上 下
20 / 27

20※

しおりを挟む

 奥まで埋まって、マリアは体を震わせた。奥を押されると、その更に奥、子宮が反応して欲しいと訴える。実際、声が出ていたかもしれない。レイフがそっとマリアの髪を払ってくれた。額の汗を拭うように吸い付いて来て、下りてきて口を合わせた。ついばむように唇を重ねて、最後は舌を絡めた。その間にも下は突かれて、焼ききれそうな快楽が襲う。
「…はぁ…うっ…」
 足を広げられ、腰を掴まれる。持ち上げられて、一気に絶頂する。
「あああっ!…っはぁ…!ああっ!」
 シーツを握りしめる。マリアは無意識に腰を反らしていた。こうすると肉棒を強く感じられて、余計に快楽が増した。ぐちゅぐちゅと結合部から水音がする。
「あっ…!また…!」
 びくびくとまた絶頂を迎える。膣が肉棒を締め付ける。レイフの苦しそうな声が漏れた。一層、深く突き上げられて、熱いものが流れ込む。熱に浮かされながらマリアはそれを味わう。どくどくと膣を満たされていく感覚。何度味わっても気持ちよく、レイフが自分で快楽を得ている実感を得られて、癖になる。
 一応の波が過ぎ去り寝台に沈み込む。荒い呼吸を落ち着かせようと深く吸い込む。うっすら目を開けると、レイフも息を乱してこちらを見下ろしていた。たくましい身体。すこし汗ばんで、マリアは美しいと思った。
「レイフさま…まだ…」
 太ももでレイフの体を挟む。誘うように腰を浮かせて見せると、レイフはすっかり魅了されて、再び腰を振り出した。
 ドンドンと奥に当たり、子宮口を押し上げられる。激しい律動にまた高められていく。
「はっ!んあっ!…っひ…うっ!ああっ!」
「──マリア」
 小さく声をかけられ、レイフに視線を向ける。余裕の無い顔をしていた。目が細められる。男の目をしていた。
「かんでっ…」
 マリアはレイフが何を望んでいるのか知っていた。レイフに我慢して欲しくなかった。
「かんで…もっと気持ちよくなりたい…」
「マリア」
「おねがいっ…!はやくっ…!」
 レイフは鎖骨に嚙みついた。痛みとともに膣も痙攣する。レイフが止められないように、マリアも鎖骨を噛んでもらわないと満足出来なかった。痛みでしか得られない快感。肉棒が膣をこするのも合わさって、マリアはもうまともではいられなかった。
「ひゃぁっ──!ああ!あ、あ、んあっ!あああっ!!」
 絶頂が続いている。それどころか酷くなって、膣はもう馬鹿になって、別の生き物のように波打つのを止めない。
「あ、あ、も、だめっ!おかしくなってっ…!ああっ!あああっ!!」
 びくびく肉棒を締め付ける。終わらない快楽が気持ちよく、苦痛にもなった。呼吸がうまくできない。
 レイフもくぐもった声を上げる。射精したらしい。精液が広がるのを感じる。あつい、と呟く。どちらがつぶやいたのか分からなかった。


 マリアが目覚めると、レイフが胸に吸い付いていた。意識が無い間に散々扱われたらしい。胸が弱いマリアは直ぐに絶頂してしまう。膣は既に何度も絶頂したあとらしく、そこは重く、鈍い反応になっていた。倦怠感の中、マリアは腕を動かそうとしたが、全く動かなかった。
「レイフさま…」
「…起きたのか」
「わたし…もうむりです」
 レイフが身体を起こす。ずる、と引き抜かれて、そこで始めてまだモノが入っていたのに気づく。そんなのことにも分からないほど、身体は麻痺していた。
 レイフのうめき声が聞こえる。何かに耐えているような苦しみだった。びゅ、と音がする。マリアは自分の腹にそれがふりかかる感覚がした。
 出し終えて、レイフは長く息を吐いた。少し、笑っているように見えた。
「──清める。寝てなさい」
 用意されていた水盆から布を取り出し固く絞る。汗を拭うように額に当てられ、程よい冷たさが心地よかった。丁寧に身体を清めていくレイフを、マリアは薄目で見つめていた。
 レイフは、そっと腹に手を添えた。何を考えているのかなど分かり切っていて、マリアも手を重ねた。
「来てくれると、いいですね…」
 二人目の子を、レイフはもう十分だと言った。ローレンスだけで十分だと。マリアはその優しい言葉で大分、気が楽になった。とはいえ身籠るかもと思いながら、身体を重ねたって罰は当たらない。ただ楽しむだけの行為となっても、そう期待するのは勝手だ。
 マリアの身体を清め終えて、寝巻きを着せる。自身も軽く拭いて夜着をまとう。マリアの隣に寝転ぶとレイフは目を閉じた。それを見届けてマリアも目を閉じる。
 静かな夜だった。きっと、星が瞬いているだろう。想像しながら、眠りに落ちていった。

 朝、先に目覚めたマリアはレイフを見やった。マリアにしがみついて眠っていた。胸に置かれた腕が重い。息がし辛く、大きく息を吸ってみる。胸の膨らみに合わせて腕も上下する。
 レイフはもぞりと腕を動かし始めた。手がマリアの身体を這って、鎖骨、喉仏、唇にたどり着く。唇を摘まれ、親指の腹が歯を撫でる。指が口の中に入り込んで来たので、マリアは慌てて手を取った。レイフの顔を覗き込む。静かに寝息を立てていた。
「…もう。眠ってても私の身体が好きなんですから」
 呆れながら言う。声はかすれていた。バーサが来たらハチミツ湯を用意してもらわないと。腹の中にはまだ愛された疼きが残っていた。この熱はしばらく落ち着かないだろう。随分と好色なお方を旦那に持ったものだと、なれない悪態をついてみた。
 

 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

魔女のなりそこない。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,073pt お気に入り:754

あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,260pt お気に入り:1,657

魔物のお嫁さん

BL / 完結 24h.ポイント:241pt お気に入り:750

異世界でおまけの兄さん自立を目指す

BL / 連載中 24h.ポイント:16,183pt お気に入り:12,474

伯爵令嬢の秘密の愛し子〜傲慢な王弟は運命の恋に跪く

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:677

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:18,099pt お気に入り:7,952

妊娠しません!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:13

処理中です...