶴野さん。
「ほれ、驚いてる場合じゃないぞ、早く修君を追いかけるんじゃ」
あっけにとられた一同に、社長から拍車の声がかかる。そうだった、今僕たちは殺人犯を殺した殺人犯を追いかけているんだった。いや、殺人犯を疑う殺人犯?ああ、ややこしい。
「じゃあ、犬尾さんはあっちに」
二手に分かれて探そうとした矢先、待ったの声がかかる。
「あまり離れん方がいいんとちがう?向こうは何するかわからんし」
「それもそうじゃの、じゃあ、とりあえずホールの方へまわって行こうかの」
社長の提案で全員でホール目指しぞろぞろと進んでいくと、後ろから声が聞こえた。
「佐倉さまー?佐倉さま?」
「この声、四十八願さん?」
「おーい、四十八願さーん、大丈夫だったんですね!」
華ちゃんが大きな声で返すと、パタパタと足音とともに慌てた様子の四十八願さんが走ってきた。
「その、佐倉さまがいらっしゃらないのです」
「佐倉君が?意識が戻ったのかの?」
「わかりません、寝汗がひどいようでしたので水分をと思い……橄欖の間の近くのレストランには非常用の水が置いてあるので。それを取りに行ったら扉が開かなくなってしまって。ようやく出てきたのですが」
「戻ったら佐倉さんの姿が消えていた?」
「ええ」
「もしかして佐倉さんを連れ去る為に、修が四十八願さんを閉じ込めた?」
「それはあるかも。でも二人はどこに行ったの?」
「いずれにせよ、そう遠くにはいってないんじゃないかの?」
「レストランには四十八願さんがいた。なら、大浴場か?」
そう思い大浴場を覗くも、そこには依然横たえられたままの誠一さんの遺体しかなかった。
「地下は?」
「リネン室とボイラー室への降り口も、ホールと同じく狭いのです。もし修さまが佐倉さまを連れているのだとしたら、二人で降りるのは難しいかと」
四十八願さんの言うとおり、地下には誰もいなさそうだった。
「じゃあ、近くの部屋は?」
「でもあやつは橄欖の間の鍵しか持っとらんはずじゃ、じゃと他の客室には入れん。となると……」
「ホールだわ。そこしかないじゃない、急ぎましょ」
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